シブヤ大学

授業レポート

2009/12/3 UP

今夜は原宿で神様と―。

集合は金曜日の17時45分。
閉門後の明治神宮前に続々と集まってくる生徒さんたちは
やはりお仕事帰りの方が多いようでした。
「アフターファイブは神様と」、なかなか粋なもんです。

全員が集合した後は、いよいよ門の中へ。
施錠後の門の中に入れるのは、ちょっとした優越感。
日が落ちて少しずつあたりも暗くなり、普段の神宮とは
少しずつ雰囲気が変わってきたようで、期待が高まります。

まずは、白い装束に着替え、神職の方のお話を伺いました。

普段は日没頃閉門となる明治神宮、夜間に参拝ができるのは、
お正月などかなり限られた日のみとのこと。
しかし、毎年数万人の人が訪れるお正月とは違い、今回参拝が
できるのは授業に参加をしている約30名の生徒さんだけ。
これだけ人気のない状態を体験できるのは、とても貴重な機会なので、
闇の暗さ、静けさをじっくり味わってほしいとのこと。

そして、その後は全員で「大祓詞」を唱える練習をしました。
「大祓」とは、6月と12月に行われる行事のことで、日常でいつのまにか犯した罪や、
身についてしまった穢れを、半年に一度取り除くために行われるそうです。
「大祓詞」とは、その際に唱えられる祝詞で、唱えることで、身の罪や穢れを取り除いて
くれるのだそう。神主さんたちは毎朝唱えているそうです。

練習が終わった後は、いよいよ参拝スタート。
2列になって、すっかり暗くなった神宮の中を進んでいきます。
ここで、神職さんから言われた約束事は、「しゃべらないこと」と
「足並みを揃えて歩くこと」。
静かに暗闇の中を歩くことで、いろんな感覚が研ぎ澄まされるようです。

薄暗闇の中聞こえてくるのは、ザック、ザック…という玉砂利を踏む規則的な足音、
虫の声、遠くに聞こえる電車の音―。
風が吹くと、ふわっと土と緑の匂いを感じます。
本当にここは東京のど真ん中なんだろうか?
一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなるような不思議な感覚に陥りました。

そしてたどり着いた本殿、まずは目を閉じて正座をして、
闇と静けさを感じます。一人ひとりが神様と向き合う時間です。
灯りがふっと消えて暗くなった瞬間、私が感じたのは、
頬にふわっとあたる風の感触でした。

その後は、みんなで「大祓詞」を唱えます。
薄暗い境内に響き渡るみんなの声、心なしか練習の時よりも声が出ていたような気がします。

最後はグループに分かれて、感想を話し合いました。

「虫の声を東京であんなに聞いたのは初めて。暗闇と静けさの中を
歩いていると、どんどん感覚が研ぎ澄まされるような気がした」
「意外に空が明るくて驚いた、やはり東京は夜でも明るいんだな、と思った」
「みんなで足並みをそろえて歩いていると、軍隊みたいで変な気持ちだった」
「電気が消えて、目を閉じたときにちょうど風が吹いた。なんかあれ神様っぽかった!」 

などなど、いろんな感想が飛び交っていました。
みんながイキイキ、楽しそうに話をしていたのは、
罪や穢れが取り除かれたからでしょうか?


いつもなら飲みにでも出かける金曜日の夜。
今日の約束は「原宿で、神様と」…?
あんな繁華街のど真ん中で、神様と、そして自分と向き合える空間が
あるなんて…。忘れられないトクベツな夜になりました。

(ボランティアスタッフ : 平賀 未央)