シブヤ大学
レポート

8月ゼミレポート


今回もねいろメンバー あずさちゃんからのレポートです!
※ゼミでは視覚障害のメンバーをねいろさん、晴眼を虹組さんと呼んでます。


映画音声解説ゼミ8月のレポートです。
・自己紹介
・瀬戸裕介監督作品「LIMIT」音声解説発表
・村上智監督作品「砂の上の男」音声解説発表

今回は18名の参加でした。
ねいろさんは私を含め5名。

まずは恒例の10秒自己紹介。
今回は「初めて観た映画」というお題でした。

自己紹介の後は、いよいよみんなが書いてきた音声解説の初稿の発表です。
最初の作品は瀬戸裕介監督作品「LIMIT」。
作品時間10分で、台詞が二つしかありません。
なので、すごい文字量になるわけですね。
前後半の5分ずつで、二人の方が書いた解説を実際画面に合わせて読んでいきました。


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二つある台詞は作品の後半部分に入っているので、みんなでこの作品を観たときはあらすじは分かっていても、
音だけで細かい部分の推測をすることも出来ずにいました。
なので、この解説をすごく楽しみにしていました。
最初の方の解説を聞き終わって、ぐっとストーリーの理解が進みました。
その解説を聞いて、参加者全員が気づいたことをフィードバックしました。

話の内容には触れられないので具体的なことは書けませんが、内容の濃い意見交換を2時間ほどぶっ続けでした。
全体を通じて感じたこと。
一つの事柄に解説をつける中で奥が深いなと思ったのは、映像として「ただ見えたもの」を説明するだけでは、
話の面白さを伝えにくいということ。かと言って解説者が主観を入れてしまうと、映画の本筋(作り手の意図)から
外れたものになってしまい、それはもう音声解説ではなくなってしまうということなんです。

たとえば、「悲しそうな顔をする梓」だと、悲しいというのは解説者の主観になってしまうわけです。
悲しいかどうかは、それを観た人が決めるわけであって、そこで悲しいと書いてしまってはだめなんだということ。
この場合「目に涙を浮かべうつむく梓」と書くと、そこから「悲しいのかな」ということが想像できるというわけです。
(松田注:必ずしもそうとも言い切れないのですが・・ケースバイケースです)

相手に想像させる言葉を選んで書く。
これが本当に深くて難しい、でもそこが楽しい作業だなと思いました。

音声解説からは少し離れますが、こんなこともありました。
あるシーンの解説を検討していたときに、このシーンは細かくカットが変わるか
らそれも解説を通して言葉で伝えられたらいいのに、という話になりました。
この「カットが変わる」というのは、見えない私が映画を楽しんでいて「どうい
うことだろう」とずっと思い続けていたことなんです。
それを質問すると、村上監督がここに疑問を持つということに、すごくびっくり
されていたのが印象的でした。

休憩をはさんで、村上智監督作品「砂の上の男」の鑑賞。
こちらも書いてきてもらった解説を読んで、みんなで意見を出し合いました。


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監督から制作側の意見や映画撮影の裏話も聞くことができました。
「砂の上の男」は最後までやれなかったのですが、今日の意見を踏まえて次まで
にそれぞれ修正してくることになりました。
4時間ほとんどぶっ続けでしたが、楽しく濃い時間でした。
久しぶりに頭をフル回転させましたが、心地よい疲れで今回のゼミは終了しました。