シブヤ大学

授業レポート

2013/7/23 UP

世界と、いっしょに輝く ~エシカルジュエリーブランドHASUNAの仕事~

服装や髪型ほど自分のイメージを大きく決定付けるわけではないが、着けているだけでその人を輝かせてくれるジュエリー。 しかし、それが一体どのようにしてデザイナーの手元に届くかについて私たちがあえて目を向ける機会は少ないように感じます。 今日はそんな数少ない貴重なお話を聞くことができました。 通常、ジュエリー素材はコロンビア、ボツワナ、ルワンダ、パキスタンなどの発展途上国の鉱山でダイヤモンド、ゴールド、カラーストーンなどが採取されます。 しかし、多くの中間業者やブローカーによって取引されているためその流通経路を知ること自体、危険で困難を要します。武器輸出の対価として取引されたり、鉱山で児童労働が見られることもあります。 エシカルな素材だけを選びジュエリーを作りたいという思いがある白木さんにとって、実現させること自体、不可能に近かったのではないでしょうか。 また、同業者からもコストがかかりすぎるためビジネスとしては成立できないだろうという批判も受けたそうです。 しかし、自身が決めたことに対して決して諦めないという姿勢を貫いた白木さんは、様々な方面から情報を収集し、結果、自ら途上国現地に足を踏み入れ、宝石や地金を仕入れ、デザインし、販売することを実現させました。 現地の体験談で、中でも、パキスタン、フンザ地方。 そこでは少数民族が採掘し、貧困層の女性たちが研磨する工房があります。 地元NGO団体が立ち上げたプロジェクトの一環だそうです。 パキスタンでは女性に対する差別がひどく、男性に逆らっただけで顔に硫酸をかけられ顔を潰されるという信じがたいことが頻発しているそうです。女性たちは仕事を得ることも困難という状況があるそうです。 この様な悲しい現実がある地域で、白木さんは女性たちが宝石を磨くトレーニングを受け職人として自立できるように支援するNGOと取引を開始しました。 その工房で女性たちが懸命に宝石を磨く姿に感銘したと言っていた様子はとても印象的でした。 事実、現地女性たちに日本顧客の高いクオリティに合った磨き方を定着させることはとても大変だった、しかし、その大変な中でも最善を尽くしたい。 そして、一流のジュエリーを作って、日本の一流のお客様の手に届けたい。 本当の意味での一流のジュエリーというのは、それを身に着ける人たちだけではなく、ジュエリーに関わる全ての人が幸せであってほしい。 このデザインポリシーを貫いてきて、これはビジネスとしてほんの少しずつではあるが確実に成立すると訴える姿に、何か揺るがない強い意志のようなものを感じました。 それは、自分たちが磨いた宝石を身に着ける人にもっと幸せになってほしい、そのためにももっと美しく磨きたいという明確な目標を持つことで、生きていく希望すら見失っていた現実を乗り越え、生き生きとした希望ある生活を手に入れることができた、それが現地女性たちにとっての本当の意味での幸せにつながると、そう確信したからではないでしょうか。 今回はお金では解決できない新しい支援の在り方を改めて考えさせられる、とてもいい機会となりました。 (ボランティアスタッフ:足立恵理子)