シブヤ大学

授業レポート

2007/11/12 UP

シブヤ大学ツーリズム第4弾である今回の舞台は、栃木県の那須地域と呼ばれる那須塩原市と那須町。一行がさっそく向かった先は「創造の森」。この「創造の森」はレストランと農園と保育園を兼ねた施設で、その中でひときわ目を引く青い外壁のレストランが、今回最初の教室です。

一見ヨーロッパ調のこの建物に入ってみると、光がやわらかく差し込みとても落ち着く空間。目の前には農園が広がり、テラス席も居心地抜群です。もちろんお料理も目の前の畑で採れた、完全無農薬の野菜だそう。その季節の旬な野菜を取り入れた食事は本当においしいものでした。一口食べるたびに思わず唸ってしまうほど。特にこの日ここで食べたけんちん汁は絶品!生徒さんもみんな感動していました。

おなかいっぱいになった一行が続いて向かった先は、マイクロ水力発電施設。水田の隣にある農業用水の落差を利用して作ったという水力発電や、ソーラーパネルが設置してある調整池を見学しました。
そのまま続いて、産廃(産業廃棄物)処理場にも見学に。リゾート地として栄えているこの那須塩原市では、豊かな自然のおかげで一見見えないけれど、実は150箇所もの産廃処理場があるそう。地面に巨大な穴を掘り、ゴミを捨て、埋める。この行為が環境や人間にどれほどの悪影響を及ぼすか分かっていても、私たちが出しているゴミがなくならない限り、悲しいことに処理場は必要不可欠なものとなります。
そして今計画されている日本一大きいという処理場建設の反対運動を行っている地元の方々もこう言いました。
「今回の建設中止運動でたとえ私たちが国や法律に勝ったとしても、この問題が解決するわけではありません。私たちは反対運動と同時に、ゴミを減らす運動にも力を入れているんですよ。」
そしてそこへ運ばれるゴミのほとんどが東京近郊から出たものだと知った私たちに
「東京の方々がわざわざここまで来てくれて、この現場を少しでも認識してもらえればそれでうれしい。」と笑顔で言う姿に私達は胸が詰まる思いでした。
実際に現地調査に行ったというデンマークの街づくり政策事例などを、「風のがっこう」で伺いながらより良い形の地域づくりを勉強します。

再び創造の森へ戻ってからは夕食で使う野菜の収穫です。さつまいも、にんじん、大根、カブ、ごぼう・・・色んな種類の野菜たちを泥だらけになりながら収穫しました。夕食までの時間、いつまでも見飽きることのない焚き火を囲みながら自然を満喫します。

夕飯の準備ができたということで、食育講座の始まりです。「良心を育てる」の「良」に「人」が加わると、「食が心を育てる」に変わります。地産地消のものを使う大切さ、人も自然界の一部であること、自然に逆らわず自然との関わりを大切にしなければならないこと、それらを伝えるためにシェフは気持ちを込めて調理されていること・・・私たちに丁寧に教えてくださいました。
そして大地のパワーとシェフ想いの詰まったこの料理を食べると、本当に力が沸いてくるようでした。体にいいのはもちろんのこと、心まであったかくなるような、そんな料理を満喫できました。そしてデザートには先ほど焚き火に入れておいたホクホクの焼き芋。おなか一杯のはずなのに、もちろん別バラなのは言うまでもありません。

食後は宿泊施設へ向かいます。交流会の途中、テラスへ出て満天の星空と流れ星を眺めながら、いつもの通り、遅くまで宴は続くのでした。

二日目は、のんびりと朝食をとり、さっそくアートビオトープへ向かいます。ヒゲ爺に案内されながらまずは自然の中を散策し、フワッフワの芝生の上で休憩。拾ったどんぐりや松ぼっくりを写生したりお昼寝したり・・・ここ地良い風も吹いていてとても気持ちよかったです。
体験スペースではコップの絵付けを行いました。自然の中で色んなものを見て感じたものをそのまま絵に込めます。生徒の皆さんもカラフルな絵の具で色彩豊かに個性的な作品ができました。焼きあがって届くのが楽しみですね。

昼食の後は隣にある保育園に移り、ホールを借りてオイミュトリー体験をしました。
オイリュトミーは言葉の力としての母音・子音の響きを身体と結びつけるもの。ピアノの音楽とカラフルな布を持って体で表現します。言葉を体で表現することは私たちにはまだまだ難しかったけれど、先生はさすが、語られた言葉の一言一言や、音と音の関係を生き生きと見せてくれました。

その後はレストランのテラス部分で行われていたミュージックライブをのんびりと聴いたり、芝生で遊んだり、思い思いに過ごし、帰宅の時間に。
おみやげにおむすびを握ってもらって、バスに乗り込みました。最後まで手を振ってくれていた創造の森の方々。本当にお世話になりました。観光地として知られる那須の、今まで知ることのなかった影の部分と光の部分。両方とも学び改めて考えることができました。
そしてまたひとつ、シブヤ大学にふるさとが増えました。

(ボランティアスタッフ 嶋村千夏)