授業レポート

2019/10/24 UP

2限目:『難しい』を対話で伝える、学びのコミュニケーション

シブヤ大学13周年の授業の一環として、「学びを伝える人に学ぶ」と題し科学館での活動経験のあるサイエンスコミュニケーターの方に来てもらいました。

今回の先生は、サイエンスコミュニケーターの鈴木敬子さんです。サイエンスコミュニケーターとは、科学と人を繋ぐために、学びのスペシャリストである研究者や専門家の言葉をより多くの人に分かりやすく、理解しやすい言葉や表現にして伝えるのが役割の一つです。「学びの翻訳家」と言ってもいいのかもしれません。

はじめに、鈴木さんがサイエンスコミュニケーターになったきっかけについてお話をしてもらい、その話の中で、「伝え方」について教えてもらいました。鈴木さんは大学院の博士課程まで研究していました、そのころは国の政策により博士号を持っている人がとても多かったそうです。しかし、企業に就職しようとしてもコミュニケーション能力が無いから雇わないというケースが多く、対策として大学側が院生のコミュニケーション能力を高めるために海外研修などを実施していました。研修先で、専門家や同じ分野のひとに自身の研究を伝えるのは簡単なのです。しかし、分野や他業界の人に対しては中々自身の研究が伝わらず、伝えることの難しさを感じた。と鈴木さんは言っていました。

その際に学んだ伝えるコツとして、お互いに歩み寄らなければならず、「まずは自分から歩み寄る必要がある」と言います。
また、相手の反応を見ることも大切で、つまらなそうな顔をしていれば話題を変えたり、わかりやすい例えや言葉を使用して伝えたりすることも必要です。

鈴木さんが伝えるために必要なこととして以下の3つのことを意識していると言っていました。
伝えるために必要なこと3つ
①伝えたい相手をよく知る、見る(会場の様子を見る)
②適切な言葉を選ぶ(専門用語が伝わらないんだったら使わない)
③適切なタイミングを選ぶ(どのタイミングでどの言葉が響くか考えながら話す)

そして、3つのことを意識しながらいろんな研究者のプレゼンを見たそうです。その結果、「話し上手な研究者は研究費が多いという傾向がありました」と言っていました。

そうしたサイエンスコミュニケーションをしていくにつれて、研究者のひとたちの手助けをしたい、わかりやすく伝わるようにしたい、という気持ちが芽生え、その気持ちがサイエンスコミュニケーターを志した最初のモチベーションとなったそうです。

持ち合わせていない知識や知見をさりげなく提供することによって、なにかを判断する時に科学的な分析をする視点を持つきっかけをつくれればその人の助けになる。鈴木さんの場合は、自分のこどもが流産の時に科学的な情報として15%の人が流産になるということを知っていたため、やるせない気持ちもあったが、なんとか納得をすることができたそうです。情報を知っておくことによってショックを緩和できるならば、「知っておく」ということは重要です。そうしたきっかけづくりをつくるために鈴木さんはサイエンスコミュニケーターを続けています。

研究者が楽しく話している姿を見せたい。その姿を見せて、それを面白く伝えるのがサイエンスコミュニケーションの見せ所だと言います。確かに誰かが楽しく話しているところを見聞きするのは見る側も楽しくなると思います、それが専門家の面白い話だったら猶更です。
専門技術がブラックボックス化して魔法みたいな技術が多くある現代で、こうしたサイエンスコミュニケーションをすることによって少しでも多くの人に興味を持ってもらえればと思います。

鈴木さん、楽しい授業をありがとうございました。

(授業レポート:赤坂駿介 / 写真:内山千晶)