シブヤ大学

授業レポート

2017/10/21 UP

「知財」を学ぶ
~身近にある、著作権と商標権

■はじめに。
FacebookやTwitterなど、SNSとは無縁ではいられない今日この頃。ネットで見つけたよさそうな画像、勝手
に使っていたりしませんか?

今回は、弁護士の石川先生をお招きして、そんなネット社会における身近な著作権と商標権と、普段は知らない弁護士のお仕事について学びました。





■弁護士のお仕事について。
弁護士、と聞くと大学時代から司法試験を勉強し、合格後はそのまま弁護士などの道へ〜といったイメージの人も多いかもしれませんが、石川先生は大学卒業後、一般企業に入社し、その後司法試験を受けて弁護士になった変わり種の先生です。社会人をしながら司法試験とか、想像を絶する大変さ、、!


元々大学時代から知的財産権のゼミをとっていたり、勤め人時代も知的財産に関わるお仕事をされていたそうなので、専門は知財?と思いきや、企業さんからの案件のみならず、個人の方の相続や離婚などの案件も受任しているとのこと。弁護士さんは馴染みのない存在ですが、気軽に相談してもよいものなんでしょうか?

石川先生は、弁護士の普段のお仕事と、それ以外の士業と言われている税理士や社会保険労務士、司法書士や行政書士のお仕事とその違いについてもお話してくださいました。

日本には専門家が細かく多く、普段関わることがない分、相談する相手が合っているのかどうか、悩ましいですよね。弁護士さんは士業のお仕事のうちの多くをカバーしていますので、迷ったらとりあえず弁護士さんに聞くのがよさそうです。

でも、気になるのはお値段!「やっぱりお高いんじゃないですか、、?」教室からも声があがります。


「いやいや、そんなことないですよ。受任案件となれば相談料はいただきませんし、受任に至らない場合でも、相談料は30分で5千円です。」とのこと!これは有難いですね〜。日々不安に過ごしていろいろ悩むことを考えたら、そんなに高くはないのかも?弁護士さんによっては相談料は異なるため、もし弁護士さんに相談をする場合には、事前に確認しておくとよさそうです。


■知財について。
弁護士さんのお仕事がざっくりわかったところで、いよいよよく耳にする「知的財産権」について。「著作物や工業所有権について著作者が有する権利であり、、」という段階ですでに知らない単語が。著作物はわかるけど、工業所有権って?
工業所有権とは、特許権、意匠権、実用新案権、商標権のことをいうそうです。もっとも最近では、工業所有権という表現を使わずに、産業財産権とかいうみたいです。

特許権はまったく新たな発明について、意匠権は物品のデザインについての創作についてのもので、法改正によって実用新案権は今ではあまり使われていないそうです。

商標権は私たちに最も身近なもので、ロゴなどのマークや商品名をいいます。例えばコーラにはいろんな種類がありますが、「コカ・コーラ」のロゴを見れば、そのペットボトルや缶の中にはコカ・コーラが入っているという信頼がありますよね。

これは、コカ・コーラの会社が商品名やロゴについて商標権を取っていて、他の商品と紛れないようにしているからです。もし他の人が無断で「コカ・コーラ」のロゴや商標を使っている場合には、その仕様を差し止めできるという権利もあるそうです。

そして、普段よく見る「™」のマーク。こちらは、商標権の出願はしていなくて識別の標識として使用しているものだそうです。一方で、「®」がついているものは、商標登録されたもので、「™」も「®」も同じようなロゴや名前は使わないほうがいいってことですね。

また、授業の中では著作物のアップロードについてのお話も。例えば、絵画には絵描きである著者の著作権があるため、その絵画を買った人は勝手にはその絵画を写真に撮ってアップロードできない場合もあるようです。購入者はその絵画を所有してはいるけれど、著作権までは持っていないから、その絵画の写し方によっては注意が必要な場合もあるとのこと。

著作権はその絵を描いた本人にあるので、その絵画をメインにとった写真は、著作者の承諾がないままアップロードしたりすると著作者からやめてください、なんて言われることも、、?

写真を撮るときに著作物が入っているときなどは、メインにその物が写っていなければ大丈夫だそうですので、これからは気をつけてみようと思いました。



■みんなで、考える。
ひととおり知財の概略がわかったところで、実際に身近に知っているキャラクターである「ミッフィー事件」や「スイカ事件」について、みんなで考えてみました。デザインや写真の構図が似ている場合、パクリなのか、パクリではないのか。どういった観点から著作物が類似しているかなど判断する方法を教えてくださいました。

パクるのはいけないことなんですが、どうやらその判断は専門家や裁判官の方でも難しいようです。裁判官によっても地裁と高裁で判断が真逆のことも結構あるようです。

最後は、石川先生に質問タイム!授業でわからなかったことや普段弁護士さんに聞けないアレコレを、みんなで質問してみました。



■おわりに。
今回は知財を学ぶ、ということで普段聞きなれない言葉も多くありましたが、身近な例が多く、とてもわかりやす内容でした。普段なかなか聞けないことも聞けたのがよかったです!みなさんジャンジャン質問してました。笑

この授業を元に、今後のネットライフに活かせていけたらいいな、とみなさん感じたのではないでしょうか。


どうも、ありがとうございました!





(レポート:阿部文香、写真:牧野祐也)