シブヤ大学

授業レポート

2015/2/10 UP

はじめての日本刺繍
~付け襟を飾る伝統の技〜

【みんなの手芸室】はじめての日本刺繍 ~つけ襟を飾る伝統の技~


 1 月17 日のお昼過ぎに渋谷西武に集まった11 名の生徒の皆さん。初めての日本刺繍なるものにやや緊張した感じで授業は始まりました。初めは簡単な自己紹介から。どうやら、皆さん、普段から手芸や刺繍をなさっているようです。そんな予習ばっちりの生徒の皆さんですが、皆さん口をそろえておっしゃるのは、「日本刺繍は初めて」ということ。普段から刺繍をなさっている方も、フランス刺繍がメインとのことでした。手芸や刺繍好きの生徒の皆さんが、どうやら難しいものだ、と思っていた「日本刺繍」なるものはどんなものなのでしょう。


 田中京子先生から日本刺繍についての座学がスタート。先生が制作中の作品を見せながら、縫う時の手の使い方、刺繍に使う糸のより方など実際の作業について、さらには日本刺繍の歴史の説明をすると、生徒の皆さんは配られた説明書に熱心に書き込みをしていました。なかでも、使いやすい糸の長さや、毛羽立ちやすい繊細な日本刺繍の糸にはこまめに布きんなどで濡らし水分を補うこと、もちろんその糸を扱う手も乾燥していては繊維が引っかかってたいへんという話は、きっと本からでは学び取ることは難しいと思います。


 その道のプロから生きた話を聞くことができたということ、これは参加された生徒の皆さんにとって大きな学びとなったことの一つとなったと思います。また、これら説明の後に、先生は比較的時間をかけて日本刺繍の道具が入手できるお店や、フランス刺繍で使用する道具を日本刺繍に転用するときのコツを紹介しました。残念なことに、日本刺繍の道具を扱っているお店は少なく、手軽に始められる環境とは言えないというのが現状とのこと。そこで、今回は日本刺繍で使う糸を使って、フランス刺繍の方法をアレンジして作業することにしました。


 座学の後は、作業へ。桜などをモチーフに、つけ襟への刺繍が始まりました。先生が生徒の一人一人の皆さんのところを回って針の進め方などを説明してくれました。生徒の皆さんは黙々と作業へ。途中、休憩に手芸関係の道具や材料が揃えられるフロアを見学しつつ、またすぐに集中して作業へ。途中、つけ襟は普段使いするものなので、せっかく刺繍した部分を保護するために、刺繍の厚みよりも高さのあるビーズを付けると良いということ、洗い方などのコツも先生から教えて頂きました。


 あっという間に授業終了の17 時に。生徒の皆さんが途中まで作業したつけ襟を見せ合いながら感想を伝えてくれました。先生が何度も「刺繍する分量を多くして、宿題にさせてしてしまってごめんなさいね」とおっしゃっていました。でも、そのおかげで生徒の皆さんは、楽しみに続きの宿題を持って帰ることができました。そして、その点については、思いもよらない先生からサプライズのお年玉がありました。今回の授業、さらには宿題やそのお年玉のおかげで、生徒の皆さんと「日本刺繍」との距離は確実に縮んだのではないでしょうか。



(写真:池田修一/レポート:伊東詩織)