シブヤ大学

授業レポート

2008/5/15 UP

ちんどん屋さん体験!

天気が大荒れだった4月の第3週。
授業当日の天気は曇り。まずは教室内で先生による授業が始まりました。

今回の先生はちんどん奏者の佐藤有美先生。なんと授業はカラフルな衣装を着た先生によるちんどん演奏の実演からスタートしました!軽快なちんどん太鼓の音色に一気にテンションが上がります!

<『ちんどん屋』とは>
まずはその名の由来から。ちんどん屋さんの演奏する楽器の代表格ともいえる「ちんどん太鼓」ですが、これについている鉦(かね)を叩くと鳴る「ちん」という音色と、太鼓を叩くと鳴る「どん」という音色が合わさって、ちんどん屋さんと言うようになったとか。
現在では商店やイベントなどの広告・宣伝を行うのが仕事のちんどん屋ですが、そもそも江戸時代に大阪の飴売りの「飴勝」という人が自分の声を売る商売として寄席の客寄せを請け負うようになったのが始まりで、「東西屋」「広目屋」とも呼ばれる ていたそうです。

<ちんどん屋「やまちゃん」>
佐藤先生は自らが創立した学生ちんどん屋「わせだ風街宣伝社」の活動を続けていく中で、自分の祖父がちんどん屋だったという女性と偶然出会いました。そのちんどん屋は群馬県前橋市で活動していた「やまちゃん」というちんどん屋で、先生はこのやまちゃんのご家族へ取材を行い、ちんどん屋についての卒業論文を書きました。そしてその過程で、社会の中でのちんどん屋の「あり方」の変遷を知ったのです。
やまちゃんは女形のちんどん屋で、戦前からその活動をはじめ、戦後の焼け野原においては人々を励まし元気づける存在として喜ばれていたそうです。戦後は失業者も多く、ちんどん屋になる人も多かったといいます。
しかし戦後の復興が進むにつれ、ちんどん屋は徐々に減っていきました。お孫さんもお祖父さんがちんどん屋ということでからかわれたりすることもあり、そのことを隠していた時期もあったそうです。
しかし、ひ孫さん世代にはそれは無く、むしろ「やってみたい」という興味の方が強いということでした。
ちんどん屋にこのような歴史があることを私は知りませんでした。

<現在のちんどん屋を取り巻く環境>
現在、ちんどん屋を取り巻く環境は大きく変わってきていて、その新たな価値として、先生は下記の3つを挙げられました。
・ノスタルジック
・COOL JAPAN
・生で伝える強さ

ちんどん屋さんが生で奏でる懐かしい音楽は世代を問わず人々を惹きつけ、衣装として着物を着ていることも多いので外国の方にも喜ばれるのでしょう。また求められる役割も、場の雰囲気づくりや、そこで働く方々のモチベーションアップなどへと変わりつつあるようです。

そして授業のあとは、いよいよちんどん屋さんに出逢う為に街へと出発です!

教室を出て、生徒の皆さんや先生とワイワイ渋谷の街の路地を歩くこと約5分。
何やら音楽が聞こえてくるではありませんか!
そのまま路地を進んでいくと...

いました!ちんどん屋さんが!!
実はこのちんどん屋さん。先生が大学自体に創立したちんどん屋「わせだ風街宣伝社」の皆さんで、今回はシブヤ大学の宣伝をして下さいました。
私たちもちんどん屋さんと一緒に街を歩いていったのですが、生徒さんたちからは手拍子も出始め、気分はちんどん屋さんです。周りに目をやると、道の両側にある商店からも店員さんらしき方々が楽しそうに私たち一行を眺めていました。

約30分の街歩きの後は、教室を体育館へと移して、ワークショップを行いました。
まずはわせだ風街宣伝社の皆さんによる実演を拝見し、その後はちんどん太鼓とゴロス( 大太鼓) チームの2チームに分かれて練習しました。
今回の課題曲は、ちんどん屋さんが必ず朝の仕事始めに演奏するという「竹に雀」という曲で、実際にちんどん太鼓を前に抱えて演奏してみると、想像以上に重くてビックリしました。
「東西東西(とざいと~ざい)、シブヤ大学でございます。」などの口上の練習もした後は、いよいよゴロスチームとの合同演奏。最初のうちはなかなかリズムが合わなかったりもしましたが、最後は受講者全員で一体となって演奏して盛り上ったところで授業は終了しました。

近頃は街で見かけることも少なくなったちんどん屋さんですが、その音楽を生で体験し、すっかりファンになってしまいました!人と人が直に触れ合うコミュニケーションが希薄になってきている現代において、ちんどん屋さんを通じて得られる一体感や高揚感はとても貴重だと感じました。
ちんどん屋さんの新たな魅力に触れられた2時間30分でした。

【参加者インタビュー】
1.サカモトさん(男性)
「シブヤ大学には10回以上参加しています。体を動かす授業だったのでテンションが上がって楽しかったです。次回はツーリズムに参加してみたいです。」
2.イチムラさん(女性)
「シブヤ大学は今回が初めてでした。面白かったです。ちんどん屋さんのやまちゃんの話にはグッときました。外での授業では気持ちが高ぶりました。また自分が思いもつかない授業に参加してみたいです。」