シブヤ大学

授業レポート

2025/2/18 UP

今宵はSocial Book Cafe
〜「社会を語る場」のつくりかた〜

みなさんは普段の生活のなかで、社会問題や政治的なトピックに関して安心して話すことはありますか?
私は、ニュースや知り合いから一方的に情報を受け取るだけで、それに対する自分の意見を話したりする機会はなかなかありません。家族や仲の良い友人との間でさえ、センシティブなトピックについて避けている気すらします。 
今回は、社会について語る場を提供している方たちから場づくりへの思いを学ぶ『今宵はSocial Book Cafe~「社会を語る場」のつくりかた~』の授業レポートです。

授業の講師は、Social Book Cafe ハチドリ舎を運営する安彦恵里香さんと、シブヤ大学学長の大澤悠季さん。
また講師のお2人に加えて、シブヤ大学理事の伊藤剛さんがモデレーターを務めます。 
ちなみに今回の会場は、渋谷駅すぐの場所にある「Olive LOUNGE渋谷」2階のSHARE LOUNGE(シェアラウンジ)。こちらの店長の中村さんと講師の安彦さんがお知り合いだったご縁で、こちらを会場として使わせていただけることになったようです。ゆったり落ち着いた雰囲気の空間でドリンクや軽食をつまみながらの、リラックスした会でした。前半のパートは、安彦さんによるハチドリ舎の説明からスタートしました。
「Social Book Cafe ハチドリ舎」は広島の平和記念公園から徒歩3分の場所にあるカフェ。場所柄、被爆地としての広島を訪れる方がよくいらっしゃり、被爆地を学ぶだけでなく感じたことを自分の言葉で「話せる」場所となっています。またハチドリ舎で話すことのできるトピックは戦争や核問題だけでなく、選挙やセクシュアリティ、趣味など幅広く、毎日のようにイベントが開かれているとのこと。開店以来で開催されたイベントは2,000回以上!凄すぎる。

安彦さんからは現在の活動だけでなく、ハチドリ舎オープン時の裏話・苦労話についてもお話しいただきました。お店を契約してから事業計画を立てて、お腹を痛めながら資金調達をして、雀荘だったスペースをDIYして…等々、エピソードに何個もオチがついていて面白かったです。笑 安彦さんは本当にエネルギッシュ!続いては、シブヤ大学学長の大澤さん。
シブヤ大学の目指す姿や現在の活動などを、大澤さん自身の原体験というか生活の中での違和感と絡めながら説明されていました。私もたまたま大澤さんと同世代ということもあり、東北大震災で受けた衝撃やその後の何者でもない自分へのやるせなさなど、大澤さんのエピソードには大きく頷いてしまいました。

学長が交代して組織の内外にも動きがあったことから、最近改めて目指す姿を明確化した、というシブヤ大学。目指す姿は「自分たちの力で社会を良くしようと行動する人が増える」こと。シブヤ大学の授業や活動を通じて、自分の気持ちや考え、価値観を知り、自分の暮らしや生活を大切にできるようになった先に、地域や社会に対しても関わってみたいと思えるようになる。このような変化を生み出すことを日々目指されている、というお話でした。

個人的に刺さったのが、「『学び』の良いところは、まず自分のために始められること。そして自分のためにしていた『学び』が、いつか周りや社会のためになっていること。」という大澤さんの言葉です。社会人になると、仕事のために勉強することはあっても、自分のために学ぶ機会は少ないよな、と気づかされました。 休憩をはさんで、後半パートへ。まずモデレーターの伊藤さんからシブヤ大学の立上げ時のお話がありました。


伊藤さんは元バックパッカーで、海外のゲストハウスでの「恋愛から戦争まで同じテーブルの上に乗せる」という印象的な気づきから、登壇者3人のクロストークが始まります。原爆、阪神淡路大震災、9.11の同時多発テロ、関東大震災、学校での同調圧力への違和感などなど、最初のきっかけさえ違うものの、3人の「社会と自分の生活は地続きはずなのに、どこか分断されている」という共通した疑問/問題提起からハチドリ舎やシブヤ大学など共通点の多い場が生まれていくという過程が興味深かったです。


授業の最後は、登壇者の方の今後の目標をお伺いしました。
大澤さんは、シブヤ大学に留学生制度を採用したいとのこと。わかりやすくバックグラウンドの違う方々が参加することで、自分の意見があること、それが他者と異なることは当然であること、だからこそ自分の意見をしっかり持つことが大事、ということをより意識できそうです。
安彦さんは、開いた価値観を持つ場のネットワークを広げていきつつ、食堂やカフェや色々な施設が同居した「ソーシャルビル」を作りたいとのこと。面白そう!完成したら是非遊びに行きたいです。

授業は19:00に終わり、その後は登壇者・参加者が入り混じっての交流会になりました。ちなみに、モデレーターの伊藤さんから見ると、登壇者のおふたりは「助けを借りるのが上手い」ようです。困ったときに、自分自身ができることを増やすだけでなく、依存先/助けてくれる人を増やすこと。 

私は、何か困ったことが起きると「自分がもっと頑張ればいいか」とすぐ思ってしまうのですが、これってもしかして周りの人に気を遣いすぎ?あれ、主語が自分じゃなくなっている?と怖くなったので、授業レポート用のメモはこれくらいでいいか、ってことで、自分勝手に交流会でお酒を楽しんできます笑


 (授業レポート:柴田駿 写真:鈴木夏奈)