シブヤ大学
街の先輩訪問街の先輩訪問レポート

街の先輩訪問レポート10(本城 慎之介)



先輩/本城慎之介さん
訪問者/ミヤタ
訪問日/2010年6月12日(金) ~6月13日(土)
場所/森のようちえん ぴっぴなどさまざまな場所


1.訪問参加の目的
私は現在、社会人として働いています。
いま勤めている会社は、特に興味がある業種という訳ではありませんでした。
収入を得るため、合理的に選んだというのが正直なところです。

しかし、それがいつも私の心の中に引っかかっていました。
何か仕事で失敗があったり、嫌なことがあるとすぐに
「好きで選んだわけではないから」「事業内容に興味が持てないから」
などと言い訳をしてしまう。
会社に「合わせる」、会社の指令に「従う」ことを入社以来続けてきた結果、
自分に自信がなくなり、自分を信頼できる感覚が鈍ってきたようにも感じていました。

自分の心に真っ直ぐに、自ら選び、判断してやっていく感覚を取り戻したい。
そう思いながらも、何をどう行動すればよいのか分からず、
何も進まない毎日に焦燥感が募るばかり。
将来に対する漠然とした不安もあり、悩んでいました。

今回の街の先輩、本城さんは、楽天株式会社を立ち上げて副社長を務められた後
教育に方向転換し、様々な活動を進められています。
数ある選択肢から何を、どのように選ぶのか。
そしてその実現はどうやって進めていくのか。
そういったことに興味があり、街の先輩訪問に申し込みました。


2.訪問時の内容
初めての経験が多く、台風のように過ぎ去っていった2日間。
カルチャーショックを受けた出来事がたくさんありました。
以下、箇条書きにて体験を綴ります。

■森のようちえん ぴっぴにて
・本城さんは、同幼稚園でスタッフとして働いておられる。
私も1日、実習生として保育体験させていただいた。

・軽井沢、大自然の中にある幼稚園。
子どもがのびのびできる絶好のロケーション。

・軽井沢の子どもは人懐っこい。一緒に遊ぶ(というよりも「遊ばれる」)。
泥遊び、ごっこ遊びなど。泥はチョコレート、柱の陰が冷蔵庫。
机の上にごちそうを並べて、今日はパーティー!
細く巻き付いた木の枝はヘビ。大木に縄跳びをグルグル巻き付け、熊狩りごっこ。

・色々な個性の子どもがいる。「子どもらしさ」として一括りにはできない。
それぞれの性格、感性、価値観を持っている。

・子どもたちはすぐにケンカをする。
ただし、保育者は大人の判断で善し悪しを押しつけない。
子どもの気持ちを聴き、それを相手に伝えて和解させていた。
一人の人間として真っ直ぐ向き合うことが大切。


■本城さんのお宅にて
・軽井沢にて、本城さんのお宅に一晩お世話になった。

・大きな本棚には本がびっしり。

・テレビがない。

・美味しい家庭料理をいただき、癒される。
(普段、私は外食が多く、オヤジのような?食生活を送っている。。。)

・本城さんのお子様がきちんとした挨拶をしてくれた。
「○○さん、こんにちは。」「○○さん、おやすみなさい。」
多くの子どもはこんなにちゃんとした挨拶はできないだろう。大変驚いた。
子育てをしっかりされておられる結果だと思う。

■アカデミーヒルズにて
・翌朝、東京へ移動。
六本木ヒルズのアカデミーヒルズ(六本木ライブラリ)を
オフィスとして利用されているとのことでご案内いただく。

・ライブラリは六本木ヒルズ49階。
東京が一望できる素晴らしい眺望に、しばらくボーッとしてしまった。
静かで洗練された空間に頭がクラクラする。

・利用者は若い人が多い。20~30代がメイン層と思われる。

・普段、公立の図書館しか利用してこなかった私にとって
カルチャーショックを受けるほどの場所だった。
この環境ならお金を出してでも通う価値はあると思う。

■奨学財団にて
・本城さんが理事を務められている奨学財団へ。
この財団では、社会的に意義ある活動をする学生にサポートを行っている。
打合せ、奨学生のつどいへの同席。

・奨学生は非常に個性的、かつアグレッシブ。
年齢層は幅広い。20歳前後の若い子から、社会経験を積んだ後に大学に入り直した人も。

・奨学金は給付。貸与でないので、将来、返還する必要がない。
その分、社会への還元が期待されている。

・給付方法は、(振り込みではなく)小切手を支給する形式。
理事の目の前でサインの上、支給。
奨学生としての自覚を持つには十分なインパクト。

・奨学生ははじめ静かに様子を伺っていた?が、
グループに分かれての自己紹介を進める内に緊張がほどけ、
そのうちワイワイと楽しそうに交流。

・本財団では、奨学生同士の交流ができる機会が設けられている。
同期内にとどまらず、OB・OGを含めた交流の場があるとのこと。
この縁から、新しいアイデアや動きが生まれることもあるだろう。
一人ではできないことも、同じ志を持つ仲間がいることで達成できることもある。

・現在取り組んでいること、将来やりたいことを輝く笑顔で話す奨学生。
世界で起きている諸問題に目を向け、発展途上国の貧困や、地雷の問題などを
「自分の問題として」把握し、「実際に行動して」いる様子。
会社内の仕事をいかにさばくか、そればかりを考えていた
私自身のちっぽけさを感じた。

■本城さんよりいただいたお言葉
・他人の成功論はあまり役立たない。同じ事をやって成功するとは限らないことが理由。

・数ある選択肢から何を選ぶか?
→ 本城さんは「面白そうか」「ピンとくるか」で決めている。
頭で考えるのではなく、胸や腹にストンと落ちるかどうかが大事
(頭で理屈を付けて導出される結論は信用ならない場合がある)。

・その実現について
→ 他の何かを手に入れるために、何かを捨てる場合もある。
「何を手に入れるか」より「何を捨てるか」が大事。

→「できないからやらない」と初めから決めつけない。
まずやってみること。それで合わなかったらやめる。

・「もう少しなんとかならないかなあ」と思うことを改善してみる。
「やりたくない」ことはやらないようにする。

・別の事にチャレンジするのに金銭的な不安がある場合は、
生きて(食べて)いくのに最低限どれだけかかるか、
具体的に試算してみるとよい(案外かからないはず)。

・自分は自己肯定感が強い、と思っている。
自分は運がいい、と思っている。
なんとかなる、と思っている。
根拠はない。根拠なんてそもそも見つからない。


3.訪問後の感想
以下、箇条書きにて訪問で感じたこと(まとめ)を綴ります。

・大事なのは「自分を生きる」こと。

・チャレンジに年齢は本質的に関係ない。
「自分が何をしたいか」「何に興味があるか」を大事にする。

・誰の為でもない、自分のための人生だから、
自分の気持ちに素直になった方が、きっといい。

・新しい体験を大事にする。人生の可能性を広げる。

・新しい人との出会い(縁)を大事にする。やりたいことの支えになってくれる。

・人生に答え(正解)なんてない。

・自分の人生、変えるのも、とどまるのも、ハンドリングできるのは自分だけ。


最後になりましたが、本城さんをはじめ、
今回の訪問でお世話になりました全ての皆様に感謝します。
本当にありがとうございました。