シブヤ大学

授業レポート

2022/9/27 UP

沖縄本土復帰50年
〜沖縄の歴史から考える私たちの未来〜

こんにちは。シブヤ大学ボランティアスタッフの中村です。暑さも少し和らいできた今日この頃ですが、まだまだ暑い日が続いているらしい沖縄に関する授業のレポートです。
8/27日(土)、「沖縄本土復帰50年沖縄の歴史から考える私たちの未来」が行われました。
今回の講師は、「つながる沖縄近現代史―沖縄のいまを考えるための十五章と二十のコラム」(ボーダーインク)の著者、前田勇樹さん、古波藏契さん、秋山道宏さんの3名です。

授業前半の座談会では、出版の経緯や本に込めた思いについてお話を伺いました。これまで、沖縄近現代史の研究成果は「沖縄戦」「基地問題」などテーマごとに専門書として出版されることが多く、一般読者も手に取りやすい入門書が少なかったそうです。
そこで、各テーマが時系列ごとに整理されて、テーマ間のつながりがわかる入門書があればきっと面白い!という思いから出版に至ったそうです。
本を読んで終わりではなく、そこからさらに興味が深まるよう、様々な仕掛けがあるようです。(ぜひ、書店で直接ご確認ください!)
3人が沖縄近現代史研究の世界に入った経緯についてもお話がありました。
「小さい頃から沖縄に馴染みがあった」
「沖縄での日常生活で感じる違和感の正体を知りたかった」
「大学時代に感じた不条理と沖縄の歴史が重なった」
同じ分野の研究でも、きっかけは三人三様。歴史に興味を持つきっかけは何でもいいんですね!
座談会後はグループワークで講師も交えて参加者が感想などを共有しました。

「これから沖縄のことを知るうえで参考になる。」
「奥が深くて一度の授業では消化しきれない。」
「読書会などがあればまた参加したい」
などの感想がありました。
後半は講師によるおすすめブックリストの紹介でした。

*おすすめブックリスト*
▼古波藏さん
国場幸太郎『沖縄の歩み 心の治療とは何か? 』
冨山一郎 『増補 戦場の記憶』
東畑開人 『野の医者は嗤う 心の治療とは何か? 』

▼秋山さん
屋嘉比収『沖縄戦、米軍占領史を学びなおす』
呉世宗『沖縄と朝鮮のはざまで』
吉浜忍他編『沖縄戦を知る事典』

▼前田さん
豊見山和行編『琉球・沖縄史の世界』
上野英信『眉屋私記』
前田勇樹 『沖縄初期県政の政治と社会』(ぜひ近くの図書館に購入依頼を出してほしい!)

それぞれの専門分野に関わる話も交えつつ、熱く本の魅力を語ってもらいました。
授業を通して特に印象に残ったことは、歴史と日常生活は切っても切り離せない関係にあるということです。
過去にこんな出来事があったから、こうなったのか?
いや、実は今も過去もほとんど変わっていない?
歴史を勉強するほど、“日常”の不思議に気づくようになる気がします。
沖縄に限らず、自分が住む地域の歴史も改めて知りたいなと思った授業でした。
皆さんどうもありがとうございました。

(授業レポート:中村勇斗)