シブヤ大学
街の先輩訪問街の先輩訪問レポート

街の先輩訪問レポート16(岡野 真吾)



先輩/岡野真吾さん 有限会社田んぼ 代表取締役
訪問者/すずき
訪問日/2010年10月24日11時~
訪問内容/ぬか釜炊飯見学


◯訪問の目的、動機
もともと私は、フードデザインに興味があり、いつか趣味でも良いので、食をデザインしてみたいという事を漠然と考えていました。
その為、デザインと食に関わる事にはアンテナを張っており、今回の募集を拝見した時も、この訪問で更に食に関する新しい発見が出来るのではないかという事を期待しました。

証券会社勤務から、御飯屋さんを起業し、自分で米作りまでするようになった岡野さん。ここまで米を追求する方からは、面白いお話が聞けるに違いないと思いました。
どのタイミングで起業したのか、日々どのような事を心がけているのかを今後の自分の仕事の参考にしたいと考えました。

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◯訪問の内容
ぬか釜炊飯の見学
この訪問日の天候は雨も降らず、風もない、ぬか釜炊飯日和でした。ぬか釜炊飯の一連の作業を見学し、その合間に岡野さんの仕事に対する考えを伺いました。
途中、ぬか釜炊飯のもの珍しさに声をかけて下さる若い方や、懐かしいとおっしゃる方などとの会話から、私もお米について学ばせて頂きました。

■ ぬか釜炊飯とは
籾殻を燃料にして、お米を炊く事。籾殻は稲刈り後に大量に出るもので、これを燃料にした後も、焼かれた籾殻は、肥料として使用されるという賢い仕組みになっています。使用した釜は底が丸く、これによって釜の中で対流が起きやすくなり、お米が立つ状態になるそうです。

■ ぬか釜炊飯の手順
1 ぬか釜の内側の円筒に籾殻が入らないようにボールで蓋をして、外側の筒に籾殻を入れます。
2 ボールを外し、新聞紙に火を付け、内側の円筒に入れます。
  ※油分の多い杉の葉を普通は使用するらしいです。
3 米と水の入った釜を乗せて、蓋をし、さらにその上に石を乗せて蓋を重くします。
  重ければ重いほど、米は反発して美味しくなるそうです。
4 米が炊けるまで待つと、美味しいぬか釜御飯の出来上がりです。

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炊飯の合間に伺った仕事に対する思いについてのお話。
以下はその時のメモです。

1 証券会社勤務から、御飯屋さんを起業した理由
もともと、お店を持ちたいという夢が昔からあったが、まずは、そのライバルになる証券会社でビジネスを学ぼうと思った。3年で辞める予定で、会社にもその旨を伝えていた。しかし、今までお世話になった事もあり、去り際を会社側に委ね、予定よりも4年時期を延長し、7年勤めた。その仕事の中で、成功している経営者の経験を本人から直に聴く事が出来、良い体験になった。よく成功者について書かれた本を読んでいたが、直にお話を聞けた事は、それ以上に貴重な事だったと思う。そのお話から疑似体験する事によって、自分の望む道を通る術を学んだ。成功者のお話から、どう自分にアレンジできるかが重要だと思う。

2 お米を素材に10年以上お仕事をして、新たに発見出来た事とは?
創業当時からの目標は、現在も変わらず、「美味しい御飯を食べたい」というシンプルな事。だから、自問自答しやすい。このコンセプトを元に、田んぼを自分達で育てて、収穫するようになったし、ぬか釜も地方のホームセンターから買い付け、月1でこれで炊飯するようになった。目標は変わらないけれど、その目標の為に思考錯誤する過程で、新たな発見がある。ますます仕事が楽しくなるスパイラルがある。

3 今後、新たに注力して行きたいと考えている事とは?
お米を多くの人に知ってもらう事。田んぼ代々木店には、店先にも稲を育てている。都内のど真ん中でもお米は育てられる。ガーデニングブームの延長で稲を育てるようになっても良いのではないか。そして、お米について知ってほしい。米を安売りしたくない。多くの人に米の価値を知ってほしい。

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◯訪問後の感想
日本人が毎日食べるお米。御飯が美味しいとその一日は幸せだと思います。その為には、お米について詳しくなる事。良いお米に美味しい炊飯方法をまずは知る事で、食からの幸せを得る事が出来るのではないかと感じました。また、それが広がる事によって、農家の方も自信を持って、美味しいお米をつくり続ける事ができるそうです。今回の訪問先、「おひつ膳 田んぼ」には、老若男女、そして外国人客も数多く見られました。外国人の友人に、高級寿司屋ではなく、美味しいお米を紹介出来るこのお店は素敵だと思いました。 それは、岡野さんの目標がシンプルで、それに照らし合わせて、何をするべきか考え、実行出来ているからなのでしょう。月1でぬか釜炊飯を行っているそうです。多くの方に、まずはここに来て、美味しいお米を食べて米の知識を得る欲求を高めて頂ければ、と思います。ちなみに私は、月1のぬか釜炊飯の時には足を運ぶ予定です。

自宅で出来る美味しい炊飯方法については、田んぼのHPでも紹介しています。


今回は、貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました!