シブヤ大学

第4章キックオフのレポート


≪シブヤ大学公認映画音声解説ゼミ第4章 キックオフ レポート≫ 


2014年5月6日に第4章のキックオフイベントを開催いたしました!


【会場までの誘導】
ねいろさん:6名 虹さん:7名  
※ねいろさん=視覚障害のある方、虹さん=晴眼者 
ねいろさんと駅の改札で待ち合わせて会場までの誘導をしました。
予定よりねいろさんの人数が増えたのですが、
たまたま集合場所を通った虹組の参加者にご協力いただき、無理なく誘導できました。

【会場の様子】
ゲスト:監督3名、ねいろさん2名 
参加者:21名(内ねいろさん4名) 
監督3名も参加者側の席にすわっていて、全体的に和やかな雰囲気。
2席を残してスタートするも、途中遅れてきた参加者2名が席に着き満席となる。
部屋は出席者でギュウギュウ。

開始後・・・

1)10秒自己紹介 
制限時間1人10秒で、全員が発声した。
10秒自己紹介は、音声解説は限られた秒数の中で言葉を紡ぐ作業であることと、
ねいろさんは目で参加者を確認することが難しいため、
どれくらいの人数が部屋にいるのかなどを共有したい、
顔を把握する代わりに全員に発声してもらいたい、
でもなかなかイベントで自己紹介を丁寧にしていると時間がなくなってしまう
・・・などを解消するために採用しているゼミ恒例の自己紹介方法です。


2)音声解説付き映画の鑑賞体験
監督達を含めた参加者全員がアイマスクをして共有体験。
1回目:フランス語の映画の冒頭シーンを鑑賞
2回目:同じ映画の日本語吹き替え版で鑑賞
3回目:同じ映画の日本語吹き替え+音声ガイド付きで鑑賞
4回目:3回目の状態をアイマスクを取って鑑賞
音声ガイドを聴く前に作品のイメージを質問したところ、おのおの異なるイメージを答える。
例)エンジン音→外から聞こえる感じだからバイク。出演者がいる場所が車内だと思うから車など


3)ゼミ代表の松田高加子から今までの活動と今期についての説明
瀬戸裕介さん、村上智さん、朴美和さんのご紹介 ※多胡由章さんはお仕事の都合で出席ならず・・


4)今回作品をお借りする4作品の予告編鑑賞
松田の即席ライブガイド付きで観てもらいました

◆「作品のテーマは?&自分の作品に音声ガイドが付くのはどう思う?」を各作家さんに質問

『LIMIT』/瀬戸裕介さん:出品するイベントありきでの製作。イベントでのテーマが"リミット"だった。
台詞は2つだけなのでどうやって伝えるのかなーと思っています。

『砂の上の男』/村上智さん:人の力ではどうすることも出来ない事がテーマ。
スタッフは5名くらいで製作。自分でカメラ回しました。
自分の作品にどんな風にガイドが付くのかとても興味がある。
松田より質問:予告編の中で夕闇の迫る、、と書きましたがあれは夕闇?
村上さん:いえ、朝焼けです。
※松田もゼミ生と同じタイミングで初鑑賞をしたいと思っているため作品はどれも未鑑賞

『いたいのいたいのとんでいけ』/朴美和さん:身体的な傷と心の傷がテーマ。
スタッフは全部で20名くらいで製作。
以前視覚障害の方に自分の作品を観たいと言われたので、
今回ガイドを付けてもらえることになって嬉しい。


◆予告編鑑賞後、ねいろさんから作品についてどう思ったか質問

『LIMIT』→500円玉はどうするの?有料トイレってこと?500円玉で拭くってこと?など。

『砂の上の男』→拳銃は1つ? 2発撃ったのは誰と誰に向けて?など。

『いたいのいたいのとんでいけ』→先天盲の男性、女性それぞれに松田から質問。
"いたいのいたいのとんでいけ"と言う際の仕草は知ってますか? 
※先天盲=生まれつき見えづらい、見えない方のこと
男性は「分からない」
女性は「イメージしてるのが合ってるかわからないけど・・・」と言いながらばっちり正しい仕草を披露。
彼女は子育て中の若いママさんです。


5)ねいろさん全員に訊いてみました!「普段のテレビや映画鑑賞について」

松田は仕事を通じて多くの人に「視覚障害の人はラジオを聞くんじゃないの?」とよく尋ねられます。

★男性Tさん 
私はその誤解にいつも物申したくなります。やっぱりテレビが一番手軽だし、よく観ます。
時々分からないところをを家族に質問すると突然なので、家族が慌てて「えっ?!」と言ったきり・・・
結局わからないままです(苦笑)
  
★女性Nさん 
ドラマを良く観ます。大体は台詞で分かるけど、どうしても分からないところは友達に聞いたり、
twitterで質問すると、ばーっと回答のリプライが来ますよ。
mixiのコミュニティも活用しています。
音声解説付きの映画は「神様のカルテ2」で初めて映画館で鑑賞して感激。
それでキックオフにも参加。

★女性Tさん
海外のドラマが大好き。
 
★男性Nさん
テレビも観ますが、ラジオも好きでよく聞きます。
 
★男性Oさん
私もテレビをずっとつけっぱなしの状態ですが、家族に分からないところを訊くとうるさがられてます(笑)

※ねいろさんの参加者はほとんどが、「シティライツ」という視覚障害のある人と一緒に映画を観よう
というサークル所属の方たちなので、映画は日常的に映画館で楽しんでおられます。
 

6)音声解説の制作体験
映画作品のシーンに自分で解説を書いてみよう!

ある映画の1分程のシーンを繰り返し観てもらい、
お渡ししたシートに解説を書きいれてもらいました。
終了時間が迫ったので、2名の方にガイドを発表してもらい、検証してみました。

最初にみんなで鑑賞した時に、ねいろのNさんにどういうシーンだと思いますか?と訊いたら、
Nさんはとっても勘がよく、役者さんの声音や車の音などからほぼ100%理解していました。
別のねいろさんにも驚かれていましたよ。

このように視覚障害があるから、みんながみんな勘がいいわけでもなければ、
視覚障害があるからといって何も分からない人でもない。
視覚障害だからこそ気づくことも沢山ある。

少なくとも今回のワーク用の映像に関しては、
2時間の作品のあらすじだけ聞かされてほんの一部分を切り出したシーンに関しては、
理解の差に障害の有無は関係ないと感じました。


7)終了のあいさつ  2時間お疲れ様でした!


小岩井・松田共同筆記