シブヤ大学
レポート

第1回ゼミレポート


5月25日に開催したゼミ第1回目のレポートです!
最近音声解説付きの映画にハマったというねいろメンバーの梓さんがブログにアップしたものを
お借りして、松田が若干手をくわえさせてもらっています。

シブヤ大学「映画音声解説ゼミ」第一回、参加レポート :: 2014/05/25(Sun)

シブヤ大学「映画音声解説ゼミ」第4章、初回に参加してきました。
参加者は私を含め6名、その内視覚障害(ねいろ)は私だけでした。


【自己紹介から解説に関する説明】

まずは順番に自己紹介。
どういうきっかけでこのゼミを知ったかということ、
今どういう仕事をしているかなどのお話しをみなさんから伺いました。
大学生さん、プロのナレーターをしていらっしゃる方、
映画関係のお仕事をされている方と、さまざま。

映画に付ける音声解説とはどういう風にやっているのかという話になりました。
すごく興味があったけど、初歩的なことでなかなか聞けずにいたので、教えてもらえてよかったです。

まず、映画の音声解説には二通りの方法があります。
作り込みタイプと、ライブタイプ。
憶えている範囲で私なりに説明を書いてみますね。

① 作り込みタイプ
(松田注)解説原稿を起こし、ナレーターに読んでもらって収録、作品本編ときちんと同期されるよう編集されたもの
ロードショー中に実施されるものやDVDに入っているもののほかに、
ボランティア制作でも自宅で録音してパソコンで編集するというようなこともあります。(松田注ここまで)

映画本編を見て、台本を読み、場合によっては製作側とも打ち合わせをし、
台詞と台詞の間に入れる解説を書いていきます。
どれだけ客観的に台詞と台詞の間に、それを見ている視覚障碍者が
場面の想像をしやすいような解説を書くかということですね。
そして、私たちは指定された映画館の指定された時間に、
劇場でFM送信される解説をFMラジオのイヤホンを通して聞くことが出来るわけです。

参加者の一人から
「せっかく作ったんだから、どこの映画館でも流せばいいんじゃないですか?」
という質問がありました。
私も全く同意見でした。

でも、それには高いハードルがあるのだとか。
この音声解説データは、映像と解説がずれないよう調整している人がいるとのこと。
最初にセーノ!で流せばぴったりかみ合って最後までいくか、と言われたらそうではないのだとか。
そこを0,何秒かのずれを調整して、無事に客席に映像と音がぴったり合った解説が届くというわけなんです。
なので、この調整役さんがずっとどの映画館にもいられるわけではないことから、
いつでもどこでも解説が聞けるわけではないとのことでした。

② ライブタイプ
これは、今公開されている映画で、作り込みタイプの解説が無いけど見たい、
そういうときに使われる方法のようです。
ちなみに、私が今度参加させていただく「シティライツ」という映画サークルも、
こういう形式を含めて都内近郊であれば、毎週末どこかで音声解説付き上映をやっています。

さて、このライブタイプは、何度か映画を見た解説者が、
映写室からリアルタイムで解説を加えるというもの。
作り込みとは違い、ぴったり台詞と台詞の間に解説がはまるというわけではなくて、
つっかえたり、多少重なったりすることもあるのだとか。
でもそれも「ライブ」ならではの面白さということで、みんな楽しんでいるようです。

話を聞いていて、この二通りの方法の一番大きな違いは、
作り込みタイプは解説者の主観を入れずに、出来るだけ客観的な事実を伝えるということなのかと思います。
それに対して「ライブタイプ」の解説では、解説者の主観も結構入るようです。
(これについてはまだ未体験なので話を聞いただけですが)
役者さんの顔を見て「超イケメンです」
などの情報も入るんだとか。これはこれで面白そうです。


【ゼミで私たちが何をやっていくか】

そんなこんなで、音声解説の方法を聞いた後は
このゼミで私たちが何をやっていくかという具体的なお話へ。

4人の監督作品に、みんなで作り込みタイプの音声解説を作ります。
それを作品として、見える人も見えない人も集めて上映会をしよう!
一緒に映画を楽しもう!というもの。

どうですかこれ!?読んでるだけでテンション上がるのは私だけではないはず。
作り手側になる私たち、すごく大変な作業だろうと思います。
それでもきっと、楽しい時間になることは間違いない、そう思っています。


【制作ワークショップ】

最後にとあるドラマの数十秒ほどのシーンに解説を作りました。
この作業でまた、新鮮な感覚を思い出すことが出来ました。
私はみんなが作った解説を聞いて、いろいろと感じたことを話したのですが、
そのときに初めてシネマデイジー(音声解説付き映画のデジタル図書)を聞いたときの感覚を思い出しました。

それは「役者さんは表情でも演技してるんだな」ということ。
見える人からしたら当たり前のことだと思います。
でも、見えない私は台詞や音に集中して聞いているので、
声の感覚を頼りに表情は推測するための「おまけ」のような物でした。
みんなが一生懸命表情の説明を作っているのを聞いていて、
見える人たちにとって役者の表情というのはそれだけ大きな物なんだなと思いました。
その「大きな物」が解説が入ることで自分の中に立ち上がっていく感覚はほんとに、何度経験しても感動します。

ワークショップ用のドラマのシーンの中に、全く台詞のないBGMだけのシーンがありました。
私は今までの役者さんたちのやり取りから推測した内容を伝えたのですが...。
それが全くもって的外れでした。
そりゃ、何も音としての手がかりがないんだから、しかたないとは思います。
でも、今までこうやって自分の想像していた場面が、
実際と違うことは何度もあったんだろうなと、そんなことにも気づきました。

さて、次回からはいよいよ映画本編を観ての解説作りです。
どんな作品に出会えるのか、どんな解説を作ることになるのか、今から楽しみです。
そして、また新しい方々と出会うことが出来れば嬉しく思っています。