シブヤ大学

授業レポート

2008/3/11 UP

緩和ケアって? ココロの専門家を目指して

生徒さんに配られたプリント。
思わず高校生の頃の、家庭科の授業を思い出してしまいました。

丁寧に手書きで書かれた、今回の授業の資料です。
本当に学校の授業みたいでなんだか懐かしいです。

先生の授業への意気込みを感じていると、授業は和やかに始まりました。

今回の先生はシブヤ大学のボランティアスタッフでもある、秋山恵子さん。
この春から大学院に通い、臨床心理士を目指して勉強中の学生さんです。

アニメにでてきそうなくらいころっとして可愛らしい人です。(褒めてます)

恵子先生も、初めての先生としての授業だったので
緊張しているのが伝わってきます・・・(落ち着いて!頑張れ!と心の中で応援中。)
生徒さんも皆さんちょっぴり緊張気味。

まずは簡単に緩和ケアについての簡単な説明をしてくれました。

<緩和ケアとは?>
“緩和ケア”とは、主にガンやエイズの末期症状を抱えている患者さんに対して、
痛みを和らげるために行われる治療のこと。
また、遺族となった家族に対してもこころのケアとしても行われているそうです。

<total pain, total care>
患者さんには大きく分けて4つの痛みがあるそうです。

・霊的痛み
・社会的痛み
・精神的痛み
・肉体的痛み

ピラミッドの形を想像してみてください。
肉体的痛みの割合が多く、社会的、精神的、霊的と割合は減っていきます。
これらに対し緩和ケアには、3原則があります。
1.症状マネジメント
肉体的痛みに対する治療(薬の投与、問診など)
2.チームケア
患者さん、家族、医療スタッフが皆、対等にひとつのチームとして存在し積極的に治療していく
3.コミュニケーション
傾聴、共感、タッチング、そばにいることで治療していく

これらの説明後、ワークショップが始まりました。

<ワークショップ>
2人ペアになり、聞く人と話す人に分かれて行われました。
“朝から今までの出来事を話してください。
ただし、聞く役割の人は無表情でうなずいてもだめ。よーい、スタート。”

失礼な話ですが、なんとも不思議な光景でした。
話す人だけの声が聞こえて聞き手は無表情。
はて、先生の狙いは何でしょう?

“はーい。おわりにしてください。”
そして生徒さんに感想を聞きはじめました。

―― 話づらい。聞いている反応が欲しくなってしまう。

続いて次のステップへ。
“聞く人はうなずくだけにしてみてください。よーい、スタート。”

若干教室がにぎやかに。

生徒さんの感想はというと、
―― 聞いてくれているという安心感はある。逆にうなずいてくれていないと不安だった。

最後は
相槌(それで?、なるほど。など)をよく打ってくださいとの条件で会話がスタート。

ちらほら笑い声が聞こえるようになり、生徒さんから笑みがこぼれます。

―― もっと話したいと思えた。聞く側のときもいろいろ質問したくなった。

なるほど。話し手は聞き手のリアクションによってこんなに
気持ちが異なるんですね。
更に、この3ステップのそれぞれ会話の時間が異なったそうです。

30秒(無表情)→ 45秒(うなづきのみ)→ 60秒(うなずき、相槌)

これを聞いて生徒の皆さんビックリ。

―― はじめの30秒は長く感じたし、一番最後の相槌を打ってもらえたときが一番短く感じた。

先生の作戦大成功!!
コミュニケーションはこんなにも相手の態度に左右されるのです。

今回のワークショップではコミュニケーションのとり方の大切さを実感することができました。

この授業は全6回のゼミ形式で、今回はその初回。
緩和ケアとは何かという基礎的な知識の共有からはじまり、緩和ケアの治療方法のうちの1つ、コミュニケーションのあり方、大切さをワークショップを交えながら勉強していきました。

今後は実際の緩和ケアの現場を見学し、現場スタッフが携えている意識を学ぶことなどを予定しているそうです。

今回参加された生徒さんも続けて授業を受けたいという方が多く、今後どのように発展していくのか、いちスタッフとしてとても楽しみです。

(ボランティアスタッフ 北村麻那美)