シブヤ大学
街の先輩訪問街の先輩訪問レポート

街の先輩訪問レポート17(堀田 顕人)


日時など別々に2人からの訪問を行いましたので、
レポートも2つ掲載しています。


レポート(1)
先輩:堀田顕人さん
訪問者:鴫原知行
訪問日:2010/10/22 21:00~
訪問内容:面談


◎はじめに
小さい頃から「しごとをする」ってことにたいして、漠然とした憧れを抱いていた。いずれ大人になるとシゴトってものをするんだな・・って事は子どもなりに認識していたんだと思います。当時は「仕事=なりたいもの」って感じで、みんな大人たちは好きでこの仕事をやっているんだなぁと本気で思っていた。だから、僕自身もどれが一番カッコイイおしごとかな、なんて基準で世の中の沢山の仕事をしている大人たちを見ていたんだと思う。
しかし、だんだん大人になるにつれて、それはほんの一握りの大人にすぎないのではないか、と感じるようになっていった。おまけにこんなことも言われる。「働くってことは、実はツライ事の連続だ。ツライことを我慢してやっているからこそお給料をいただけるんだよ。」と。今までの思いは脆くも崩れ去り、大人になることに不安を抱き始め、仕事ってそんなもんなのか?好きなことを仕事をすることってできないことなのか?なんてことをずっと考えてきた。
そんな思いから、人生の大切な時間の大半を占める仕事のことを、率直に語り続けている堀田さんにぜひお会いしたいと思い、今回参加を申し込んだ。


◎訪問の内容
平日の夜に、表参道にあるテラスカフェのまったりとした雰囲気の中で話を聞くことになった。堀田さんが、一方的に質問を投げかけるのでなく、お互いの仕事に対する思いや、現在しごと課で取り組んでいること、これから取り組もうと思っていること、それぞれの夢などを、肩肘張らずに語った。
例えば仕事、働くことについて、、
「仕事ってその人を形作っているようなもの。ツライものって思ってしまえばそれまでで全部が嫌な事だけじゃないし、ふとした瞬間、ああこの瞬間はいいなぁって感覚はだれにでもある。そういうちょっとした喜びを見つけられることが大事なんじゃないかと。」ツライ、イヤだ。そういった負の感情からは何も生まれない。仕事にもどこかのりしろの部分を持つことが大事になってくる。
今現在しごと課は、3人で運営しているようだ。
仕事を斡旋するというよりは、とことん好きなことをしている、好きの延長線上がこうなったという大人をたくさん紹介するような形になっている。
そんな彼らに共通していることは、「ぶれない軸というか思いがあることだ」と。
話は、ひとりひとりの思い(想い)に移った。
「うまく言葉にできないんだけど何かやってみたい、何だかわからないけど、こういうことを成し遂げたいと思った時、大事なのは拙いかもしれないけど、自分の言葉で語りつづけることだと思う。なぜそれをしたいのか、それをすることで誰をハッピーにしたいのか・・。語り続けることで、想いが確信になり、それに共感してくれる人がいて、やがてコトが動いていくんじゃないだろうか。」と。
逆にやりたいことが見つけにくい時代だからこそ、自分はこうしたい、と主張できる人はけっこう稀有な存在なのかもしれない。でも、往々にしておもしろいことをやる人って、どこかゴツゴツととがっているところがある。できることとできないことがしっかり自分で分かっていて、できない部分はできる人に任せて、できることに集中しちゃう。それが周りから、あんなに働いて体大丈夫・・?なんて心配されるんだけれど、とうの本人は好きなことをやっているので、全然苦痛など感じていない。そしてどんどん自分でシゴトを創ってしまう。そんな感じなのではないだろうか。
徐々にに話は深まり、夢の話へと移った。
今の子どもたち(中・高校生など)が何を考え、感じているのかが、正直見えてこない。  
彼らは毎日何かしらに悩み、将来に対する漠然とした不安があり、自分の人生の中で確固たるものは何ひとつないけれど、時間だけが無限にあるような、そんな生き方をしているのではないかと。「夢を持てって言われるけど、それってけっこうきついよね・・。正直持ったって何が変わるわけじゃないし、周りでは受験だ、塾だって感じだからそんなの感じられないくらい、彼らは忙しい生活を送っているんだ」と。でも、やっぱり夢は持ったほうはいい。最初は憧れでいいと思う。問題なのは、仕事と夢を直結させちゃって、仕事が目的になっちゃうことなのではないか。例えば、『野球選手になりたい』って思っても、実際なれる人はほんの一握りだったりする。野球選手になることが目的になってしまうと、なれなかったから夢は叶わなかった。ってなってしまう。
そうではなく、野球選手にはなれなかったけど、野球には興味があるんだとしたら、審判員という仕事、球場管理という仕事、スパイクやグローブを作るという仕事だってある。一つの仕事を俯瞰して見る視点。野球という一つの括りの中で関わることができるシゴトというのを、私たち大人が教えていく必要があるのではないか。
そんな感じで、話は終了した。

◎終わりに
時間にして二時間半の間、二人の仕事観、人生観、これからの想いを語り合った。二人の間で共通していたのは、働くことは生きることそのものだということ。堀田さん自身も、今のこの活動を通じて、ひとりひとりが仕事のことを考えるきっかけになってもらえれば、との思いなのだそうだ。もっともっとみんなが笑顔になれるような、社会を創っていく。シブヤ大学しごと課の活躍はこれからも楽しみです。


レポート(2)
先輩:堀田顕人さん
訪問者:マツエダ
訪問日:2010/10/18 14:00~
訪問内容:面談


『BEFORE』
シブヤ大学の先輩訪問に応募したのは、一昨年からずっと私がリクルーターとして活動していてそもそも「働くってなんだ?」って疑問にぶち当たったからです。10月を過ぎても内定が取れない状況。暗中模索の毎日で、息苦しい日々を過ごしていました。シブヤ大学しごと課の募集を見てココで「ブレイクタイム」というようなテンションで、堀田さんとお会いし「仕事とは何」という原点回帰なワードでお話を伺いました。

『訪問』
平日の午後、表参道のカフェで待ち合わせをしました。
堀田さんは、最初大学を出た後に会社勤めをして、一度転職したあと、現在の会社に勤めながらNPO法人シブヤ大学に関わるようになりました。そして、シブヤ大学の新しいプロジェクトとして、シブヤ大学しごと課を立ち上げました。
就職活動は、芸術系の学校に通っていた関係で一般の学生と違って遅くにはじめられたとお伺いしました。一か月の就職活動を通じて"内定"を獲得されたそうです。就職活動をする際にポイントとして挙げたのは、自分がどのようなことに興味があるかの落とし込み。堀田さんが行ったのは、模造紙に生まれてから現在までの年齢を書き「その年その年で何に興味があったのか?」ということを精査していったこと。色々な"自分"が見えてきてこれからの自分がやりたいことを考える際の材料として新たな視点を獲得することが出来たそうです。もし、自分のやりたいことが何かよくわからなくなっているようなら、頭と心の整理と思って、私に是非やってみてはどうですか?と薦めてくださいました。
もう一つ私に話してくださったのは、そもそも仕事に関わることの意義。「関係性」を構築することが、自己の目的達成には重要とMIT(マサチューセッツ工科大学)のダニエル・キム教授の組織の成功循環という理論を例に挙げながら説明を進めました。第三者と仕事をする際に、関係の質→思考の質→行動の質→結果の質→関係の質...(→が続いていく)が重要なカギとなるとの事でした。先方との関係性構築のことを念頭に入れつつ、自分の利益も考えなければならない。それが、仕事の核となる部分であると。相手との関係性が強固になれば、思考の質が高まり、行動も結果の質の向上にも結びつく、そしてまた、次の新たな関係性にも結びつくことが出来るというお話でした。この理論は、仕事に就くという話にも応用が出来るとの指摘も頂きました。仕事において行動や結果がうまくいかないときは、「関係性」が十分に築けていないことが多い、ということです。なので、まずは人間関係をゆっくり構築していくという方法もある、というアドバイスして頂きました。私たちリクルーターの一部には、「ま、いいか」というテンションで職業選択をし、入社3年を迎えるわけでもなく辞めていってしまいます。だから妥協せず少しでも、興味ある分野に飛び込み、そこで少し時間をかけてでも関係性をつくっていく勇気が必要なのだと強く感じました。2時間近く、時に談笑もしながら話をする事が出来ました。

『AFTER』
堀田さんから話を伺い頭の中を一度フラットに戻せたような気がします。今も就職活動が続いているのが私の現状です。少し心が折れそうな時もありますが、自分の"夢"を実現するため熱く奔走中です。早く吉報を堀田さんにお伝え出来れば嬉しいです。