シブヤ大学
しごと課の授業

奈良ツーリズムのレポート(3)



◆1月9日(日)ーーーーー

2日目の朝は、7時に集合してお散歩へ。
今回のツアーは一日中図書館にカンヅメというある種ストイックな企画だったのですが、
せっかく奈良まで来たので観光も。。。ということで奈良の中心街や穴場スポットへ。
藤丸さん/村岡さんのガイドでお寺の由来なども聞きつつリフレッシュ。
さわやかな気分で、再び図書館へ。


09:30~12:00 鈴木 昭男(サウンドアーティスト)

手作りの楽器の演奏や
あきにゃんという猫のイラストのスライドで、五感を愉しませてくれた鈴木さん。
西村さんと会った時に「生きてます」
と自己紹介をなさった、というエピソードどおり、自然体で生きている方でした。
言葉にするのが難しいのですが、その場の空気が優しくなるような
印象を受けました。

「相手が納得するんだったら、
何も肩書きつくらなくてもいいかなって、
過ごしてきたところがあります。
枠にはまっちゃうと、その中でしか泳げなくなる。」

「"働く"というと違和感がある。
かといって、遊びでもない。」

「予定が決まってしまうと
その日が来てしまう。
終わってしまう怖さがある。」

「"日向ぼっこの空間"という作品をつくる際に考えていたのは、
一日だけ使ったら、後は自然に戻ってほしいということ。
風化していって、50年もしたらなくなる。」

「風の音、鳥の声。
それらを、言葉に置き換えて聴いていた。
そうではなくて無になるために
ひとの言葉に変換したくないと思います。」

「正しい姿勢で歩きたい、
わだかまりなく生きたいだけ。」

13:30~16:00 山本 ふみこ(主婦、随筆家)

主婦と随筆家という2つの顔をもつ山本さん。
自分を大切にする主婦の仕事と、
まわりの人を大切にする随筆の仕事のバランスの良さを感じました。
"うまくいかなさ"をありのまま受け入れる山本さんの姿勢は、
悩みをもつ人に是非知ってほしいと思います。

「思い返せば、うまくいかないことの連続だった。
でも今思うと懐かしいし、愛おしい。
仕事についての悩みを持っている人に
言いたいのは、うまくいかなさが面白さにつながるっていうこと。
こんな時代だからこそ、自分の軸をたてるのに役立つと思います。」

「今の若い人は、結果ばかり求める気がします。
本当は途中にある物が楽しいのに。
何もかも、エレベーターみたいに行き先ボタンを押したらそこにいくのではなく、
階段を一歩一歩のぼる楽しさを知ってほしい。」

「主婦という仕事で、
ルーティーンワークが嫌にならないような気の遣い方をしています。
"私"と"家"という感覚があって、
私をもてなす、私を甘やかす事を大切にしています。
自分自身に気を遣うというか。
人は二の次、自分が生きて、元気でいる事が一番大切。
ひとりでいるときでも、きちんといただきますを言う、みたいな感じ。」

「エッセイストとしては、
プロフェッショナルと呼ばれる人たちが、
ストレスなく仕事できることを大切にしています。」

「日本語の仕事をずっとしていきたいと思っています。
日本語が好き。美しさがある。
好きな言葉は、孤独と異端。
悪者にされているけれど、いい言葉。
"孤独"は、ひとりきりで何かをするぞという覚悟。
"異端"は、つい考えがはみ出す、自分への餞(はなむけ)。」

「思い込みを取っ払う。
時には、思いがけない事をしてみる、ずっとやってたことをやめる。
休めるなら休む。
自分自身に対する誤解は手放した方が楽になる。」


16:30~19:00 中村 好文(建築家)

「"働いている姿"をいちばん見てほしい大人だと思う」、
と西村さんに紹介されて登場した中村さん。
社会に出たら、我慢して働かなきゃいけない?という疑問を吹き飛ばす、
ラテン系の明るさとパワフルさを持った方でした。
趣味の替え歌を披露してくださったりと、
建築の巨匠然としていない気さくさが印象的で、
だからこそ多くのファンや会社メンバーとの家族のような関係性が
つくれるんだろうと思いました。

「面積計算できない、事務能力がないのを利用した。
だから最初から一番楽しい設計に携われた。
だって、それしかできないんだから。」

「有名な評論はいっぱいあるけど、自分が感じる事は違う。
『住宅巡礼』にはそれを書いたつもり。」

「大切にしてきたことは、身の丈を超えない事。
自分ができないことはしない。立身出世しない。
地位や権威からは遠いところにいたい。
野心が無いとも言えるし、
向上心がないとも言える。
でもそれが自分の身の丈と性分に合っている。」

「競争しない。
色んな人がいるから、その人のペースがある。
自分で走るだけだから、遅れても気にならない。
周りの人を気にしないし、卑屈にならない。」

「遊び半分でやりたい。
半分まじめだからいいじゃん。
才能があるとしたら、ひとつのことを愛し続ける事。」

「ジーンズみたいな家をつくりたい。
その人の普段着をつくる感覚。」

「みんなが稼いだお金をみんなで使うから、
いくらあるかわかるようにしておく。
みんなで運営している健やかさがあるし、みんなで頑張れる。」

「楽観的だし、計画性が無い。
いやなことはどんどん忘れる。
いやなことは歌にしちゃう。」

「社会をどうにかしようとかではない。
物が必要かどうかは問題じゃない。
自分が作りたい、やりたいからやる。」

「ホームズの言葉で、"仕事が報酬"という言葉がある。
お金のことは考えない。やるか、やらないか。
お金に見合うかどうかは考えない。
若い人たちによく言うのが、
"霞のおにぎりに、夢をふりかける"。」

「"普通"という言葉が好き。日本語はネガティブな言葉だけど
スウェーデン語の"エンケル"は、
"ちょうどいい"や"シンプル"、"誠実"といった意味をもつ。
住宅とは、箱の事ではなく暮らしの事。
ひとりの人間が居たら、その向こう側にはたくさんの人たちが居る。」

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2日の終わりには、「つる由」で懐石料理を。
普段は財界人などが訪れる有名なお店で、
なかなか入れないお店だとか。
見た目にも美しい料理の数々、
繊細な味付けに、みんな感動。
お刺身、白子といった食材が新鮮でおいしく、
デザートのくずもちとお抹茶まで
ゆっくりとした時間を過ごせました。
(お店の方をはじめ、コーディネーターの堀田さん/藤丸さん/村岡さん
本当にありがとうございました)


→レポート(4)へ続く