シブヤ大学

授業レポート

2017/11/1 UP

紅茶を深く知る旅に出かけよう 
Tea Tasting Journey

今日は千駄ヶ谷にあるSalon_de_Zuppaで
「紅茶を深く知る旅に出かけよう」の授業をしました。

会場は外苑西通りに面したサロンで、
元オーナーの画家が、自身のアトリエとして使用していたフロアです。
素敵な雰囲気が溢れる場所で紅茶の入れ方を学び、楽しもうというなんとも優雅な授業です。



先生は紅茶専門家の小島令子さん。

紅茶セミナーを全国各地で開催されるほどの専門家という一面もありながら
ユーモアある話もしていただける、
ユニークで、とても親しみやすい先生です。

授業は生徒のみなさんの自己紹介、ティーカップの紹介から始まり、
先生が紅茶を学ぶきっかけから話していただきました。



先生は20年前にインドの青年に会って
彼の”インドと日本の架け橋になるような仕事をしたい”
という熱意に共感し、紅茶を広める活動を始めたそうです。

日本国内で紅茶を知ってもらう機会を設けたり、インドに行って勉強もされたそうです。
インドはそれまでの自分の物差し、人生観が変わるほどの体験だったそうで、
あの国ほどエキサイティングな場所はないそうです。
紅茶産地のダージリンに行った時は道のそばが崖のような場所をバスに揺られて訪れたそうで、
サリーをつけた女性が歌を歌いながら茶葉を摘みに行くのがとても印象的だったそうです。
先生の話を聞いていると、産地の風景が想像でき、
授業タイトルにあるとおり、旅をしている気分、旅に行きたくなる気分になりました。

また紅茶に関する知識、
例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶は同じ木から摘まれ発酵の度合いによって分けられる、
紅茶は殺菌作用に優れている、昔は紅茶の70%がインド産だった、
イギリスには紅茶の木は無く、輸入して自国の文化まで育て上げた等、
さまざまな話を聞かせていただきました。


続いて、代表的な紅茶の銘柄の飲み比べをしました。

1つめはダージリン。
紙コップの茶葉を見たり、香りを確かめたあとに試飲です。
ダージリンは渋みがあり、 カテキンが多いです。先生によれば和菓子に合うとのこと。
生産量が少なく、高い山の上に栽培されているため運搬料もその分かかるので、
その味と値段から、紅茶の王様と言われるそうです。
インドではチャイとしても飲まれているそうですが、
チャイや一緒に食べるお菓子は、日本人がびっくりするほど甘いとか。
なんでもインドは暑い気候で、体力を消耗するため、
その分、エネルギーを摂取する必要があるからかもしれないと先生はおっしゃっていました。
料理や飲み物はその土地の気候に影響をうけるからだそうです。

次の飲み比べはスリランカ(セイロン)の紅茶。
セイロンは茶畑が点在しており、生産量も多いので、ティーパックにも使われているそうです。
ダージリンよりは渋みがとれてまろやかで、全体的に色、味、香りのバランスがとれているそうです。
そのため、セイロン紅茶はいろいろな楽しみかたができ、
ストレート、ミルク、レモン、ウィスキーなどを入れても合うそうです。

最後はキーモンという中国の紅茶。
燻製のような香りで茶葉が細く、ウーロン茶に似ている味でした。
中国でも紅茶が作られているんだなぁと思いましたが、
昔イギリスは、インドより先に中国から紅茶を輸入していたそうです。
中国産は値段が高く、その後インドで紅茶用の木が発見されたことにより
インド産の紅茶がイギリスに広まったそうです。
そういった世界文化の話もあったからか、より一層味わい深い紅茶でした。



10分ほど休憩をはさんで、次は先生に紅茶の入れ方を教わります。
今日入れる紅茶は栃木で作られた国産の紅茶。無農薬で、生姜が入った珍しいものでした。
まず紅茶で一番大事なことは、ぼこぼこ沸かした熱湯で入れること。
紅茶は完全発酵しているので、温度が低いと味がしっかり出ないからだそうです。
またポットに溜めていたお湯ではなく、水道水を沸かす方が良いそうです。
意外にも、イギリスは硬水のため紅茶の味が出にくく、
軟水の日本の方が美味しい紅茶が楽しめるそうです。

そしてもう一つ大事な点は、お湯を入れたらしっかり蒸らすこと。
通常はだいたい3分、大きな茶葉のものは4分と
茶葉によって調整するのがコツなんだとか。
厳密には濃さの好みは人によって違うため、
自分のベストタイムを探すのも良いそうです。



また美味しい紅茶を入れるためのグッズも大事です。
例えば紅茶用のティースプーンがあれば、正確な量の茶葉を量ることができますし、
ティポットで蒸している時、保温するためのティーコージーや
タオルを被せて代用しても良いそうです。
イギリスには紅茶グッズを扱うお店が多いそうなので、
そういったお店を巡るのも楽しそうですね。



それでは実際に、2組に分かれてみなさんで紅茶を入れます。
ティースプーンで量って、熱々のお湯を入れて、時間をはかって蒸らす。
味がすぐに変わってしまうので、みなさん真剣です。
3人分の紅茶を入れる時は、それぞれが均一の濃さになるように
順番や1回目に注ぐ量など方法があったり、大事な場面もありました。

無事、紅茶を入れ終わりました。いよいよティータイム。
みなさんが真剣に入れた紅茶だけあって、とても美味しそうでした。
先生が用意していただいたクッキーとバウンドケーキをいただいて、
紅茶に関する話を聞いて、ゆったりした時間を楽しみました。



参加されたみなさんは
「帰って家でも紅茶を入れてみたい」
「紅茶グッズをそろえて生活に取り入れたい」
「非日常を味わえて良かった」など、満足された様子でした。

先生も、紅茶を教えて一番嬉しいことは
紅茶を飲んで、お菓子を食べて、
おしゃべりを楽しんでみんながニコニコして帰ってくれるところだと言っていました。

当日はあいにくの雨でしたが、美味しい紅茶を飲んで、
雨つぶ模様の外の景色を眺めて自分の心と体をゆっくり休めてみる。

そんな時間ってやっぱり大事だなぁと気づかせてくれた授業でした。

(レポート:鈴木武、写真:高橋眞依子)