授業レポート
2024/10/21 UP
「衣」と「食」で考える~共存する暮らしとは~
「衣」と「食」で考える〜共存する暮らしとは〜今回の授業では、衣料と食の両面から、自然と共生する暮らしをテーマに考える時間を過ごしました。
講師を務めたのは、日本リ・ファッション協会の鈴木純子さんと、コミュニティガーデンあいラボ運営の美喜子さん。
お二人は、それぞれの専門分野から、現状の課題とその解決策として自然と共存する「衣」と「食」についてお話しくださいました。
まずは、鈴木さんの授業です。
環境汚染産業ランキング第2位のアパレル産業が環境や社会に及ぼす影響について、定量データとともにわかりやすく説明してくださいました。
例えば、衣服の原材料の70%がプラスチックであること、またコットン栽培が大量の水や化学肥料を使うため、環境だけでなく深刻なダメージを与えること、しかしオーガニック栽培ではダメージを軽減できるなど、驚くべき事実を知りました。
「現代奴隷制」という言葉には衝撃を受けました。これは低賃金で過酷な労働を強いられている人々のことを指し、ファッション業界がその一端を担っているという現実から生まれた言葉だそうです。
その後の対話の時間では、グループに分かれて、生徒さんそれぞれが自分の意見を交換しました。
「洋服に含まれるマイクロプラスティックファイバーが、回り回って自分たちの体内に入る」といった懸念や、「新しいものを作りすぎる現状を抑え、もっと古いものをリメイクして使っていきたい」といった意見がありました。
特に子ども服に関しては、サイズがすぐに変わるため、古着を循環させる取り組みがあればいいという発言が印象に残りました。
次に、美喜子さんの授業では、コンポストを通じて「食」と自然の循環について学びました。
彼女の言葉で特に印象に残ったのは「経過を知ると、大切にできる。」「コンポストは自然との対話」という言葉です。
食の循環という観点から、生ごみを捨てることがどのような影響を与え、環境問題に繋がっているのかを実際の数値データとともに伝えてくださいました。
生ごみの80〜90%が水分であり、その水分を燃やすために無駄なエネルギーを使っている現状に気づかされました。23区の区収集可燃ごみを焼却しているということは、毎日4万本分の2リットルペットボトルの水を燃やしていることに相当するそうです!
美喜子さんは、地域の学校で「土づくりの循環」を実践しており、地域の人々が一緒にコンポストを行い、野菜作りを体験しているそうです。
コンポストを通じて地域と自然が深くつながり合う循環型の生活を実現させていきたいとのことでした。
その後の対話セッションでは、参加者たちは「ベランダでコンポストをやってみようと思った」「生ごみを乾燥させたり、手で絞ってから捨てたい」など、自分たちができる具体的なアクションについて話し合いました。その中でも「自分が学んだことを、もっと身近な人に伝えていきたい」「良いものを大切に長く使いたい」といった思いを共有する場となり、非常に有意義な時間となりました。
毎回の対話セッションでは、時間が足りなくなるほど皆さん積極的に意見を交換して盛り上がっていました。
この授業を通して、私たちは「衣」と「食」という日常の一部を通じて、持続可能な暮らし方をあらためて考え直すことができたと思います。
「わたし達は循環するひとつながりの「いのち」である」という言葉が印象的で、この授業で学んだことを日常で生かすことでよりそのことを実感できると感じました。学びの多い授業をありがとうございました。
(授業レポート:佐藤華子、写真:岩渕郁枝、佐藤華子)