シブヤ大学
街の先輩訪問街の先輩訪問レポート

街の先輩訪問レポート2(左京 泰明)



<はじめに>
社会人2年目。
「仕事をしてキラキラしている人と、自分との違いは何なのだろうか。」
ずっと自分の中にあった疑問やモヤモヤを、どうにかして晴らしたいと思っていたとき、シブヤ大学のしごと課の街の先輩訪問という企画を見つけました。

「自分がしたいことって、本当にこういうことだった?」
「社会人として、自分らしさにこだわるってワガママなの?」
毎日感じていた、社会人になってからの自分の居心地の悪さ。

私だって毎日いきいきと仕事がしたい。
キラキラしている人にあって、自分に足りないものは何なのだろうか。
自分が輝くためのヒントをもらいたい。
自分のためにも、みんなのためにもなる自分になりたい。

そう思い、シブヤ大学の学長をされている左京泰明さんにメールを送りました。
それが、はじめの一歩。
はじまりです。


【街の先輩訪問 内容報告】
街の先輩:左京 泰明さん(シブヤ大学学長)
訪問者:市川 絢子
訪問日:2009年12月11日(金)

20091218_1.jpg

私が疑問に思っていること、悩んでいることに対して、一問一答形式(丁寧すぎるほどのお答えと説明)で相談にのって下さいました。


●どんな仕事も必要
私は、父親の経営する漁網製造会社で事務をしています。
しかし本当は、人の「こころ」というものに興味があり、心理系の職に就いて誰かの役に立ちたいという思いがあり、そのために大学も心理学科を選びました。
しかし、今自分がしていることは一般事務。
「自分がしたいこと」と「今、自分がしていること」の質の差に悩んでいました。
"もっと人のためになる仕事がしたい"と言った私に、左京さんが、
「どんな仕事も必要なんだよ。ニーズがあるから仕事として成り立っていて、ニーズがあるということは、人のためになっているってこと。」と。
うちの会社の製品を必要とし、買ってくださっているお客様がいる。
そのことにもっと感謝して、お客様の気持ちに応えられるように精一杯仕事をすることが、「今の自分」にできる「人のためになること」なんだなぁ、と。そう感じました。

それに加えて、「引きこもってしまっていたり、何かの事情で、働くことに難しさを感じている人に雇用の機会を与えられたら・・・」と話した私に、
「(自営業という今の私の環境を活かして)それなら今の会社でもできることだよね。すごくいいと思うなぁ。」と左京さんに言っていただけて、
本当に自分がしたいことは今の会社ではできない!と思っていた私でしたが、今の自分にもできることがあるんだと、前向きな気持ちになることができました。


●今の自分にできることを考える
"今の自分に居心地の悪さを感じている、それじゃあ環境を変えるために転職しよう!"
そんな気持ちを持っていた私に、左京さんが教えてくれたこと・・・それは、
「実は環境を変えるということは一番簡単で、自分の気持ちさえ固まればすぐにでもできる」ということ。
人がたくさん集まれば、どこに行ったってだいたい同じような問題が起きてくる。
それなら、「自分が居心地の悪さを感じる理由は何なのか?どうしたら居心地が良くなるのか?それを考えるといいと思うよ。」と左京さんは提案してくれました。

そして、話をしていく中で、私という人間がなぜ今の自分に違和感を感じているのかを左京さんも考えてくださって、
その場にあった紙とペンを使って、私が輝くための具体的な提案をしてくれました。

『本当の自分を出してもいい』
左京さんが書いてくださった図が載せられないのが残念ですが、その図を文章で表すとこんな感じです。
まず、「本当の自分(1)」というものがあるとする。
そして、社会と接する時には「本当の自分」は仮面を被る。
被る仮面は、友達・恋人・家族・仕事・・・etc、それぞれ接する人や環境によって変化し、社会と接するために仮面を被った本当の自分を「個人
personal(2)」と呼ぶ。
「社会(3)」というのは、友達・恋人・家族・仕事といった様々なものの集まりで、たくさんのことを要求してくる。

(1)→→→(2)→→→(3)
(↑簡単に図にするとこんな感じでしょうか・・・)

社会人2年目の私は、実はしばらく会社をお休みした時期があったのですが、
左京さんとお話ししていて気づきました。社会から要求される自分になりきることに必死になるうちに、本当の自分を見失ってしまい、疲れきってしまったんだなぁ、と。
本当の自分ばかりを大切にしていては、社会と繋がることは難しい。自分を甘やかすことにもなる。
けれど、自分勝手な期待や要求が渦巻いている社会というものに飲み込まれてしまうと、本当の自分とかけ離れてしまってつらくなる。
本当の自分と、社会との距離感が大切で、うまくバランスをとる努力が必要なんだということを教わりました。
左京さんは「僕は勉強することや学ぶことが好きなので、社会のためにもなっていると感じる今の仕事が合っているんだと思います。本当の自分からもそう離れてはいないし、社会とも繋がっているし。」とおっしゃっていて、
もし、今の仕事環境では、本当の自分が持っている気持ちを形にするのは難しいという場合、仕事場以外での第2、第3の個人というものを作って、自分らしくいられるように、本当の自分というものを疎かにしすぎない工夫が大事なんじゃないかというアドバイスをいただきました。
この話を受けて、社会とうまく繋がっているだろうか?ということばかり気にしていた私ですが、自分自身との対話というか、自分が本当はどういう人間で、何を大切にしていて、何が嫌で何が好きなのか、ということを気にしていきたいと思うようになりました。


●街の先輩 左京泰明さんとお話しして感じたこと
左京さんとお話ししてみて、左京さんの姿勢や、人に対する考え方で素敵だなぁと感じる部分がたくさんありました。
シブヤ大学学長という立場だけあって、さぞ大きな夢や野望に溢れているのだろうなと思っていたのですが、実際は違いました。違うと言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、「今シブヤ大学が抱えている生徒さんや、スタッフや家族や友達を大事にできる範囲で頑張っていきたい」とおっしゃっていて、人との縁や関わりを大事にされているその姿勢がとても素敵だと感じました。
さらに、その頭の柔らかさというか、人との関わり方のパターンの多さには驚きました。こう関わってみてダメなら、次は違うかたちで関わってみる。それでもダメならまた違うかたちで・・・という風に、その人とどう関わればいいのかを常に工夫されているように見えました。
人と関わるとき、その人を変えようと「意図して動くことはあまり良いと思えない」と左京さんに指摘されました。人とは「向き合う」のではなく「寄り添う」。言い合うのではなく、同じ方向を向きながら相談して話し合う。「なかなか寄り添うことのできる人間は少ないから、それができれば自分の強みになると思うよ。」と、そう教えてもらいました。
左京さんは、ご自分の考えを私に押し付けることなく、アドバイスや提案をしてくれました。
良いことは素直に良いといい、それはちょっとどうかな?と思ったら、その気持ちを私に伝わるように説明して下さいました。それってなかなかできそうでできないことだと思うのです。
今回、仕事をする上で人との関わりが一番大切なんだと感じました。周りにいる人を大切にしながらお仕事をして、自分自身の本当の気持ちにも耳を傾けながら、自分らしくお仕事ができるようになりたいと思っています。


<おわりに>
街の先輩訪問でシブヤ大学事務局を訪れた際、何人かのスタッフさんとお会いすることができました。
素敵な笑顔で迎えてくださる方から、お茶の心配をしてくださる方、緊張している私にさりげなく雑誌を差し出してくださるスタッフさんもいらして、その方法は違えど、私に関わろうとしてもらえたことが嬉しかったです。ものすごく緊張していたので、思ったようにお話しできませんでしたが、温かく迎えていただけたことに感謝しています。
左京さん、しごと課の渡辺さん、大事なお時間を割いて下さってどうもありがとうございました。
あまり気負わず、周りの人に思いやりをもって、笑顔を大切に、日々お仕事ができるように工夫して頑張ってみます。
本当に本当に、貴重な機会を与えて下さってどうもありがとうございました。