シブヤ大学
街の先輩訪問街の先輩訪問レポート

街の先輩訪問レポート9(上田 壮一)


先輩/上田 壮一さん
訪問者/福里 さや香
訪問日/2010年5月11日(火) 15:00~17:00
訪問内容/面談
場所/(株)スペースポート

≪きっかけ≫
私は何のために仕事をしていくのだろう。していきたいのだろう。
日々そんなことを考えていた私にとって、上田さんの言葉はとても心に響き、そして、とても勇気が出る言葉に感じました。

『誰もが生まれながらに与えられている「創造性」という力を、何のために活かして生きるかを意識しながら仕事をしたいと思っています。』
(街の先輩訪問ページに記載されているメッセージ)

私もそんな風に仕事に向き合っていきたいと心から思いました。
そのために、上田さんがどうやって第一歩を踏み出してこられたのか聞いてみたいと思い、訪問に応募しました。

≪訪問≫
スペースポートのオフィスにて、2時間ほどお話させていただきました。
失礼ながら、上田さんはすごく博学で堅そうな方というイメージを持っていたのですが、お会いしてみるととても穏やかで安心感さえあり、とても話のおもしろい方でした。

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●上田さんのはじまり
Think the Earthプロジェクトの第一弾となるアースウォッチwn-1。
「こういう時計があったらいいな。誰か作ってくれたらいいな。」
はじめはそのくらいの気持ちだったそうです。
それが徐々におもしろいと賛同する人が増え、気づいたら「自分がプロジェクトに巻き込まれていったような感じ」だったそうです。

意外でした。
何かひとつのプロジェクトを始めるには、並々ならぬ(?)決意がいるものかと思えば、
案外そうとは限らない。(もちろん、伝えたいメッセージが核として存在するのですが。)

ものをつくって売るとなると、どうしてもどれ位売れるかを勘定してしまいがちだと思うのですが、上田さんは、売れるからやるのではなく、「売れるまでやろう」という思想なのだと言います。

●大切なのはどちらか
「メディアがメッセージを生むのではなく、メッセージがメディアを創る」
上田さんが、広告代理店勤務時代に感じ、フリーとなる背景にある思いだそうです。

例えば広告業界であれば、まず○○を伝えたいという思いがあり、それをどういった形で伝えていくのか、新聞なのかテレビなのか雑誌なのか...と考えるのが本来の形ですが、実際には、企業やメディアありきとなってしまい、△△社向けの企画を考える、とか、△△の広告枠をどう使うか、という考えが先行していることが多かったそうです。

気がつくと手段がゴールになってしまうことは少なくない気がします。これから自分がどんな仕事をするのであれ、目的を見失わずにいられるような心構えも必要だなと感じました。

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●半径3メートルから
上田さんがテーマとされている人間問題(環境、戦争、社会など、人間がうみだしてしまった人間の問題)を「わかった」と感じる人が、やがて「伝える」人へとなっていってほしい。そのために、「あたま、こころ、からだ」の3つのアプローチが必要だといいます。
あたま...学校教育などで学ぶ知識や情報
からだ...実体験、経験
こころ...学びたい、感じたいと思うモチベーション
この3つが揃うとパワーを発揮するということです。

そのために上田さんは、リアルに感じられるもの、創造力やモチベーションとなる「こころ」に届くものをつくっていきたいとおっしゃっていました。

そして、たとえば社会問題に関心があったとしても、それを仕事としたり、活動するのは敷居が高いなと感じるのであれば、夕飯時に家族とその話題の話をしてみるなど、半径3メートルの社会貢献からすればいいとのこと。

第一歩を踏み出すことにためらっていた私にとって、このスモールスタートの発想は大事にしたいなと思いました。

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≪訪問を終えて≫
今回、上田さん訪問の機会をいただき、本当に心から感謝しています。
先輩の経験や考えを直接聞き、肌で感じるのは、web上や本などで話を読むのと、全く違いました。

今回の訪問を通じて、自分はどんな働き方がしたいのだろう、何をやりたいのだろうと考えているうちに、頭でっかちになってしまっていることに気づきました。
もっとシンプルに考えればよいのかもしれません。

また、上田さんのお仕事は「人間問題」と「伝える」が軸にありました。
伝える方法は、プロダクトであったり本であったり様々です。
軸を元に柔軟にチャレンジしていく姿はとても勇ましいなと思いました。
どんな仕事であっても、それを通じて届けたいメッセージがあるんだと思います。
自分の中にはどんなメッセージがあるのか、見つめ直してみたいなと思いました。

レポートでは伝えきれませんが、今回の訪問で得たものは非常に大きかったです。
みなさんも、どんどん先輩に会って刺激をもらってほしいなと思いました。
ありがとうございました。