シブヤ大学

授業レポート

2009/6/5 UP

偶然の出逢いという名の必然の出逢い

事前打合せの時、
「今までにない授業にしたい!」と息巻いていた授業コーディネーターの松井さんに
「すごくふつうの授業をしましょう」と言った先生、松岡さん。

そんな授業の当日は、「みんなが先生、みんなが生徒」を合言葉に、
穏やかで、ゆったりした空気の中始まりました。
教室に来た人から順に机の前に丸く座り、大きな画用紙に好きな色のクレヨンで
「名前」「興味のあること」「好きな場所」を書いて、自己紹介。

半分以上の人の名前に「美」がついていたり、
使ったクレヨンの色と着ている服の色が同じ人が多かったり、
昔剣道をしていて、且つ東京から関西まで歩いて旅をしたことがある人が3人もいたり、
不思議な偶然がいっぱいでした。
その他、古い建物を見ると愛おしさを感じるという、服のお直しをする方がいたり、
先の見えないらせん状の階段を見るとワクワクするという、階段フェチの方がいたり、
なんて個性派の集まり!!
でも実は、みんな一人ひとり個性溢れる存在なんですよね。
好きなことを話すみんなは本当にイキイキして、その空間はとてもいいエネルギーに包まれていました。

後にか先に、誰かが、「今日は表参道キャンバスですね」と言いました。
真っ白いキャンバスに、みんなで色とりどりの絵を描いていく、そんな感じです。
そして、人生もまさに、そんな感じ。
真っ白いキャンバスに、一人ひとりそれぞれの絵を描いているんだなー。

大盛り上がりの自己紹介の後、事前に宿題があった、みんなからの「松岡さんにきいてみたいこと」などをもとに、お話をしていただきました。

絵を好きな理由は何ですか?
絵を描く時はどんなことを考えているんですか?

そんな質問の答えの中で、心に響いた言葉の数々。
○何よりも“楽しいを感じる”ということが大切。
○あえてきっちりと決めずに、心の余白を残しておくと、面白いものがどんどん入ってくる。
○「こんな絵を描こう」と最初から決めるのではなく、その場所にいて、
その場所で感じたことを心のまま描いていく。そうして、出来上がったものを見たとき、その瞬間の、その場所の絵が生まれている。
○大切なのは、ゼロになるということ。1でもなく、−1でもなく。ゼロになるとより自分らしくなる。
○計算せずに、純・粋に描く。計算したり、つくったりしたら純粋に負ける。ありのままで。
○みんながただ線を描くだけで、それはその人の絵になる。そうして自由に描いているうちに、人は自分がもともと持っているものに気づく。

松岡さんのお話を聞いていると、それはまさに、絵を描くということを通して、
「生きる」という上で大切なことを聞いているようでした。
心のまま、あるがまま純粋に生きている人というのは、なんて魅力があるんだろう。
その人の話はなんて心に染みて来るんだろう。
自分らしく生きているから、自信=自分を信じる力があるんだろうな。

お腹が減ってきた人が多かったので、まさに表参道裏ツアー、
松岡さんと松井さんが大好きなお店、「J-Cook」へ場所移動。
カレーに、プリンに、ビールに、アイスクリームに、
みんながそれぞれに好きなもをの食べながら、さらにお話に花が咲きます。
松岡さんが飾らず気さくにいてくれたおかげで、
みんな今日初めて会ったんですよね?ってくらい、仲良しな雰囲気。
相手が自然体でリラックスしていてくれると、自分もオープンマインドになれるんですね。

今日の授業で、何か新たな発見、もしくは再確認をされた方が多かったんじゃないでしょうか。
私事で恐縮ですが、松岡さんから「今ここに存在しよう」というお言葉をいただきました。
まさに、それは自分でも気づかなかった長年のテーマ。
心のまま生きている人には、本当に大切なことが見えるんですね。

絵を描くということを通して、私たちに沢山のことを伝えて下さった松岡さん。
みんなにもぜひ一度会ってもらいたい。
こんな素敵な時間を共有できた、松岡さん、みんなに心からありがとう。

(ボランティアスタッフ 中川 直美)