シブヤ大学

授業レポート

2007/8/6 UP

【手作りの愛情】

「おたふくわた」印がついた座布団が並べられた畳。そんな寺子屋のような部屋が今回の教室です。

い草の香りに夏を感じながら教室に入ってくる生徒さんが、まず注目したのが教室の一角に飾られたおたふく看板。
少々年季の入った看板は「実はネットオークションで購入したんです。」と話して下さった今回の先生は、創業天保11年、木綿わたのお布団の老舗「おたふくわた」の9代目店主の原田浩太郎さん。
当時は九州地方にこの看板が多く飾られていたそうで、九州出身の方は「おたふく」=「おたふくわた」というイメージが定着しているほど。

まずは皆さん座布団に座って、原田さんから木綿わたについてや、「おたふくわた」の歴史などを学びました。
平成9年、一度は寝具業から身を離した「おたふくわた」。しかし昔ながらの体に優しい木綿ふとんを再び作りたいと決意し、4年前に復活に至ったと言います。

最近ではとても少なくなってきたという「木綿(もめん)」の布団は、動物(蚕や羽毛)から作ったわたとは違い、アレルギーになりにくいのだそうです。しかも打ち直しができ、座布団にもリサイクルできてとってもエコ!
何よりも、晴れた日に干された木綿わたの布団は、独特の香ばしい匂いがして、太陽の温かみがして、最高ですよね!

そんな木綿わたを使って続いてはお待ちかねの座布団作りです!
「おたふくわた」復活以来すばらしい布団を作り続けている野原久義さんに指導していただきながらの実践です。

わた飴のようにフワッフワのわたをちぎっては重ね、ちぎっては重ね・・・
「ただ、わたを詰め込むだけでなく手間をかける。それだけでとっても丈夫なものになるんですよ。」と野原さん。

一級寝具製作技能士の野原さんのお手本(見るからに職人技!)を見ているだけで、思わず生徒さんから「お~!!(パチパチ)」という歓声と拍手が上がるほど。(笑)
一人一人周って丁寧に教えてくれる野原さんのおかげで、何とか皆さんわたを重ね終わりました。

続いては座布団の生地にわたを詰める作業。
これがまた難関でした!(汗)
何度も何度も見本を見せてくれる先生。
頭では理解しているつもりでも、どうしてもうまくいかない生徒さん達・・・

同じことをしているはずなのに何でこんなにも違いが・・・と落ち込みそうにもなりましたが(笑)、そこは生徒さん同士も助け合って作っていきます!!

野原先生は数々の賞を受賞しているプロ。わた布団の要である「角」の部分、わたくずれしない作りは国内でも最高レベルと業界では有名だそうです。
お客様から注文をいただいたふとんを1枚1枚、徹底して作る野原先生に敵うはずもありません(笑)

そして作業開始から約3時間、ついに座布団が完成しました!
わたが偏っていたり、バランスが悪かったり。
それでも自分専用の座布団が出来て生徒さんも満足そう。

これからはデパートなどで布団や座布団を売っているのを見かけたら、思わず角を触ったり、バランスを見たり、そんな行動をとってしまうこと間違いなしの皆さん(笑)

木綿ふとんに対する愛情を誰よりも強く持っている先生達に、江戸時代から続く伝統の木綿わた100%の魅力を存分に教えていただきました。

(ボランティアスタッフ 嶋村千夏)