授業レポート

2018/11/27 UP

ここがヘンだよ!障害者雇用~私の就活体験談~

●白石さんのお話し
<生い立ち~大学院まで>
今回の講師は、NPO法人両育わーるどに学生インターンとして加入している大学院生の白石さん。白石さんは同法人の「Think Universal.」プロジェクトでポスターモデルをされています。
まずは、ご自身の生い立ちから就職活動に至るまでを、分かりやすくパワーポイントにまとめて話してくださいました。生まれつき両上肢に障害がありつつ一般学級で育ち、成長につれて「障害」の有無を意識させられるようになってきたという言葉がありました。
私自身、普段視覚に障害のある人達と接することが多く、時折、「障害者」というのは社会によってつくられているように感じることがあるので、白石さんの言葉に深くうなずいていました。
その後、白石さんは大学在学中に背骨の手術を受け、これまで以上に動かしづらくなったりして、うまく働いていけるのだろうか、と不安に思ったことなども聞きました。



<就活体験談>
いざ、就職活動をする段階になって、大学で紹介されたハローワークに行き、そこで以下のような違和感を覚えたとお話しがありました。
・キャリアカウンセラー主導。自分で考える余裕がなかった
・「タイピングが遅いので訓練所に通えば?」など、自分の能力を否定された気分に
・候補を早く決めなさいと急かされ、自分のペースを失くした
・自分の希望、能力、環境との一致点が見つからず悩んだ

そして、白石さんの出した結論は、ハローワークへ行くのをやめて、取り組みたいことに関われる方法を改めて探るということでした。
私は、就職活動がひと昔以上まえのことになった今では、違和感を与えるシステムの問題自体を改善すべきだと感じますが、何よりも白石さん自身が自分で感じ、考え、行動する姿こそが大切だと分かります。学生時代を思い返すと、大人に与えられたものに漫然と取り込んでいた身としては、白石さんの思いは羨ましくもありました。

白石さんは、当初、障害があるから福祉分野にと周囲に言われて、あまりピンと来ていなかったものの、文部科学省でインターンをしたり、NPO法人Social Change Agencyや両育わーるどに参加したりして、自分が働くイメージを模索したそうです。そして、何がしたいのか?を考えた時に、障害を知ってもらいたいということは譲れないと気付いたそうです。
障害のある人がいる環境を増やすこと、特に職場に障害のある人が増えれば触れる機会が増えるだろう、そういったことに携われる仕事をしたい、という思いに至ったといいます。

そこから、白石さんは以下のような動きをしました。
・障害者を対象とした人材系の企業探し
・障害者向けのサポートを受けながら新卒枠を受けることはできないのか?を模索
・面接では、会社で自分が働いた時のことを想像しやすい説明を心がけた

そうした結果、障者を対象とした人材系ベンチャー企業から新卒枠で内定を得ました。
その会社には障害者採用という区別は無く、障害を持つ白石さんを活用しようとしてくれる風土が決め手になったそうです。


<就活体験から感じた課題>
次に、白石さんがご自身の経験から感じた障害者雇用の課題についてお話がありました。
① 情報収集の困難
・障害学生向けの就活サイトの情報が少ない 
・大学に相談しても実際に障害当事者で就職した人が少ない
② 障害者枠と新卒枠の存在に疑問
・障害者であることをより強く感じさせられた
・障害者であることを常にカミングアウトさせられている感覚
③ 選択肢の制限
・身体状況と照らし合わせ、やりたいことより条件面から考えがち
④ 一般企業の障害者採用にある課題
・障害者雇用率を満たさない場合、納付金が必要。(→官公庁の水増し問題)
・「障害者=仕事ができない等の偏った考えや、雇用という形に囚われ過ぎでは」といった
障害者への意識について問いかける記事も紹介されました。

障害者の能力を適切に把握することや、障害者への適切なサポート体制をどう作るか?というようなことの重要性にも気付きました。



●グループワーク
その後、各グループで自己紹介タイムがあり、ワークをしました。
まずは、付箋に各自が感じた障害者雇用の「ここがヘンだよ!」を書き出してみました。その後、付箋に書かれたことに関してグループ内で話をし、最後に一つのテーマに絞って模造紙に「現在できていること」「問題・課題」「これから変えていきたいこと」の項目にまとめて発表という流れでした。



<各グループのテーマ>
1. 障害者と健常者がお互いに素直にコミュニケーションを取るには
2. 多様性を受け入れる意義とメリットを明確にしたい
3. 「障害のある人が働く」ということをもっと知ろう
4. 職場の人間関係づくり
5. 誰もが安心して働ける社会とは

それぞれのグループで議論が盛り上がっていて、分かりやすく回答が出たということではなかったかもしれないけれど、一人一人が考え、それをまとめていく過程におおきな意義を感じました。
各グループで、時々聞かれた言葉は「これは何も障害のある人に限っての話しじゃないよね」ということでした。若者が社会で働こうと思った時にぶち当たる困難や苦悩を、改めて感じさせてもらえた時間になりました。



<感想>
障害のある人を、もちろん守るために、分けて考えてきた社会が、いま、転換しないといけない時期に来ていると思っていたので、この授業に興味を持ちました。
「障害」を数値上のマイナスで捉えるのではなく、誰かだけが「障害者」になるのではなく、共に働くためにはどうしたらいいのか?という捉え直しが私たちの暮らしにとって大きな意義があると改めて認識できました。
私も白石さんと共にこの暮らしの中で学びを得ていけるように心がけます!

(レポート:松田高加子、写真:松井健二)