シブヤ大学

授業レポート

2007/10/15 UP

                  

表立って聞くことがなんとなくタブーとされている性の実態。
知識は中学•高校の保健体育の授業止まり。
正しい知識に無関心なまま行う、若者のセックス増加。

あなたにとってセックスってなんですか?
高校生くらいになって、恋愛をしたら、
なんとなく通り過ぎていく程度のことなのでしょうか?
セックスってそんなに簡単なものなのでしょうか?

セックスはパートナーに対しての愛情。大切なパートナーとセックスする前にもっと知らなければいけないことがあるのでは?
そんな大切な問いかけや、知りたくてもなかなか聞けない性の今について、等身大の若者代表である現役女子医大生の遠見先生から、分かりやすくお話していただきました。

セックスによって危惧されていることのひとつに、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)があります。はじめにこのHIVの感染脅威を知るためにコップに水を入れて4人の人と水を半分ずつ交換するゲームを参加者20人で行いました。この水を交換する行為がセックスです。1人だけ感染者にあたる人を混ぜて、その人の水にはある溶液で色がつくような仕掛けをしていました。全員が水を4人と交換した結果、直接感染者とセックスをしなくても全員のコップの水に色がつくことを目の当たりにし、生徒一同驚きを隠せませんでした。

次に、先生自身がHIVの検査を受けて初めて気づいたHIVへの偏見。今まで性に関わる活動をされているからこそ伝えようとしていた「感染者と非感染者が共生して生きる」という言葉。それ自体が偏見を生んでいるのではないかと改め、今では「HIVを体内に持っている人」という言葉に変わったといいます。その変化はHIVというものを近くに感じなければ分からなかったという先生の思いが強いメッセージとして、生徒たちに伝わりました。

最後に、若者の性が氾濫したことによって、10代での中絶は1日95人、さらに20~24歳では195人。全体では792人の命が失われているという現状を示して、先生が「セックスに対して男女は平等じゃない」とおっしゃった言葉が印象的でした。最後に先生からマザーテレサの言葉で「愛の反対は無関心である」という言葉を紹介していただきました。本当に大切な相手への愛情を無関心という言葉で片付けないで欲しいと強く感じることのできた、素敵な授業でした。先生、貴重なお話ありがとうございました。

(ボランティアスタッフ 渡部彩子)