シブヤ大学

授業レポート

2007/12/4 UP

           

●はじまり●
クルックライブラリーに生徒さんがぞくぞくと集まってきました。時間が来るまで、本棚に並ぶかわいい本のひとつひとつを手にとって大事そうに眺めています。木のぬくもりとたくさんの種類の本に囲まれた優しい空間・・。「こんなところでシブヤ大学の授業ができるなんて・・」と感慨にふけっていると、時間が近づいてきました。生徒さんたちは1つの大きな木の机を囲むように座りはじめました。机の上にはカラフルに並べられた和紙の折り紙、はさみ、カッターナイフ、カッターマット、紋切り型のセットなど・・・。小学校の図工の時間にトリップしたみたいで、みなさんわくわくしている模様です。ついに、授業が始まります!!

●What’s紋切り●
紋切りは、今の日本語の「紋切り型」とあるように、どちらかというとよくないイメージで使われる言葉ですが、もともとは紙を折り畳んでハサミで切って家紋を作るための型紙のことを「紋切り型」と呼びました。同じ型紙を使えば、同じものが、すぐに、いくつも簡単に作れます。今は印刷などで同じものをいくつも複製することは容易ですが、江戸時代の人はこういう方法で紋を描いたり遊んだりしていたのですね。型があれば誰でもできて、型があるからそこからはみだすことができるのです。
先生は、「型ってすごい!」って思ったそうです。

●家紋クイズ●
先生から紋きりの説明を受けたあと、「家紋クイズ」が始まりました。先生が、昔の家紋の絵を出し、生徒さんが何かを当てるクイズです。家紋は、「紋切り型」の型の最たるものなのです。・・・最初は、なかなか当たらなかったのですが、みなさん、だんだん江戸っ子の感覚になってきたのか、「はまぐり!」「うさぎ!」「そろばんの玉!」など、正解がぞくぞく・・うさぎのおしりが3つ並んだ「みつしり合わせうさぎ」なんて言う家紋も・・みなさん、自然に笑みがこぼれます。「江戸っ子ってこういう風に遊んでいたんだぁ」とご先祖様に想いを馳せました。江戸時代は庶民の遊びはなかなか記録に残らないようなのですが、面白いことはどんどん取り入れて遊びにするという、江戸の粋をみんなで感じました。

●さっそく作ってみよう!●
みなさん、折り紙を一枚選ぶのも新鮮な様子でした。使用した折り紙は和紙で作られており、さわり心地も気持ちがよかったのです。好きな折り紙を選ぶ感覚が、子供の頃以来の方が多かったのでしょうか?思い思いの色を手にとり、すっかり童心に帰って、はさみを持って、「じょきじょきじょじょきじょき・・・・。」さっきのにぎやかなクイズに比べて、聞こえるのは、「かさかさっ」という音と、「じょきじょき」音だけ。「面白い、この状況!」、と先生。みなさん、真剣そのもの。

●できたー!!!●
「かわいーーーーー!!!!」
どこからか、声が聞こえてきました。みなさん、そっちに目がいきます。出来上がったのは「初雪」という型。みなさん、ぞくぞくとそれぞれの「初雪」が完成していきます。「仕事量のわりに、かわいいーーーーーー!!!」と、感動の嵐。「折って、型に合わせて切って、広げる。こんな一瞬で出来る単純な作業で、こんなにかわいいのが出来るの?」と、みなさん、大感激。そして、どんどんいろいろな型を試していきます。「上下割り桔梗」「上下割り菊菱」「くずれ花輪違い」「九ツ石」「シャボン玉」「南天車」「陰陽七ツ星」「丸に二ツ蝋燭」「対い兎」「抱き薄」などなど。型はほんとにいっぱい。どれも本当にかわいい!!!みなさん、もくもくと作っては、みんなに自慢したり、教えあったり、並べてみたり、切りカスもかわいいので、捨てられなかったり、コースターに貼り付けてみたり・・私も、早くも「紋きりあそび」のベテランとなった生徒さんに習いながら、作ってみました。生徒さんがすぐに先生になれる、まさにシブヤ大学ですね。

●行灯作り●
次は、それぞれ作った作品を組み合わせて行灯作りです。みなさんデザインを考えながら、自由な発想で行灯になる台紙にレイアウトし、のりスプレーで貼り付けてゆきます。スプレーをふりかけながら、「あ、もうちょっと右!シャボン玉はうさぎの横で!」とか言っている生徒さんを見て、江戸時代の職人気質を感じました。そして、台紙をまあるく、わっか状にとめて、ランプを点けました。「わーーーー!!きれーーーーい」とみなさん。クルックライブラリーの外の階段に自分の作品を置いてゆきます。ちょうど日も暮れてきて、夕暮れにひとつひとつ、「ぽっ」と浮かび上がる、紋切り型の模様。赤系の折り紙を使った行灯はオレンジ色っぽく、青系の折り紙を使った行灯はブルーの優しい光を放っていました。「同じ紋切りの型を使ったのに、こんなに個性が出るのだな」、と感動しました。みなさんご自分の作品を見て、写真を撮っては眺めて、撮っては眺め、満足そうなため息。ご自分の作った行灯、さぞかし、いとおしかったことでしょう。秋の夜風にいろとりどりの行灯が似合います。シブ大チームも力作をひとつ作ってみました。

●お茶にしましょ●
行灯を飾り終え、お茶です。お茶うけが、またかわいいらしい砂糖のお菓子。どことなく紋切り型に似ています。
照明も薄暗く優しい光にして、みなさん木の机を囲んで、先生といろいろな話をしています。この紋切りの原理を使って、ケーキ作りに使ったり、布で作ったり、紙以外でもいろいろなことに応用できるようです。また、「はつゆきプロジェクト」の話もしていました。なんでも、引き出しで眠っている、なぜだか捨てられない、自分の暮らしの断片のような紙で「はつゆき」を作るんだそうです。その「はつゆき」を集めて展覧会をし、本になり・・・・と、とても素敵なお話を聞き、最後に記念撮影です。みなさん、ご自分の行灯と一緒に笑顔でハイチーズ。最後に先生が、「紋切り型」を使った作品で素敵な作品をジャジャーンと見せてくれました。これにはびっくり!いっぱい笑いました。みなさん、ゴミを片付ける際には、「もったいない」といいながら、たくさん型の切れ端(これが結構かわいいんです)を集めて持ち帰り、そして笑顔で行灯を持ってご帰宅されました。今回「紋きりあそび」に参加されたくて、参加できなかったみなさんはぜひ、エクスプランテのWEBサイトをご覧になってみてください。ひとりでも作れますよ!先生、クルックのみなさん、そして生徒さん、ありがとうございました!

【参加者インタビュー】
1.本家さん(今回唯一の男性!)
「シブヤ大学はお箸の授業に参加したことがありました。普段やらないことをやりたいと思い、作ることも好きなので、お話を聞くだけではなく、実際やってみるワークショップの紋切りあそびに参加しました。先生が出してくれた家紋クイズが印象的です。紙を切って広げた瞬間がものすごく楽しいなと感じました。紋きり型の原理をケーキ作りにも応用できたりすることがとてもびっくりしました。趣味で、布で試してみたいです。」

またきてくださいね!ありがとうございました!!!

(ボランティアスタッフ 田中知美)