授業レポート
2015/7/27 UP
素数でアート!
シュタイナーの糸かけ曼荼羅
シュタイナー、素数、曼荼羅とキーワードが並んだ募集案内でしたが
「…とにかく美しい!!!!
まずは、そのものの魅力を感じてほしいのです。」
という、呼びかけと糸かけ曼荼羅の写真に引かれて参加された方が多かったようです。
授業の導入は、「素数って、なに!?」に答えるため、アイスブレイクを兼ねて、隣の人と一緒に「エラトステネスのふるい」に挑戦。
1〜100迄の数字が書かれたマス目から、素数を見つけ出します。
糸かけ曼荼羅の作成に入る前に、ミニ講義です。
○シュタイナー教育
オーストリアに生まれたルドルフ・シュタイナー(1861~1925)が提唱した教育で、人間の心と体の発達には7年ごとに節目があると考え、0~7歳は意志、8~14歳は感情、15~21歳は思考を育てる時期とし、さらに年齢ごとのテーマと合わせてカリキュラムを組みます。
この教育の中で、糸かけ曼荼羅も使われています。
○素数とは
その数と1でしか割れない数。2、3、5、7、11、13、19、23、29、31......
数学者が「一見無秩序でバラバラな数列にしか見えない素数が、どのような規則で現れるか」を2600年も研究していますが、いまだに解明されていません。
身近なところでは、インターネット上での暗号化(RSA暗号)に「巨大な2つの素数を掛け合わせた数」が使われ、金融情報や個人情報を保護する有効な手段として採用されています。
○曼荼羅とは
サンスクリット語の「mandala」を漢字で表した言葉で「円」という意味で、「本質を持つもの」と解釈されることもあります。
1500年前の古代インドに起源をもち、仏教における悟りや世界観などを、仏像・シンボルなどを用いて視覚的・抽象的に表現したものです。
広義では、複数のシンボルを一定の秩序で組み合わせ、色彩豊かに表現したアートを曼荼羅と呼ぶこともあります。
それでは、糸かけ曼荼羅の作成ワークショップの様子をご紹介します。
まずは、講師が事前に64本の釘を等間隔で円形に打ち込んだ板が配られました。
次に実際の作成手順について、説明されました。
(1)好きな色の糸を選び、一番下の釘に結びつけ、糸を結んだ釘を0として、
時計回りに数えて31本目の釘に糸をかけます。
(2)続けて、糸をかけた釘から時計回りに数えて31本目の釘に糸をかけます。
このように順に31本目の釘に糸をかけていくと、すべての釘に一度ずつかけられて、
最初の0の釘に戻ってきます。
0の釘に糸を結びつけて、糸を切ったら1本目が終わりです。
(3)2本目の糸を選び、今度は29本目の釘に、同じ手順で糸をかけていきます。
基本の数:31,29.23,19,17,13,11,9 の順に糸をかけて、
最後の9本(色)目は、もう一度31本目の釘にかけて終了となります。
(4)9 or 7、どちらの数字を使う場合でも、最後の9本(色)目は、
もう一度31本目の釘にかけて終了となります。
ここまでの説明を聞き、最初(1本目)の糸選びからスタートです。
皆さん無言で、釘の数を数えます。
1本目の釘にかけ、2本目の釘にかけ。。。。
時々、”ピン、ピ~ン”と、はられた糸が弾かれる音が響きます。
4、5本の釘にかけた辺りで、急に手の動きが早くなる人が出てきました。
何か法則らしきものを見つけたようです。
1本目の糸を全部かけ終わり、ホッとする間もなく2本目の糸をかけ始める人、何色にするかじっくり考え込む人と
個性がでるのも面白いところです。
相変わらずの静寂の中、2本目がかけ終わる辺りで、色のコントラストも出てきて皆さん満足げです。
多くの人が3本目をかけ始めるときには、もう1時間を越えていました。
糸をかけ始めてから1時間15分が過ぎました。
予想通り、まだ完成した人はいません。持ち帰ることを考慮して、新しい糸での糸かけはストップ。
授業終了15分前、糸かけは終了とし、全員で他の人の作品を見て回ります。
生徒さんたちから『素敵!』『なるほど』と声が上がります。
本当に千差万別、一つとして同じものはありません。
最初はどんなものが出来上がるのか想像できなかったのですが、ここまで来ると完成した姿が想像できます。
最後に、皆さんで記念撮影。
作成途中の作品を手に、ここまでできた満足感と早く完成形を見たい気持ちが現れていました。
(翌々日、講師の方から生徒さんに依頼されていた完成した作品の写真が転送されてきました。いくつか紹介します。)
<<生徒さんの完成作品の写真>>
(写真:設樂もも子/レポート:竹田憲一)