授業レポート
2019/10/24 UP
3限目:表現であそぼう -こどもの世界から学ぶ-
今回の授業は、こども×おとな×しごとプロジェクト代表 / あそびコーディネーターのしみずみえさんをファシリテーターにお迎えし、子どもたちの柔らかい頭と心から大人たちが気づきを得ることが目的でした。
授業コーディネーターの青木さんからは、「誰もが先生にも生徒にもなれるシブヤ大学の授業として、こどもが先生の授業をつくってみたかった。今日はこどもを先生に、表現することをみんなで一緒に向き合いたい」という言葉がありました。
そして、今日の授業のファシリテーターとしてしみずさんの紹介がありました。
最初にしみずさんから「今日は子供たちと一緒に柔らかい感性で授業を楽しんでください」と言われ、さっそく体を使った遊びを始めました。
広い体育館を使って自由に歩いてもらい、パートナーを探してもらいます。
そして、出会ったパートナーと面白かったテレビの話をしたりして、大人も子供も徐々に打ち解けてもらいました。
次は、誕生日の順番に1列に並ぶ遊びです。
大人はしゃべれないというルールがあって、子どもたちと身振り手振りでコミュニケーションを取ります。
このころには和気あいあいとした雰囲気が生まれ、みなさんとても楽しそうでした。
また、最初はお母さん、お父さんから離れたくなかった子どもたちも遊びを通して、初めて会う大人がいるこの場所に慣れてきました。
体を使ったあとは、やわらかい色紙(お花紙)を使った遊びです。
子ども1人と大人2~3人のグループになって、6種類の色紙を何枚も使って好きなものを作ってもらいました。何を作ろうかと子どもに相談しながら、紙を折ったり束ねたりねじったりしているうちに、キャンディー、アクセサリー、お寿司、人形などが次々と作られました。
そのあいだ、しみずさんは色紙をたくさんちぎって一か所に集めます。
そして、四方からうちわで力いっぱいあおぐと、ちぎった色紙が宙に舞い上がり、
とても幻想的な紙吹雪が現れました。周りからも歓声があがります。
これをきっかけとしてまわりの子供たちもやってみたくなり、各グループでもさっそく紙をちぎり始めます。
色紙の山ができたところから次々と紙吹雪と歓声が打ち上がりました。
最後は、1m×5mの障子紙2枚を床に広げて、みんなで自由に表現しました。
用意したものは、お花紙・セロハン・廃棄前のお花、絵の具、スポンジなど。
子どもたちはさっそく絵の具の筆を手に取り、点々、自由な曲線、文字、キャラクターなどを描いていきます。
こういった時、彼らは迷いなく描けるのが素敵だなと思いました。そして、大人たちも子どもたちにつられて描きはじめます。
始めは何を描こうか迷っていた大人たちも、子どもたちの自由な描き方に影響され、
だんだんのびのびと描いているようでした。
絵の具で描くだけではなく、遊びに使った色紙、色セロハンや本物のお花も貼って、どんどん色鮮やかで、華やかになっていきます。最後にはすっかり余白が無くなるほど、みなさんのめり込んでいました。
大人でも自由な表現をしたいと思っていても、どうしても「当たり前」や「大人なんだから」というステレオタイプの中にいるのかもしれません。
今回の授業は、大人だけだと真っ白な紙と材料を前に手が止まってしまうところを、こどもがいきいきと表現する、その姿勢から受け取ったものが多くありました。言葉から学ぶのではなく、姿勢から学ぶ。そんな授業でした。
授業の最後には、子どもたちはそのまま遊びを続けながら、大人の生徒さんみんなで今日気づいたことを話し合ってもらいました。
「夢中になって遊んだ」「目的のない遊びを通してのびのびできた」「学校のようにルールが決まってないので生き生きできた」「子供から学ぶことは多いので、一緒に楽しめるきっかけがあるといい」など、満足されたようでした。また授業の最初より、生き生きしたみなさんの表情が印象的でした。
「こどもたちは相手のことをよく見ています。
知らない人と“ほら、仲良くなって”というのは大人でも難しいですよね。
夢中になっていることを、“時間だから、はい!終わり”というのも難しい。
だから、時間をかけていいんです。もっともっと、遊びに向き合っていいんだと思います。」
私たち大人は一つの正解やルールを身に着けることにすっかり慣れてしまっているので、今回子どもたちと一緒に活動することを通して、自由に遊ぶ楽しさや正解にとらわれない気持ちよさに気づくことが出来ました。
(授業レポート:鈴木武 / 写真:峰萌絵)