シブヤ大学

授業レポート

2020/7/7 UP

自分の体と心と向き合う時間を

自然(じねん)に生きる~循環型の社会創造
第三回は「自然体な身体。自分の心と体の繋がりを感じてみる授業」です。自分自身が存在として自然体とはどういうことか?について考えていきます。

ところでみなさんは、1日に何時間ネットの情報にふれていますか?コロナ禍になってから増えたという方も多いのではないでしょうか。(ちなみに私は毎夕、東京都の感染者数を調べる習慣がついてしまいました…。)

では、自分の体に向き合う時間はどれくらいとれているでしょうか?

講師を務めていただく有本匡男さんいわく、
「自分についての情報は、ネットを調べても出てこない。だから体感覚をつくることが大事。」
刻々と変化する社会でマスメディアの力は巨大ですが、マスはあくまでたくさんの人という意味。
自分が今どこにいるのか、どこを向いているのかがわからないままでは、自分にとって意味のない情報に振り回されるだけになります。

そこで今回は、3つのキーワードで自然体な自分を考えていきます。
①生い立ち
②擬似的な死
③陰陽(太極図)

①生い立ち
有本先生が子供の頃から強く思っていたのは「死にたくない」ということでした。その後、家庭環境の変化や、理屈では言い表せないような特殊な経験などを経て、ホリスティック医学にたどり着きます。そこには、見えるもの(ボディ)と見えないもの(スピリット)の全体的な健康観があり、死も意味のあるものととらえられるようになったそうです。

②擬似的な死
擬似的な死とは固定概念が壊れる時です。具体的には失敗や病気、これらは一般的には否定的なイメージですが、乗り越えることで自分の視点がバージョンアップされていきます。
先生が紹介された、病床で禅を学んだ方が「いってきます!」という心持ちで最期を迎える、というエピソードはその最たるもののようです。

③陰陽(太極図)
風水などでおなじみの太極図。なにに見えるか生徒のみなさんに聞いてみました。
・黒い魚と白い魚
・見つめていると表裏がくるくると入れ替わりそう
・男性女性
などなど、対局するものを表しているようで一体にも見える意見が多かったです。これはあながち間違いではなく、世界のすべてが陰陽を包括しているのだとか。人の性格にも、モノにも、組織や社会にも陰陽があるそうです。
なので①生い立ちや②疑似的な死を理解することが自分の陰陽を知ることにつながり、しいては環境と自分の関係性を理解することにつながるようです。
授業の終盤には陰陽を意識した呼吸のワークも行いました。頭のてっぺんと地球を軸に吐く方向を変えながら、みんなで心と体を整えました。

全体を通して抽象的で伸縮を繰り返していた先生のお話から、生徒のみなさんはそれぞれに生活の気づきを得たようで、授業後もご自身の経験についての質問が多く出ました。
自分自身のことはよく知っていると思い込みがちですが、立ち止まってその時々の視点で見つめ直すことも大事にしていきたいですね。

(授業レポート:槇歩美)