シブヤ大学

授業レポート

2023/12/25 UP

DEEP THINKING〜終わりなき思考に挑戦しよう〜

皆さんこんにちは!チームさとりかけです。
今回は12月16日(土)に開講した「DEEP THINKING〜終わりなき思考に挑戦しよう~」の様子をお伝えします!

 こちらの講座は神奈川大学社会教育課程の学生(チームさとりかけ)とシブヤ大学さんとの合同授業で行われました。私たち、チームさとりかけはシブヤ大学さんのサポートをいただきながら講座の企画・運営を行いました。

 この講座では、皆さんが日々抱く様々な疑問に対して、答えを見つけるのではなく「モヤモヤしたまま帰ってもらう」ことをゴールとし、参加者の皆さんにディスカッションをしていただきました。 講師には以前もシブヤ大学で講義を行った『思考のスペシャリスト』矢島祐作さんを招きました。現在、アメリカのルイジアナ州で生活をされており、現地の大学で教鞭を執られています。そのため、参加者と矢島さんをZOOMで繋ぐハイブリット型で講座を進めました。当日は矢島さんと時差15時間を越えてつながり、1つの講座を作り上げました。

 まずは矢島さんから、ご自身の経歴と今回扱うディスカッションテーマの「考え方」について講義をしていただきました。矢島さんは学生の頃から日本の様々な常識(日本特有の告白文化や、多様性を認めているように見えて細かい決まりがあることなど)についてモヤモヤ感を抱いており、将来は海外を拠点に生活をしたと考えていたそうです。

 矢島先生は「モヤモヤ感を分解・追求し、常識を多角的に疑うこと」を常に大切にされています。日本にいるとあまり感じることはありませんが、一歩海外へ出ると、日本人は「アジア人」という人種化をされます。この人種化されることにモヤモヤを抱く矢島さん。すると、参加者の中にも海外で働いた際に同じモヤモヤ抱いたという方がいました。参加者の方から「海外ではアジア人というラベルを貼られてモヤモヤしたが、日本に戻るととてもほっとした。」とコメントがあり、ディスカッション開始前から、早速モヤモヤの共有が始まりました。
 その後、今回行うディスカッションのテーマについて考えるポイントを教えていただきました。
全てに共通する点として
①問題を細分化すること、
②誰にとって良いのかを考えること
がポイントであるとされ、教えていただいた2つのポイントを意識し、ディスカッションが開始されました。

 1回目のディスカッションテーマは、チームさとりかけが提示した3つのテーマから1つを選んでいただきました。テーマは以下の3つ。

①男女の友情は成立する?
②経済的な視点で戦争はあって良いのか?
③チャットGPTを勉強で使って良いの?

 今回選ばれたテーマは「②経済的な視点で戦争はあって良いのか?」でした。グループを2つに分けて、お互いの自己紹介から始まりました。参加理由には「予定のついでに来た」「良い企画だと思って…」と答える方がいました。

戦争がテーマのため、初めは皆さん緊張している様子で、議論が滞ってしまう場面もありましたが、矢島さんがそれぞれのグループへ参加をすると、議論が派生していく様子が伺えました。発表の時間では、戦争によって潤う国があり、社会や武器会社が恩恵を受けられる、スポーツなどで死者を出さない戦争の形があればいいのではないかなど様々な意見が出ました。「戦争によって潤う国がある」という視点は、まさに矢島さんが提示された「誰にとって良いのか」というポイントが現れていました。
  ディスカッションが盛り上がり始めたところで、2回目は学生含め、参加者に話し合いたい内容を挙げていただき、1つの題材に決めてディスカッションを行いました。

 1グループ目は「早送りをして映画を視聴すること」をテーマにしました。このグループは、現代の若者の集中力に焦点を当て、映画から子ども向けアニメや音楽まで視野を広げていました。「忙しい人には早送りも良いのかも知れない。音楽もイントロが削られる傾向が出ている。しかし、それは作品の裏にある制作者の意図を感じることができないかもしれない。」と、発表していました。

 2グループ目は「結婚やお付き合いをする理由」をテーマにしました。このテーマを考えた学生は、結婚やお付き合いには互いを縛りあうものというイメージがあったそうです。そのような縛りがあるにもかかわらず、なぜお付き合いや結婚をするのかとモヤモヤしていました。最終的には「結婚やお付き合いは互いを縛るものではなく、所有を示すものであり、縛り合うものというだけではないのではないか」と、発表していました。

 どちらのグループも最後には「モヤモヤする」「答えはでませんでした」とコメントしていました。本講座の目標達成です!
講座の最後には矢島さんから全体の講評をいただきました。矢島さん自身も楽しく、勉強になったとおっしゃっており、「自分たちの当たり前は当たり前じゃない」とし、講座を締めました。

 私は今回、「答えを見つけない」という新しいディスカッションの形に出会いました。1つの正解にたどり着こうとするのではなく、モヤモヤと一緒に生きていくことが私たちの生活を豊かにするのだと思います。
 参加者の方々も、初めは暗かった表情が生き生きしたものに変わっていきました。
きっと皆さん、この日はモヤモヤで眠れなかったのではないでしょうか?! 思考は終わりません。さあ、あなたもモヤモヤを深める旅に出ましょう!

Let’s ”DEEP THINKING”!

(レポート&写真:宮内春菜)