シブヤ大学

授業レポート

2009/10/20 UP

部屋に入るとまず、劇団員さんたちの元気な挨拶が迎えてくれました。

「おはようございます!!!」

おお...劇団だあ...!と何やら感動。
見るからに個性的な劇団員さんたち、そして先生たち。
生徒さんもなんだか、いつものシブヤ大学とはひと味違った雰囲気にドキドキしながら、授業が始まります。

「あ、まず初めに言っときます。
『あっというまにミュージカル!?』というタイトルですが、

ウソです。

あっというまにミュージカルなんて、できません。」

授業は、振り付け師の小川先生のこんなコトバではじまりました。


今日は、コメディの老舗劇団、テアトル・エコーさんの授業。
タイトルの「あっという間にミュージカル!?」は、
即刻否定されてしまいましたが。。。

先生は続けます。

「1、2時間やそこらでミュージカルができるわけないです。
1曲やるだけでも、1、2時間なんてあっという間に経っちゃいます。

今日は、1曲だけやりましょう。」

それから、ウォーミングアップが始まります。
部屋をぐるぐる回りながら歩いたり、飛び跳ねたり。発声したり。
一日体験入団といったような本格的ウォームアップをしながら、先生が一言。

「はじめは、考えながらやるんです。でもね、だんだんと体が覚えていく。そうやってできるようになっていきます」

そしていよいよ練習開始。
曲は、ジャズのスタンダードでもある、「I GOT RHYTHM(アイガットリズム)」
まずは劇団員のみなさんのお手本を聞きます...。

もう、聞いているこっちがわくわくしちゃうような歌!
「できるかなあ。。。?」という不安と同時に、「早くやりたい!」という高揚感にわく生徒さんたち。

ボイストレーナーでもある青柳先生からの、丁寧かつ楽しい!レッスンを受け、
アイガットリズムをマスターしていく生徒さんたち。

そして楽しい歌のレッスン後は、難関のダンスレッスン!小川先生がどんどんすすめていきます。
生徒さんも戸惑いながらも、徐々に振り付けを覚えていきます。
周りをきょろきょろ見渡しながら振りを確認する生徒さんたちにたいして、先生のアドバイス。

「とにかく前を向いて!鏡を見れば、自分も見えるし、全体も見える。」

この頃から私も体験していたのですが、いやー難しい!
でも確かに。鏡を見れば、周りの人たちの動きも見えるし、自分がどう見えてるのかも見える。
そして自然と顔が前を向く。舞台で踊るってこういうことか!と実感した瞬間。

でも不思議。はじめはできなくて、右、左。。。などと頭の中で数えながら踊っていたのに、
繰り返していくうちに自然と体が覚えていく。

一通り歌と踊りを教わってからは、3グループにわかれて、グループの発表に備えます。
劇団員さんたちも交えてのグループは、なんだかドキドキだけれど、練習風景にもグループの個性が出ています。

数分間のグループレッスンの後、中間発表。
さてそのままダンス/歌の発表になるのかと思いきや!

「ミュージカルの定番といえば、
何かのシーンの途中で、音楽が鳴りだして。。。その場にいたみんなが踊りだす。あの感じね。」

こういう「定番」をやってみよう、と先生のとっさのアイディアから、
参加してくださっていた、前授業の永井寛孝先生が急遽グループを演出してくださることに!

設定はそれぞれグループごとに、「スーパーのタイムセールの列に並んでいる人々」、「先生の言うことを聞かない保育園児たち」、「不倫現場を取り押さえられるカップルと、駅前の人々」。とっさのことなのにこのバリエーション。。。プロってすごいです。

しかしこの無茶ぶり!?とも言える突飛な設定に、案外ノリノリな生徒さんたち!
劇団員さんたちにもひけをとらない演技力を見せてくれます。

同じ設定、同じダンスで、グループ発表をその後3回ほど繰り返します。
回数をこなすほどにうまくなっていくのはもちろんのこと、
印象的だったのは、だんだん、「早くやりたくてしょうがない!」といわんばかりの生徒さんたちの姿勢。先生も、都度グレードアップしていくグループの演技と、まとまりが出て来るようすに心なしか満足げです。

一通りグループの発表が終わり、生徒さんたちは汗だくになりつつ、達成感に満ちあふれたお顔。

そこで先生は、あくまでもクールに続けます。

「まあ、こんなもんでしょう。1曲やるのでもこのくらい時間がかかるんです。
今日の経験が、今後の何かに役立た...なくてもいいです。
とにかくミュージカルって大変なんだなってことをかいまみてもらえたらいいかなと思います。」

たしかに、今回体験したのは、ミュージカルのほんの一部。

体で覚えて、それを繰り返し発表して見せ合いながら、自分の表現にしていく。
今回、ぜーはーしながら体験した一部の積み重ねで、ミュージカルが出来ているのかと思うと。。。

本当に途方もなく大変そう。。。と考えるだけで汗が出て来るような、
でもとてつもなく楽しいんだろうな!とわくわくしてしまうような、
そんな授業でした。


■生徒さんインタビュー:ハギワラ ミノルさん
グループ発表では、「保育園の先生」役を熱演されていた、ダンディーなハギワラさん。
シブ大の常連さんです!快く質問に応えてくれました。

【シブヤ大学にくるのは何度目くらいですか?】
もう10回以上になります。

【今回の授業に参加したきっかけは?】
今回は特別授業が多くあったので、いろいろな授業に参加してみたかった。
スケジュールを調整して、今回の授業に応募しました。

【今回の授業はどうでしたか?】
とても楽しかったです。体動かす授業はとても楽しいですね。
もう少し堅苦しい授業かと思いましたが、先生方がわかりやすくて、とてもよかったです。
振り付けを覚えるのは難しいですね。もっと踊りの勉強をしたいです。

【今後シブヤ大学でやってほしい授業は?】
以前やっていた戸栗美術館の、陶器の授業をまたやってほしい!
入場料がかかってもいいので、またぜひ参加したいです。


(ボランティアスタッフ : 天野 咲耶)