授業レポート
2025/2/19 UP
閉店したN(エヌ)広場をアップサイクルした八王子のものがたり
東京都八王子市でNゲージ専用レンタルレイアウト店として開業を目指しているTOKYO N-Train。
今回の授業は、そのプロジェクトメンバーである狩野雅代さんと谷本朋子さんにお話をうかがいました。
授業は、お二人の簡単な挨拶のあと、参加者7名の30秒自己紹介から始まりました。鉄道好きな小学生やプロジェクトの展開に興味を持たれた社会人まで、それぞれに熱意をもって集まってくれたようです。
続いて狩野さんから、自己紹介とこれまでの経緯をお話しいただきました。
もともと狩野さんと谷本さんが知り合ったのは、個人事業主が中心に集まって交流しマーケティングの勉強会などをしているBNI( Business Network International)という異業種交流会がきっかけだそうです。
ミニチュアやNゲージに惹かれた狩野さんたちは2022年夏ごろから市場調査を始めました。レンタルレイアウト店の構想を話し合っているうちに、八王子の「N広場」が閉店することを知ります。
レンタルレイアウト店は持ち込んだ鉄道模型を走らせたり、写真を撮ったりして楽しむ場所で、N広場は全国でも最大級の広さをもつNゲージ専用施設です。このままなくなるのはもったいない!と交渉を始め、八王子市内の町工場を移転先として設備や事業ノウハウを引き継ぐことになりました。
町工場の敷地なら16両の新幹線を走らせることができます。小さなNゲージとはいえ新幹線16両だと全長2.6メートルになり、直線で走らせるには10メートル必要で、その広さがある施設は限られています。
そして2024年7月にクラウドファンディングを開始し、9月末の開業をめざして移転費用などの支援を募ります。メディアにも何度か取り上げられ、クラウドファンディングはめでたく目標額を達成しました。
ところが広大なジオラマをつくるのに時間がかかってしまい、開業を11月に延期することになりました。しかし諸事情で町工場を長く借りられないことが分かり、開業後に移転をするとなるとより大変になると思い、断腸の思いで、移転先を探す事になったそうです。そして、つい1週間前に高尾駅近くの場所を借りられることが決まったばかり。
今回の授業は開店後すぐの週末という忙しそうな日に来ていただくはずだったのですが、まさかの展開です。
町工場につくっていたジオラマを外して移動する作業があるので、開業は3月の予定になりました。
続いては谷本さんのお話。TOKYO N-Trainではミニチュア制作の経験を生かしてジオラマづくりをされています。
大変だったのは縮尺の違い。ミニチュアドールハウスは12分の1が世界共通サイズですが、Nゲージは150分の1、ずっと小さいのです。初めのころは壁の模様を12分の1感覚で描いてしまってやり直したりしたそうです。
八王子での事業継承ということで、私は「八王子の思い出を残す」ジオラマなのかと思っていたのですが、お話を聞いてみるとそうではありませんでした。
高尾山のイメージや、山から街、街から海へという全体図はありますが、レンタルレイアウト店としてはNゲージが走って絵になる、”映える”情景が必要なので、谷本さんたちは八王子の実在の道路や建物を再現することにはこだわっていません。
これから発展していく街をイメージしながら、どの席に座っても撮影したくなる情景、そして席によって違う景色が見えるよう配置しています。そして見る人がジオラマの世界に没頭できるよう、端で道路を分断して終わるのではなく、たとえば森の中に道が続いていくようにしているそうです。
どこかで見たような懐かしい景色を入れながら、子どもたちが夢を見られるように心がけているという谷本さんのジオラマ、楽しみですね。
授業後半は参加者とのトーク。プロジェクトの感想とともにジオラマ制作への質問が次々に出てきました。
ジオラマはスタイルフォームという断熱材を土台にしていて、それだけでも材料費がかかります。ですがBNIのメンバーに畳屋さんがいて、処分する畳の中にあるスタイルフォームを譲ってもらえたそうです。
クラウドファンディングでも、全国から様々な支援がありました。コレクションを譲ってくれたり、ジオラマ造りを手伝いに来てくれたり。Nゲージ愛好家の方々とつながりが生まれたことがとても大きかったそうです。
また、TOKYO N-Trainのメンバーはもともと鉄道模型マニアではないので、詳しい人から見ると足りないところやおかしなこともあるのだとか。
そこは「教えてください!」「教えてくれてありがとうございます!」という姿勢で意見をとりいれ、より良い店づくりに活かしていきたいとのことでした。
まずは今までのファンに受け入れられるお店を、ゆくゆくは子ども向けに2店舗目を…とわくわくしながら話す狩野さんと谷本さん。今後やりたい企画はたくさんあるようです。
怒涛のプロジェクト展開に明るく立ち向かうお二人に、パワーを分けてもらったような授業でした。この授業で生まれたつながりも大事にして、オープンしたら是非行ってみたいです。
(授業レポート:武田 環、写真:いわぶちいくえ)
今回の授業は、そのプロジェクトメンバーである狩野雅代さんと谷本朋子さんにお話をうかがいました。
授業は、お二人の簡単な挨拶のあと、参加者7名の30秒自己紹介から始まりました。鉄道好きな小学生やプロジェクトの展開に興味を持たれた社会人まで、それぞれに熱意をもって集まってくれたようです。
続いて狩野さんから、自己紹介とこれまでの経緯をお話しいただきました。
もともと狩野さんと谷本さんが知り合ったのは、個人事業主が中心に集まって交流しマーケティングの勉強会などをしているBNI( Business Network International)という異業種交流会がきっかけだそうです。
ミニチュアやNゲージに惹かれた狩野さんたちは2022年夏ごろから市場調査を始めました。レンタルレイアウト店の構想を話し合っているうちに、八王子の「N広場」が閉店することを知ります。
レンタルレイアウト店は持ち込んだ鉄道模型を走らせたり、写真を撮ったりして楽しむ場所で、N広場は全国でも最大級の広さをもつNゲージ専用施設です。このままなくなるのはもったいない!と交渉を始め、八王子市内の町工場を移転先として設備や事業ノウハウを引き継ぐことになりました。
町工場の敷地なら16両の新幹線を走らせることができます。小さなNゲージとはいえ新幹線16両だと全長2.6メートルになり、直線で走らせるには10メートル必要で、その広さがある施設は限られています。
そして2024年7月にクラウドファンディングを開始し、9月末の開業をめざして移転費用などの支援を募ります。メディアにも何度か取り上げられ、クラウドファンディングはめでたく目標額を達成しました。
ところが広大なジオラマをつくるのに時間がかかってしまい、開業を11月に延期することになりました。しかし諸事情で町工場を長く借りられないことが分かり、開業後に移転をするとなるとより大変になると思い、断腸の思いで、移転先を探す事になったそうです。そして、つい1週間前に高尾駅近くの場所を借りられることが決まったばかり。
今回の授業は開店後すぐの週末という忙しそうな日に来ていただくはずだったのですが、まさかの展開です。
町工場につくっていたジオラマを外して移動する作業があるので、開業は3月の予定になりました。
続いては谷本さんのお話。TOKYO N-Trainではミニチュア制作の経験を生かしてジオラマづくりをされています。
大変だったのは縮尺の違い。ミニチュアドールハウスは12分の1が世界共通サイズですが、Nゲージは150分の1、ずっと小さいのです。初めのころは壁の模様を12分の1感覚で描いてしまってやり直したりしたそうです。
八王子での事業継承ということで、私は「八王子の思い出を残す」ジオラマなのかと思っていたのですが、お話を聞いてみるとそうではありませんでした。
高尾山のイメージや、山から街、街から海へという全体図はありますが、レンタルレイアウト店としてはNゲージが走って絵になる、”映える”情景が必要なので、谷本さんたちは八王子の実在の道路や建物を再現することにはこだわっていません。
これから発展していく街をイメージしながら、どの席に座っても撮影したくなる情景、そして席によって違う景色が見えるよう配置しています。そして見る人がジオラマの世界に没頭できるよう、端で道路を分断して終わるのではなく、たとえば森の中に道が続いていくようにしているそうです。
どこかで見たような懐かしい景色を入れながら、子どもたちが夢を見られるように心がけているという谷本さんのジオラマ、楽しみですね。
授業後半は参加者とのトーク。プロジェクトの感想とともにジオラマ制作への質問が次々に出てきました。
ジオラマはスタイルフォームという断熱材を土台にしていて、それだけでも材料費がかかります。ですがBNIのメンバーに畳屋さんがいて、処分する畳の中にあるスタイルフォームを譲ってもらえたそうです。
クラウドファンディングでも、全国から様々な支援がありました。コレクションを譲ってくれたり、ジオラマ造りを手伝いに来てくれたり。Nゲージ愛好家の方々とつながりが生まれたことがとても大きかったそうです。
また、TOKYO N-Trainのメンバーはもともと鉄道模型マニアではないので、詳しい人から見ると足りないところやおかしなこともあるのだとか。
そこは「教えてください!」「教えてくれてありがとうございます!」という姿勢で意見をとりいれ、より良い店づくりに活かしていきたいとのことでした。
まずは今までのファンに受け入れられるお店を、ゆくゆくは子ども向けに2店舗目を…とわくわくしながら話す狩野さんと谷本さん。今後やりたい企画はたくさんあるようです。
怒涛のプロジェクト展開に明るく立ち向かうお二人に、パワーを分けてもらったような授業でした。この授業で生まれたつながりも大事にして、オープンしたら是非行ってみたいです。
(授業レポート:武田 環、写真:いわぶちいくえ)