シブヤ大学

授業レポート

2022/9/26 UP

「書く」ことから見えるもの〜ジャーナリングを学ぶ〜

例えば何となく気分がもやもやしている時、紙に考えていることを書き出してみると、気持ちが整理されたような感覚を味わったことがある方はいませんか?
今回は、自分の手で「書く」という行為を通して、自分の感情と向き合う手法―ジャーナリングについて、エリクセン恵さんをファシリテーターにお迎えし、授業をしていただきました。
当日は恵比寿社会教育館の和室に17名の方にお集まりいただきました。シアトル在住の恵さんとはZOOMでおつなぎするスタイルです。

授業開始後、参加者の皆さんからの自己紹介と、恵さんからジャーナリングについての基本的な説明を経て、早速ジャーナリングの実践へと入っていきます。今回は2回のジャーナリングを行いました。1つは「私が感謝をしている人、物、場所、こと」について、もう1つは「私が幸せを感じる時」「私にいらないもの」「私がこれからしたいこと」といったもう少々広いテーマの中から各々選んだテーマについて。それぞれ3分と8分という時間内で、思いついたことを手元のノートに書き下していきます。箇条書き、文章、絵など形式は自由ですが、大事なことは手を止めないこと。皆さんが集中してペンを動かす様子が印象的でした。


ジャーナリングをする際の約束ごとは次の3つ。
・自分のために書く
・自分の中のセンサー(検閲)に気付く
・ジャーナリングにおいて「間違い」はないので、素直に書く

メールやチャット、仕事で作成する書類など、皆さんは普段から書くという行為を頻繁に行っていますが、その多くは「他人のため」に書くもの。そうではなくて、ベクトルを内向きにして「自分のため」に書くのがジャーナリング。また、自分の心の内をノートに書く際に「これは書いてしまって良いものか?」と自問自答することもあります。それは自分で自分を検閲している状態。その状態に気づき、素直に感情を書き出していくことで、より自分の気持ちや考えが整理されていきます。そうした自由なマインドになることで、心が浄化され、安定した状態の維持にもつながるとのことでした。

ジャーナリングの実践の後、参加者の皆さんからは多くの気づきや感想を共有いただきました。その中の一部をご紹介します。
・自分の中のセンサー(検閲)を発見し、普段本音ではないことを本音だと言っている自分に気づいた。
・書くことはエネルギーを使う行為だが、自分のためにエネルギーを使っていきたい。
・(ジャーナリングではノートを他の方に見せる必要はありませんが)自分の書いたものを他人に見せると解放された気分になり、ストレスが減ったかもしれない。
・スマートフォンで日記をつけてきたが、これからは紙とペンでつけていきたい。
・心の中を書き下していく作業を通して、自分は妻に感謝していることに気づけた。
皆さん、自分のための豊かな時間を体験することができたのではないでしょうか。

恵さんはジャーナリングを「自分へのギフト」と形容されていました。毎日ジャーナリングをしていると、自分が常に考えていることに気づいたり、またその日の書いた量によって抱えている悩みが多いことにも気づけたり、自分を眺めるバロメーターになってくるそうです。
様々な情報で溢れている毎日ですが、紙の上で自分に正直になれる時間を作ってみませんか。
(レポート:イノウエハジメ)