シブヤ大学

授業レポート

2015/10/28 UP

渋谷を100倍楽しくする方法を考えよう!
(ITを使った参加型まちづくりって何?アイディアで街を変えよう!)

街を変えるアイディアを考えよう。しかも「IT」を使って。という今回の授業ですが、どうやったらアイディアが出るの?どのようにIT使うの?何やら分からないことだらけですが、実際にITを使った魅力的な街づくりを提案しているCode for Tokyoの副代表・榎本さんの講義から授業が始まります。


■シビックテックで街づくり


 街を変えるということは、その地域には解決したい課題があるということ。この課題を解決するために、市民が様々なテクノロジーを活用して活動することを「シビックテック」と言うそうです。

 たとえば、アウトドアが盛んな米国のポートランドでは、山の登山口付近の写真を市民が撮ってEメールを送信・蓄積するサービスがあります。このとき、駐車場やトイレの有無を一緒に送ることで、初めてその山に登ろうとする人にとって有益な情報となります。http://www.traileditor.org/

 日本でも、阿波おどり(徳島)のお祭りのとき、踊っているグループ(「連」というのだそう)がどこにいるのかを、スマホから確認できるサービスがあります。連のメンバーがビーコン(小さな発信器)を持っていて、この位置情報がスマホで見えるのだとか。なぜこのようなサービスがあるかというと、この「連」には熱烈なファンがいて、今どこに行ったら「連」のメンバーに会えるのかを知りたい!という強い想いがあるのだそうです。 http://codefortokushima.org/sub-contents/awaodori/radar/

ITと街づくりの関係が少し見えてきた気がします。


 ここで重要なのは『市民と行政がともに考え、ともにつくる』こと、と榎本先生。行政が主導ではなく、住民が率先して自分たちの住む街をよくする活動をする姿勢が大事なんだとか。そして、この活動を通じて、住民が自分たちの住む街をもっともっと好きにり、自分の街に誇りを持てるようになる = シビックプライドが育つことも、とても大切なことだそうです。

 『街づくりを行政に任せっきりで、住民が単なるお客さまになってしまっています。そうではなくて、私たちが主体性を持って参加することが重要です。』という先生の言葉は、自分が住む街に対して何も行動を起こしていないのに、文句だけは言っている私の胸にぐさぐさ突き刺さります。反省。

 では、街づくりのアイディアはどうやったら生み出せるのか、授業の後半で「アイディアソン」というワークショップを行います。

■アイディアソンは「渋谷の魅力を100倍に!」


 「アイディアソン」とは「アイディア」と「 マラソン」をかけた造語で、あるテーマについて色んな人と短期間でアイディアを出しまくるイベントです。今回のテーマは『遊びに行きたくなる街・渋谷を100倍魅力的にする』こと。

 アイディアなんてひとりではなかなか出ないものです。みんなの力を集結しましょう。そのためにまずは自己紹介。自分の思う「渋谷の魅力」を3つ書いた紙を持って教室を練り歩きます。このとき、他の生徒さんがどんなことを書いているのか、近いのか遠いのか、自分は考えてもみなかった、などなど話しながら、アイディアのタネを共有します。「交通が便利」「お店がたくさんある」「多様性」など様々なイメージが出てきます。


 次にペアブレスト。二重の輪を作って、向かい合った人と一緒に、先ほど書いたシートの「渋谷の魅力」を100倍にするためのアイディアを出し合います。ペアを変えて4回ほどこれを行い、自分のアイディアに人のアイディアを足したり、全く違うアイディアに乗っかったり、どんどん膨らましていきます。


 ペアブレストで出た色んなアイディアをカタチにすべく、キャッチフレーズやアイディアのポイントを書いて、生徒さん全員分を並べて投票を行います。「古地図を歩く」「渋谷を無人に」などなど、ユニークなアイディアがたくさん。個人的には「おじいちゃん・おばあちゃんの街・渋谷」というアイディアがステキでした。


 投票で上位8つに絞り、そのアイディアを生み出した生徒さんがプレゼンを。渋谷への想いはもちろん、このアイディアを実現したとき自分がどう関わるか、など、みなさんとても具体的・主体的なイメージをお持ちでした。  
 また、このプレゼンではCode for TokyoさんからIT活用の観点から拡張案などコメントが。最多得票の「渋谷に来た外国人と飲む」アイディアに関して少しだけご紹介しますね。


 このアイディアは、「よそから来た人には閉鎖的な日本人が多い中、開放的な渋谷なら、うまく繋がることができるのでは」というもので、文化交流の加速を狙った施策です。

 ITを活用してできることとして、Code for Tokyoさんから、

 ・地元民がおすすめのお店を紹介する仕組み
 ・お店が顧客を獲得する仕組み
 ・コミュニティを形成する仕組み
 ・自分の仕事や趣味などをキーに会話が弾むための仕組み
 ・AirB&Bなどの延長線としてのマッチングの仕組み

など、様々な視点でアドバイスを頂きました。

 最後に、上位8つのうちで自分が支持したいアイディアについてグループでディスカッションをし、結果を再度プレゼンして授業はおしまい。ちなみに外国人と飲むぞ班は、来日外国人+渋谷に遊びにくる人+お店のマッチングサイトを作ろう!というアイディアで締めくくりました。

 最初は戸惑いながら始まったこの授業も、最後のプレゼンx2では笑いあり賞賛の声あり、で、皆さん想い想いの独自のアイディアを生み出して、渋谷をより魅力的にする方法について活発なコミュニケーションが生まれました。


 そうそう、授業の様子をCode for Tokyoの和波さんがグラレコ(グラフィックレコーディング)してくださいました!文字の議事録ではなくて、グラフィカルで流れを見せてくれる、とても面白いスタイルですね。


 さて、今回たくさんのアイディアが出たのですが、それをどうやって現実にすればいいのでしょうか。そのヒントは、11/6〜8に豊島区の旧庁舎で行われる「Code for Japan Summit」という、年に一度のシビックテックのイベントにあるようです。

公式HP:http://summit2015.code4japan.org/
チケット詳細:http://cfjsummit2015.peatix.com/

 今回の授業もこのサミットで発表されるそうですので、気になる方は検索してみてください!私も参加します。

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 恒例の記念撮影ですが、実は今回が1,000講座目!Code for Tokyoの「C」のポーズで節目の回を締めくくりました。皆さんの暖かいご支援があってここまで来れました。今後も楽しい・ためになる講座をたくさん作っていきますので、これからもシブヤ大学をよろしくお願いします!



(レポート:小笠原大樹、写真:木村芙佐子)