シブヤ大学

授業レポート

2009/12/3 UP

雑草は、地球の言葉。

今回の授業の先生は、インドの西ベンガルで
“農業を中心にした村づくり”を進めている、オルデンドゥ・チャタジーさん。
独特の、ゆったりした雰囲気が印象的です。

最初に紹介してくれたのは、DRCSCの活動について。
DRCSCとは、地域資源と生態系を重視した持続的農業と、
農村開発を主軸に活動するインドのNGO。
その活動の説明を通して、授業は展開していきました。
僕が特に印象的だった内容を紹介したいと思います。

●食料問題で毎年300万人が死亡。
半分以上が南アジア。そのうち半分以上が子ども。

●農薬で土自体がやせてくると、そこで育てる作物もやせてくる。
「いま食べているものがやせているから、栄養がないから病気になる」
とは医者は言えない。薬をつくってるところと、農薬をつくってるところは一緒。

●自分の村のことを学ぶのは、大学院の後の話。
近くから学んで遠くへ行くか?
遠くから学んで近くへ行くか?

●国産のビーフは、国内のものを食べているわけではない。全然安全ではない。

●食べ物を運ぶのにどれほどエネルギーがかかっているか。

ショッキングな内容を含んだ前半が終わり、質疑応答へ。

インドでのジェンダー問題に関する質問の答えでは、
「女性ができるだけ学校へ行くように取り組んでいるが、
うまくいっていない。生まれたらすぐ殺されることもある。」
という厳しい現実が語られました。

日本の農業についての質問は、
「インドはうまいことでも変にやる。日本はへんなことでもうまくやる。」

チャタジーさんのユーモラスな、でも本質を突いた答えに、
みんなすっかり魅了されているようでした。

授業の後半も、有機農業を通した深い話が続きます。

●本当の有機農業は、外から運んでこない。近くのものでやる。

●日本の米の値段の80%は、燃料と関係している。

●日本とインドは違う。インドのナレッジを大切にすること。

●花、実、草、人間の森をつくる。
政府から土地を借り、魚などいろんなものをつくると、肥料はいらない。
池の上で鳥を飼う→フンが落ちてエサになる。
動物の“働き”を活かすと、みんな楽しい。

●「タネは自分たちで守りましょう」→タネ銀行

●科学も、文化も、自然も守る。
「人間が生きるために、自然は破壊しなくちゃならない」わけではない。

●日本の動物はあまり楽しくないと思う(笑)
少ない面積でお金をつくるだけじゃだめ。

●文化、土に何が合っているか?
人間、土、太陽、そこに生きているもの、みんなチーム。
それぞれ、別々の働きがある。

●いいものを作る責任があるなら、破壊する責任もとるべき。

●外から入れるものを減らす(微生物、動物の力をいっぱい使う)

授業の途中でチャタジーさんがおっしゃった、
「どうすればいいかは、僕もわからない。
でも、何かしなければならない、
と思って帰ってもらったら、それだけでうれしい。」
という言葉が胸に刺さります。

僕たち人間は、もういちど自然の一部として
やり直す必要に迫られているのではないか。
そんなことを考えさせられました。

最後に、チャタジーさんのこの言葉で、
レポートを終わらせていただきたいと思います。

「その地域に何かあるなら、まずそこから考える。
雑草は、地球の言葉。それを私たちはわかろうとしない。」

(ボランティアスタッフ : 杉原 学)