2008/04/23
おじさん
朝、事務所に向かう途中も頭はフル回転だ。一日の打ち合わせや進捗が気になる案件など、意識は視線の先のアスファルトではなく、頭の中を勢いよくめぐる。
事務所に着くと階段を掃除するおじさんの姿が目に入る。その場所からして、かなり前から仕事をしているようだと察する。思い立ってすれ違い際に挨拶をする。
「おはようございます。」
おじさんは下を向き、ゴミを集めながら応える。
「おはようございます。」
事務所に入り、PCの電源を入れながら、窓を開ける。電気はつけない。なんだか暑い気がするし、自然光でも十分明るいからだ。立ち上がるPCの画面を見つめながら朝一で返信するメールのことを考えていると、パッと電気がつく。一瞬、何が起こったのかと思う。
扉の方を見ると、向こうの方でさっきのおじさんがにやっと笑っていた。ああと言って僕もにやっと笑った。
メールを打ちながらもちょっとの間、幸せな気分だった。
一日以上経った今も、ふと思い出してそのことをこうして書いている。
一日の終わり。頭の中はクタクタになっている気がする。
でも、こころは、どれだけ使っただろうか。
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