シブヤ大学

授業レポート

2012/1/27 UP

3.11から今まで、そしてこれから。

しとしと雨降りの今日。それぞれの東北への想いを抱えながら、
43名の方が教室へ集まりました。

今日、先生としてお話くださるのは松島宏佑さん
震災を機に実家のある宮城県に戻り、亘理町(わたりちょう)を拠点にボランティアと地域をつなぎ、
復興へ向けた活動を行っている方です。

まずは3~4人の組になり、なぜこの授業に参加したのか話し合うことからスタート。
和やかな雰囲気に包まれたあと、松島さんの活動の紹介が始まりました。
町と連携して進めている沿岸部の「亘理グリーンベルト計画」と、
植樹・植林を行う「防潮林育成プロジェクト」
被災後の町の写真も映し出されました。
寂しげないちご畑に、たったひとつ芽生えた緑の芽の写真。
被災地に芽生えた希望のように見え、みなさん真剣なまなざしで見つめています。

松島さんはこう言います。
「震災前の状態に戻すという側面もありつつ、
これまで以上の魅力的な町おこしをしたい。
また、他の地域に住む人がどんなことを知りたがってるのかを知りたい」と。

そこでみなさんからの質問に、
松島さんと阿部さん(共に活動している方)が
現地のことを紹介しながら答える形で授業を進めていきました。


【被災地は、今どういう時期?】
緊急支援の時期が過ぎ、復旧のための方向性が見えてきた時期で、復興まではまだ進んでいない。
現地の人同 士では震災のことを話さないが、ボランティアの人が来るとこれまでの話やこれからの話が止まらなくなる。外から来る人と話すことは、これからを考えるよい 機会になっている。


【風化しないために何ができるか】
民話を通して伝承しようと活動する人もいるし、思い出したくも ないという人もいる。大切なのは、教訓を伝えていくこと。今回流された場所の中で、100年前に大津波が押し寄せたがそれを知らない人々が家を建てた地が あった。
知らないことは怖いこと。今回の大津波から得られる教訓を残していくべき。


【現地へ行ってのボランティアについて、現地の人々はどう思っている?】
様々な見方があるが、ボランティアの活動を見て自分にもできることがある!と行動を起こす人がいるなど、被災地の方に活力を与えている面もある。
「現地がみたい」というその気持ちだけでかまわないので、ぜひ見て来てほしい。
そしてできるなら2回以上来て話をして、友達になりましょう。


最後に、3~4人のグループで【私たちにできること】を話し合う時間を持ちました。
無理に考えて出そうというのでなく、私たちにできることを想像してみようという提案。

みんなで書き出したものを壁に貼ってシェアしてみると、

・今日感じたことを、身近な人に話す 
・東北に興味を持って、東北の情報を集める
・訪れて文化に触れて、友達になりたい 
・東北と東北外の人をつなぐ
・現地で長期ボランティアを行っている人への後方支援 
・子どもと一緒に苗木を育てて、被災地へ送る

など、様々な声を聞くことができました。


松島さんの朗らかな人柄と「今日感じたことを身近な人に話して」というメッセージ。
被災地との関わり方やボランティアのあり方を考えると少し構えてしまいがちだけど、
ふっと肩の力を緩めてここ東京の日常の中で
できることを想像して実行しよう、
東北への想いを持ち続けよう、と教室が温かな空気に包まれました。


最後に松島さんより
【亘理町へ行こう!鍋&お泊りツアー】の紹介があり、
2月に7名が参加、3月以降も計画されることに!
この授業をきっかけに、私たちと亘理町の人々とのつながりはつづいていきます。


(ボランティアスタッフ 三浦牧子)