授業レポート
2025/1/22 UP
ボードゲームを仕事にする生きかた
皆さんは「ボードゲーム」と聞いたらなにを想像しますか? 人生ゲーム・モノポリー・将棋…と、人によって様々かもしれませんが、なんと世の中には10万種類以上(Board Game Geek登録済)のボードゲームが存在していて、今も毎年4,000〜5,000種類以上の新作が増え続けているそうです。
そんな驚きと共にスタートした今回の授業の先生はゲームデザイナーのましうさん。日々の生活から得たアイディアからゲームのメカニクス(基本構造・ルールなど)を考えて、試作品のテストから製品化に向けたデザイン・製造・販売までトータルに関わるプロのクリエイターとして国内外で活躍されているそうです。そんな、ましうさんの普段のゲーム作りで活かされている少し変わった発想方法とはどんなものなのでしょうか?
「ボードゲームで最も大切なことは楽しいことです」と語るましうさんのお話には、私たちの何気ない日常に「ワクワク感」を加えてくれるヒントが隠されているのでは? そんな期待が膨らむ授業のスタートになりました。

まずはボードゲーム体験でアイスブレイク
戦略系・コミュニケーション系など、いくつかのジャンルが存在しているボードゲーム。世界的にはドイツで盛んに遊ばれているようです。授業の前半では、ましうさんの代表作でもある「ナルハヤのつるぎ(幻冬舎)」と「Fairy(Allplay)」の2作品を実際に体験しました。
シブヤ大学の授業の参加者は初対面のことが多いのですが、ボードゲームは会話や相手のことを知るきっかけになることが多く、お手軽で楽しいアイスブレイク・ツールにもなります。3チームに分かれて2種類の作品を30分程体験したのですが、参加者の皆さんが少しずつ打ち解けいく様子を見ていると、スタッフの私たちまで楽しい気持ちになってきました。
「楽しい」が最も大切 でも、分かりにくい
ゲーム体験で少しだけお互いの印象や理解が深まった参加者の皆さん。後半はましうさんのゲームデザイナーのお仕事についてお話を伺いました。
美術大学の卒業制作で「楽しいものを作りたい」という気持ちからモジュール玩具を作成。その後、ゲーム企画会社でのボードゲーム制作を経て、2019年に「ナルハヤのつるぎ(幻冬舎)」で商業作品デビュー。独立後の現在は「楽しいこと」を最も大切に作品制作を続けていて、その一部は海外の大手ファーストチェーン店のグッズにも採用されたそうです。
「楽しいこと」が最も大切。ところが、「楽しいとはなにか?」ということを客観的に考えることはとても難しいことだそうです。ましうさんが考える「楽しい」と実際に遊ぶ人の「楽しい」は違う。「楽しい」と思って企画した作品の中には、製品化前のテストプレイで期待通りの感触とならなかったものも多いそうです。
その日のコンディションやその場の雰囲気…。「楽しい」は人によって全く異なるもの。そんな儚い存在でもある「楽しい」に真剣に向き合うことが、ボードゲームデザイナーとして最も大切なことだとましうさんは考えているそうです。

ワークシートを使って楽しいを「探求」する
今回のワークショップでは参加者の皆さんの心のなかに隠されている「楽しい」を探してみることにしました。参加者の皆さんに配られたワークシート(楽しいってなんなのか、考えてみよう)に沿って、チームごとにグループワークが進んでいきました。
◎ワークシートの流れ
1. ワークシートの質問に答えて自分の楽しさを「思い起こす」
2. 1で記入したメモから楽しさを「分解・再構築」して別のカードに記載する
3. 2のカードを他の参加者と交換して自分の楽しいと他者の楽しいを「再構築」する
4. 3で発見した楽しさについて参加者で「意見交換」する
ワークシートに記載されている方法を使って「自分が楽しかった体験」を他者と一緒に再構築・考察していくことは、ましうさんがゲームデザインを考える時のアイディア整理のプロセスの一部に近いものだそうです。実際、ワークショップの中で皆さんが再構築したアイディアのなかにも、実際にゲーム化したら楽しそうなものがいくつかあるそうです!
多くの人が求め・憧れる「沢山の楽しいに囲まれた生活」。これまで私たちが何気なく感じ、過ぎ去っていった「楽しい」という感覚を記録して、誰かと一緒に再構築していくことは、自分が感じた「楽しい」をReuse(リユース)・Recycle(リサイクル)しながら新しい「楽しい」を生み出すコツでは? そんなことを感じさせてくれた、あっという間の3時間でした。
皆さんも、ぜひ試してみてくださいね!
(授業レポート:奥住健一、写真:大澤悠季)
そんな驚きと共にスタートした今回の授業の先生はゲームデザイナーのましうさん。日々の生活から得たアイディアからゲームのメカニクス(基本構造・ルールなど)を考えて、試作品のテストから製品化に向けたデザイン・製造・販売までトータルに関わるプロのクリエイターとして国内外で活躍されているそうです。そんな、ましうさんの普段のゲーム作りで活かされている少し変わった発想方法とはどんなものなのでしょうか?
「ボードゲームで最も大切なことは楽しいことです」と語るましうさんのお話には、私たちの何気ない日常に「ワクワク感」を加えてくれるヒントが隠されているのでは? そんな期待が膨らむ授業のスタートになりました。

まずはボードゲーム体験でアイスブレイク
戦略系・コミュニケーション系など、いくつかのジャンルが存在しているボードゲーム。世界的にはドイツで盛んに遊ばれているようです。授業の前半では、ましうさんの代表作でもある「ナルハヤのつるぎ(幻冬舎)」と「Fairy(Allplay)」の2作品を実際に体験しました。
シブヤ大学の授業の参加者は初対面のことが多いのですが、ボードゲームは会話や相手のことを知るきっかけになることが多く、お手軽で楽しいアイスブレイク・ツールにもなります。3チームに分かれて2種類の作品を30分程体験したのですが、参加者の皆さんが少しずつ打ち解けいく様子を見ていると、スタッフの私たちまで楽しい気持ちになってきました。
「楽しい」が最も大切 でも、分かりにくい
ゲーム体験で少しだけお互いの印象や理解が深まった参加者の皆さん。後半はましうさんのゲームデザイナーのお仕事についてお話を伺いました。
美術大学の卒業制作で「楽しいものを作りたい」という気持ちからモジュール玩具を作成。その後、ゲーム企画会社でのボードゲーム制作を経て、2019年に「ナルハヤのつるぎ(幻冬舎)」で商業作品デビュー。独立後の現在は「楽しいこと」を最も大切に作品制作を続けていて、その一部は海外の大手ファーストチェーン店のグッズにも採用されたそうです。
「楽しいこと」が最も大切。ところが、「楽しいとはなにか?」ということを客観的に考えることはとても難しいことだそうです。ましうさんが考える「楽しい」と実際に遊ぶ人の「楽しい」は違う。「楽しい」と思って企画した作品の中には、製品化前のテストプレイで期待通りの感触とならなかったものも多いそうです。
その日のコンディションやその場の雰囲気…。「楽しい」は人によって全く異なるもの。そんな儚い存在でもある「楽しい」に真剣に向き合うことが、ボードゲームデザイナーとして最も大切なことだとましうさんは考えているそうです。

ワークシートを使って楽しいを「探求」する
今回のワークショップでは参加者の皆さんの心のなかに隠されている「楽しい」を探してみることにしました。参加者の皆さんに配られたワークシート(楽しいってなんなのか、考えてみよう)に沿って、チームごとにグループワークが進んでいきました。
◎ワークシートの流れ
1. ワークシートの質問に答えて自分の楽しさを「思い起こす」
2. 1で記入したメモから楽しさを「分解・再構築」して別のカードに記載する
3. 2のカードを他の参加者と交換して自分の楽しいと他者の楽しいを「再構築」する
4. 3で発見した楽しさについて参加者で「意見交換」する
ワークシートに記載されている方法を使って「自分が楽しかった体験」を他者と一緒に再構築・考察していくことは、ましうさんがゲームデザインを考える時のアイディア整理のプロセスの一部に近いものだそうです。実際、ワークショップの中で皆さんが再構築したアイディアのなかにも、実際にゲーム化したら楽しそうなものがいくつかあるそうです!
多くの人が求め・憧れる「沢山の楽しいに囲まれた生活」。これまで私たちが何気なく感じ、過ぎ去っていった「楽しい」という感覚を記録して、誰かと一緒に再構築していくことは、自分が感じた「楽しい」をReuse(リユース)・Recycle(リサイクル)しながら新しい「楽しい」を生み出すコツでは? そんなことを感じさせてくれた、あっという間の3時間でした。
皆さんも、ぜひ試してみてくださいね!
(授業レポート:奥住健一、写真:大澤悠季)