シブヤ大学

シブヤ大学は、
“見つける学び場”です。

シブヤ大学は、まちのあらゆる場所を教室に、多様な授業を開催しているNPO法人です。
2006年の開校以来、開催した授業は1,400講座以上。これまでに36,000人以上が参加しています。

シブヤ大学とは

最新授業レポート

終了した授業の内容をお伝えします

ネガティブケイパビリティを鍛えよう! 〜答えを急がないためのワークショップ〜

今回の授業は、「ネガティブケイパビリティを鍛えよう!〜答えを急がないためのワークショップ〜」と題し、米国ルイジアナ州在住の学者・博士の矢島祐作さんを講師にお迎えしての開催、そして34名の参加者の皆さんが集まりました。 この授業では、ネガティブケイパビリティの概念を頭で理解することよりも、実際に体感し練習してみることを大事にしたいという授業コーディネーターの言葉のあとで、まずはグループ分けを行いました。 全員が円になって机を囲んで立ち、テレビ番組「笑っていいとも!」風に、5人〜6人がちょうど当てはまりそうなお題を考えてもらい、当てはまる人は挙手、人数がぴったり揃ったらグループ決定!というようなかたちで進んでいきました。「朝ごはんにパンを食べた人」「東欧に行ったことがある人」「今日授業に遅刻した人(笑)」などのお題から、ワークショップのグループが6つできました。5人を狙うお題を当てることは案外難しく、予定よりも時間はかかったものの、終始和気藹々としたグループ編成タイムでした。 グループに分かれたら、自己紹介の時間。お名前と授業に参加した理由を話し、緊張を解しました。全体が活気付いてきたところで、早速矢島さんからお題が出されました。そのお題は、各グループで『ネガティブケイパビリティを一言に定義して、代表1名が教室のホワイトボードにグループアンサーを書いてください』というもの。制限時間内に最適解をグループで考えるという「ポジティブケイパビリティ」=「問題に対してすぐに答えを出し『わからない』を『わかる』に置き換えていく能力(ネガティブケイパビリティとは真逆の力)」が試されるお題でした。私が参加したグループでは、「自分と相手の答えが出るまで待つ力」「わからないことをわからないままにする能力」などの答えが出てきました。全てのグループがホワイトボードに答えを書き出すと、矢島さんが答えの横にA・B・C・D・・・Fとアルファベットを書いていきました。この記号、皆さんはどんな感情を抱きましたか?私は咄嗟に、正解とどれだけ近いかという「成績」の意味だろうか・・・と思いましたが、実際は何の意味もなく書いているだけ、との種明かしが。 これこそ、アルファベットを見ただけで成績だと先読みして判断してしまう癖がついている=ポジティブケイパビリティが強いということなのだと気付かされました。 その後は、矢島さんからネガティブケイパビリティの説明とともに、現代社会においてはポジティブケイパビリティを強く求められるということを伺いました。教育、受験、就活、ネット社会では、すばやく最適解を出すことが求められます。じっくり考えて立ち止まることよりも、スムーズに効率よく進めていくことが重要視される機会が多いですよね。 さらに人間の脳は、もやもやしたまま決断しないことを不快に感じるのだそうです。 そして、英語は結論がすぐにわかる言語であることから、ポジティブケイパビリティが強く出やすい言語だというお話もありました。国や言語によっても傾向が違うということに面白さを感じました。ポジティブケイパビリティに偏った社会は、何が問題なのでしょうか? 社会全体としてポジティブケイパビリティの傾向が強いと、強くて速い意見が重視され、意見が違うもの同士の対話が難しくなるそうです。特にSNSにおけるコミュニケーションはこれに当てはまります。 ネガティブケイパビリティをもっと大切にできる社会になれば、より対話ができる社会になるのではないかと矢島さんは語られていました。 このような矢島さんのお話を経て、後半はネガティブケイパビリティを鍛えるワークショップを行いました。 ネガティブケイパビリティを鍛えるために「なるべく結論づけないように考えてみる練習」そして「考えをまとめずぼんやりしたままま終わらせる練習」をしました。 みんなにモヤモヤしてほしい、そしてこの授業もそもそも時間内に答えが出るものではないと話す矢島さん。 一体どんな時間になるのか、皆さんソワソワしてきました。 1回目のワークショップでは、2つのお題「偏差値の高い学校に行くべきか」「恋愛は一対一である必要があるのか」が提示され、1つをメンバーと選んで話し合いました。初対面かつ難しいテーマながらも、どのグループも大盛り上がりでした。私が参加したグループは後者の問いを選び、皆さんの個人的で具体的なエピソードから始まり、どうしてそう思うのだろうか?この人の立場だったらどう思う?あなただったらどう感じる?と掘り下げていきました。誰の視点に立つかで見方や意見が変わるため結論を出すことは非常に難しく、全体発表では経過と現状で出た答えを発表しました。 どちらのテーマについて話すのか選べずに終わりました!というグループが出てきた際には思わず会場から拍手が!ネガティブケイパビリティが大いに問われる時間だったのではないでしょうか。答えの出ない問いを初対面の人同士で、結論を出さずに対話して考えを深めていく機会が滅多にないことから、問いに対するモヤモヤ感はあるものの対話ワークショップは楽しい時間でした。 2回目は「人種、宗教、性など社会のタブーとされているトピックは話すべきか/話さないべきか」と「平和教育では加害の歴史も学ぶべきか/学ばないべきか」から選んで、グループで話し合いました。2回目は、テーマがより大きく、時間も限られていたため、どのグループも対話の途中で終了して、より強くモヤモヤが残ったのではないかと思います。 全体を通して矢島さんのお話が大変興味深く、研究についてもっとお話を伺いたいと思いました。 授業中も授業前後も、多くの参加者の皆さんが先生に積極的に質問をされている姿が印象的でした。 ネガティブケイパビリティをたったの3時間で学び切ることはできませんが、モヤモヤする練習を通して多くの学びと発見に出会える素敵な授業になりました。 ありがとうございました! (授業レポート:佐藤華子、写真:武田環、江藤俊哉、片山朱実)

【シリアスゲームであそぼう!】 不自由な世界をゲームで体験、「共生社会」を考えよう

シリーズで企画している「シリアスゲームで遊ぼう!」の第4回目。 『ワンダーワールドツアー』というシリアスボードゲームを使って「共生社会」について「学ぶ」。講師は、このゲームの製作者である高橋真(ちか)さん。 参加者はシリアスゲームの常連の方も含め、様々な年代の方々が集まった。私は、こどものころから人と競争したり戦ったりして勝ち負けを決めるゲームが好きだった。最近、人とゲームをして楽しむ機会が全くないため、とても楽しみに参加させていただいた。今回、体験したこの『ワンダーワールドツアー』というシリアスゲームは、私がこどものころに楽しんでいたゲームとは全く違った感覚のゲームだった。先ず、「勝ち負け」を競い勝った時の「満足感・優越感」で脳のある部分が刺激される感覚になるものではなく、「達成感」を味わうゲームであること。これって考えると新感覚のゲーム?今までに感じたことのない不思議な感覚を覚えた。このゲームは、3~5人で行うが、最初にプレイヤー全員がいろいろな特徴=「腕を曲げられない」・「声を出せない」等の「ハンディキャップ」を与えられる。そしてグループ「旅行者」となってゲーム=「旅」の開始である。トランプをめくるようにカードをめくり、カードに書かれている指示に従い行動するが、各自皆ハンディキャップがあるので全員がその指示通りに行動できるとは限らない。グループはお互いの弱点を克服しあいながら「旅」を続ける。そして「旅の楽しい思い出作り」をしながら、制限時間内で指定のカードを各自がすべて集められたら「ゴール」である。講座が終わった後で感じたこと小学生だったころ、学校でも人と「競争(競走)」するのが当たり前の社会だったので、こどもの時の自分は「協同(協働)」より「競争」の方が自分のスイッチが入った。時代が変わって現代、この『ワンダーワールドツアー』ゲームは現代社会を生きていくうえで「今、最も大切なこと」を体験しながら学べるように作られている。国語・算数・理科・社会はもちろん大切だけど、学校で教えられなくても今の時代、知識を学びたいと思えばPCやネットを使って自分でもすぐにひとりでも学べる。今日ここで体験したこのゲームを使って学ぶことは一人では絶対無理な学びである。自分の弱さを知り他者のことに思いを馳せられ、先のことをイメージしながら一緒に行動しようとしたとき、「どういうことをすればいいか」を考えて行動しなければならない。こういう感覚を養うことこそが時代の要求だろう。 ぜひこのゲームがより多くの教育の現場に取り入れられたらいいのにと思った。 (授業レポート:高野 好正、写真:高野 好正、松本浄)

アクティブ朗読のすゝめ ~詩(うた)の世界を演じてみる~

今回の授業は、劇団テアトルエコーから俳優、声優、朗読、ミュージカルと様々なジャンルで活躍されていらっしゃる杉村理加さんと、吉村いろりさんのお二方をお迎えしての開催でした。講師のお二方の紹介の後、みんなで円になり今回授業の参加理由をお聞きしました。元々演劇やミュージカル、朗読に興味があった方や大きな声を出してみたい、滑舌を良くしたい、リハビリなど様々でしたが「アクティブ朗読」とは何か?に惹かれた方も多く見受けられました。私も朗読に興味があったのですがアクティブ朗読とは普通の朗読とはどう違うのか?と言うちょっとした「問い」を持っての参加でした。授業の終わりにその「問い」は解決されるのでしょうか?まずはストレッチや腹式呼吸のやり方などの基礎練習からスタートしました。全身を動かして身体を緩めるというところが肝心で身体を触って確かめる腹式呼吸のやり方やリズムに乗って呼吸をする、声帯を使わない基本の声の出し方のコツなどを教わりました。講師のお二人の優しくユーモア溢れる声掛けや指導で身体を動かしているうちにみるみる緊張感もほぐれて声もだんだんと出るようになりました。発音や早口言葉を楽しく学んで「365歩のマーチ」に合わせて元気に身体を動かし声が出せるようになって行きました。後半は2つのグループに分かれて「ひょっこりひょうたん島」の曲に合わせての朗読の練習をしました。まずは歌詞を読んでよく意味を理解するところから始めて歌詞に合わせた動きを考えます。少ない時間の中でグループの動きはまとまるのでしょうか?あと10分です!の声に慌てあと5分です!で緊張感が高まります。音楽に合わせての本番は一回だけです。迫り来る時間にドキドキとワクワクが止まりません。両グループがだいたい出来たら実際にステージに立って基本の舞台の知識を教えていただきました。上手や下手、ステージでの立ち位置や客席から見えない幕の裏側での隠れ方など‥なるほど!と思わされました。いよいよ本番でタッタタラッタラタ〜のお馴染みのひょっこりひょうたん島のイントロに合わせて登場した演者さん達は見事に曲の意味を表現した動きを見せてくれました。今日初めて会った人達で作ったとは思えない楽しそうな動きと表情とチームプレイでした。同じ人数と時間で作り上げましたがそれぞれ全く違うものに仕上がっていて感心しました。最初のアクティブ朗読とは?の答えは…ただ原稿や本を読むだけではなく全身を使って意味を表現する朗読の事でしょうか?生徒さん達の終わってからの楽しそうな表情から健康や精神的に良い物だと感じられました。それを引き出してくださった講師の方の日頃の鍛錬や高い精神性が偲ばれました。楽しく感動的な授業をありがとうございます。 (授業レポート:片山朱実、写真:佐藤華子)

コラボレーション

企業・自治体などとのコラボレーション事例

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