シブヤ大学

授業レポート

2023/11/21 UP

朗読入門ワークショップ~みんな違って、みんないい!

この授業は募集開始2日目ですぐに締切になるほど人気だったそうです。
まずは、30秒自己紹介。参加者が順番に前の人のタイムキーパーになって次々に自己紹介をしていきます。
参加した動機について
「今度孫が生まれたのでその子に読み聞かせをしたい。」
「昔から朗読に興味を持っていたが、今回のような機会がなかった。」
「実際に話す仕事についている。」
など様々な話を聞けました。みなこれから始まる授業への期待が高まります。
【第一部】「朗読入門講座」

富田先生の指導で、アナウンスの基礎テキストを読みながら行います。「あえいうえおあお、かけきくけこかこ~」
「寿限無、寿限無 五こうの擦り切れ~」「東京特許許可局長、急きょ今日許可却下」など言いにくい言葉、文章を先生に続いて唱和しました。毎日続けると滑舌が良くなり効果があるとのことです。北原白秋の「お祭り」を、拍子をとりながら順番に読むエクササイズは大いに盛り上がりました。

第二部の前に、先生方4人による芥川龍之介「蜘蛛の糸」の朗読 「確か自分だけが助かろうとして主人公のところで糸がプッツンと切れるんだよな。教科書にのっていたなあ
ぐらいに思っていたのですが、先生方4人による朗読は別世界でした。はっきりと伝わる優しい声。声だけなのに、お釈迦様、カンダタ、それぞれの場面、情景が浮かんできます。 【第二部】4グループに分かれテーマに応じて朗読体験

1       ウサギさんチーム(前尾先生:テーマは情景、イメージを伝える。)
まずは全員が初見で4人の先生も読んでくださった「蜘蛛の糸」の冒頭部分を読みました。
2回目はもっといろんなイメージを膨らませて読むことになりました。 映画の場面の様に、極楽の引きの風景から焦点がお釈迦様へと移り、次に蓮の花のアップへと場面が移り変わることを想像して読みます。

また、お釈迦様の着ているお召し物をイメージして読みます。そうすると自然とテンポや間の取り方などが変わってきました。 「智恵子抄」ならば東京の空と安達太良山の空の違いを想像して読む(先生が実際に安達太良山に行った時の写真を見せていただきました。)
また、「枕草子」ならば千年前の京都の四季を想像して読む。(標準語で読むよりは「枕草子」の時代に近いと思うのでと、先生が京都の訛りで「枕草子」を読んでくださいました。)

その土地ならではの訛りを入れたりイメージをして読むことはとても大切なことだと教わりました。

2       ゾウさんチーム(西村先生:ルーツからの発見) 
先生が朗読で取り上げる作品は、ご自分の居住する名古屋市・岐阜市その間の一宮市に関係する作家や作品がほとんどだそうです。先生は、ご自身が作品を読む意味は「地元に根付いた素材へのこだわりにある」と考えているとのことです。

夥しい文学作品や読み物が出版されているわけですが、この中から作品を選ぶためには、住まいや勤務場所、馴染みのある場所にまつわる作品を選ぶとよいと教えていただきました。作品を読むにあたっても具体的にイメージし易いという利点があります。

先生から東京に根付く物語として4つの作品の紹介があり、各自この中から好きなものを読むことになりました。
〇山本周五郎「柳橋物語」冒頭→東京都江東区・中央区(深川・人形町界隈)
〇坂口安吾「風と光と二十の私と」→東京都世田谷区(下北沢方面)
〇菅原克己「椎名町で会った人」→東京都豊島区~練馬区)
〇菅原克己「金子堂のおばさん」→東京都小金井市

先生からまとめとして次のお話がありました。
・朗読をするにあたり、声を出すということとともに、作品・素材を選ぶこと自体も表現のひとつになる。
・地元に根付いた作品を捜すには、地元の図書館などのレファランス・サービスなどを利用したり、郷土作家のコーナーを覗いたりするといい。
・皆さんのご自宅の本棚の隅に、思わぬ作品が眠っているかも?

3       カメさんチーム(富田先生:テーマは思いとふれあいを大切に)
・読み方には、目読、黙読、音読、朗読がある。
・音読は言葉の係りをどこで切るのかを考え、意味合いを考え、自分が自分に伝える。
・朗読には必ず相手がいる。一人以上の人がいる。人にいかに伝えるかだ。この場合、作者の想いを読み手がとらえて読む。(読み手が勝手にとらえてよい。)
・ニュースは正確、公平、公正に指示のとおり読まねばならない。一方、朗読は、14人それぞれ違うものとなる

〇ワーク:宮沢賢治「雨にも負けず」を教材にブロックごとに分けて、順番に読みました。 それぞれの表現がみんな違って。同じパートなのにこんなに違うものなかと驚きました。 次に同じ「雨にも負けず」を、今度は作曲家・雅楽師の東儀秀樹さんの曲に乗せて朗読してみました。すると、総じて読みやすく感じられ、みな1回目とは一味違う朗読となりました。 朗読には読む楽しみだけでなく、他の人の朗読を聴く楽しみもあります。 朗読とは、感じたことを自分らしく表現するものであり、ニュースとは違うことを教えていただきました。

4       リスさんチーム(髙先生:テーマは作品の世界を愛でる)
まず、髙先生が谷川俊太郎の絵本「きらきら」を読み聞かせしました。
<感想>一つとして同じものがない雪の結晶の美しい写真と語りを通して「一気に想像の世界に誘われた(いざなわれた。)

WORK1:『ことばのかたち』(おーなり由子作)をメンバーが一人ずつ声を出して朗読。それを聴いた後で隣の人が感想を言う。
<感想>同じ朗読を聴いても、人によって受けた印象が違うことに驚いたり感心したりしました。

WORK2:夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭部分を分担して読む。 髙先生から「自分なりの『猫』をイメージして読んでみよう。自分の色をだして!」と励まされた。
<感想> メンバーそれぞれの色が感じられて、より近くなった気がしました。
授業を受ける前は、「朗読」とは、自分を”無”に近づけて、作者の想いをできるだけ伝えようとすることかなと漠然と思っていましたが、そうではなくて、自分の色が加わって自然に声に出るのだとワークを通して気づきました。

また、「自分の声を好きになってください。」という先生の言葉が印象的でした。
(授業レポート:にし・片山朱実・江藤俊哉)