シブヤ大学

授業レポート

2008/3/11 UP

「木枯らしを吹き飛ばす、心の音」

木枯らし吹く、11月の原宿。この寒さの中、20人の生徒さんが草笛を学ぶためにクルックグリーンにやってきた。
教室の暖かな雰囲気で心が和み、穏やかな雰囲気で授業は始まった。
今回の先生は、河津先生と今井先生のお二人。河津先生は、今井先生の高校時代の社会科の先生で、そのころ草笛も教わったのだという。今回はそんな師弟コンビで僕らに草笛を教えてくれた。

集まった生徒は皆、初心者。今回の授業が始めての草笛体験となる。
そんな僕らに、まずは先生たちの草笛演奏を披露。「ふるさと」などの童謡を聴き、ただの葉っぱで、こんな音楽が奏でられることに驚いた。

「僕らにも吹けるのだろうか」そんな不安を抱きながら、練習スタート。今回、草笛に使う草は先生が用意してくれた山芋、びじょう柳などの葉っぱ。基本的にどんな葉っぱでも音は鳴るが、柔らかい物の方が、音が出やすいそう。
草笛はオーボエなどと同じリード楽器で、口笛を振るわせた振動で音を出す。下唇を下げ、上唇に葉っぱをあて息を吹き出す。強く吹くと高い音、弱く吹くと低い音が出る。要領はこれだけ。

しかし、しかし、音を鳴らすのは、とても大変。音の出る形や拭き方は感覚的に掴むしかなく、そこにたどり着くまでが悪戦苦闘。先生のアドバイスを受けながら、黙々と練習に取り組んだ。
音が出ないのが、悔しくて、みんな夢中になりすぎて、息も切れ切れ。
コツがつかめた人は、鏡を見ながらその形を覚えていくという、地道な練習。
徐々に音の出る人が現れ始めた。
始めは、プスプスとかブーという音だが、次第にピーとかポーとか高い音が出始める。
この音が出ると、とても気持ちいい。
 
うまくできた人も、なかなかできなかった人も、夢中で取り組み、最後には、ほぼ全員が音を出すことに成功。
そして最後の締めは、全員での合奏。
先生たちのリードのもと「ふるさと」と「千の風になって」を演奏。譜面やキーがなくても、頭の中の感覚で曲になっていくから不思議。楽器と言っても口笛と同じように人間の体で奏でる物なのだと感じた。
草笛の音は、雅楽の笛に似ていて、幻想的で自然を感じることができる。外の気温は寒かったけれど、草笛の音で心は温まった。

葉っぱがあれば、他に道具は要らない。
どこでもできるこの素敵な遊びを学べたことで、集まった生徒さんの毎日が少し楽しくなるはずだ。

(ボランティアスタッフ 竹田芳幸)