授業レポート
2014/12/3 UP
代々木公園に泊まろう! シブヤキャンプ2014
〜首都直下型地震が起きた夜をイメージして過ごす〜
代々木公園に泊まって学ぶ被災訓練、シブヤキャンプ。
災害後の72時間を生き残ることを目的とした被災訓練プロジェクト、PROJECT72の授業です。
現在、地域の防災訓練や避難訓練は、子供や高齢者しか参加しておらず災害時にチカラになる若い世代が学べていない。そして、災害が起きてから、避難するまでのプロセスしか訓練せず、被災後にどう命を守っていくか、特に被災後72時間をどう生き残るかを学ぶ必要がある。
そんな想いから立ち上がったのがPROJECT72でした。
※詳しくは、こちらをごらんください。http://www.project72.jp
今回のレポートでは、シブヤキャンプに参加して学んだ教訓を中心にお伝えします。
これを読むだけで、災害時の生存率があがるかもしれません。
まずは、企業や官公庁の危機管理アドバイザーを務めている浅野先生からのレクチャーで、被災時の基本的な心構えと注意を教わりました。
■「自助」
災害時、周りの人を助ける「共助」は、もちろん大切なことですが、まず「自分が助かる」こと「自助」を優先しなければならない。
自分の力を過信して、被害者の数を1から2に増やしてしまうことがいちばん避けなければならないこと。これは、海難救助隊などのプロフェッショナルな人たちも徹底して教えられる考え方だそうです。
「助かる人になる。」。まずは、これを学びました。
■災害時に生き残るために必要な3つのポイントは、
「体力」「体温」「水」
これは地震などの災害だけでなく、山での遭難や、水の事故などの際も同じ。この3つを確保できれば、災害後72時間の生存率は高くなる。
特に体温は、軽視されがちだが、一度体温が下がると上昇させるには多くのカロリーが必要。非常時にはそれが死活問題になる。多少暑くてもできる限りの防寒をして過ごすことが重要。
■携帯電話の電源は切る。
災害直後、友人や知人の安否が気になってすぐ携帯電話を使おうとします。その場でつながらなくても、もしかしたらかかってくるかもとオンの状態を続けるでしょう。
しかし、震災直後はそもそも回線がつながりにくいのです。携帯キャリアは、緊急用の電波を優先するため一般の電話はほぼつながらない。それなのに、電池を消耗していると本当に大切なときに携帯電話が使えなくなってしまう。
まずは電源を切り、バッテリーを維持することが大切。
■街の危険な場所
第2部は、グループに別れて街の危険な場所を調査。
もし街の中で被災した場合、どういった行動をとったら良いのか。それには、街の危険な場所を知る必要があります。
「みんながあっちに行っているから」と流されてしまうことが多いですが、こんな場所は危険!ということを知っていれば自らの判断で行動できます。
調査では、普段歩きなれた街も、被災時にどうなっているかを想像すると違った街に見えてきます。
・「細い路地」
周囲の物が倒れて、通行ができなくなる場合があります。避難経路はなるべく広い道を通るのが良い。大きな道は、緊急車両が道路を通っているので万が一の時に救助される可能性も高まる。ただし、多くの人が殺到する場所でもあるので、状況に応じた見極めが必要。
・「若年層が多い場所。外国人が多い場所。」
パニックに陥る可能性が高い。もし自分が外国人だったら、子供だったら、地震の時冷静でいられないでしょう。今回のエリアでは竹下通りなどが、パニック危険地帯。同様に「ブーツ、ヒールの人が多い場所」も、パニックになりやすい場所。
・「危険なビル」
消化器が見当たらない。非常扉の前に荷物が置いてある。スプリンクラーにホコリがたまっている。など管理が杜撰なビルは災害時のリスクはとても高い。自分がよく行く場所や、職場のビルが、どのようなもので、どんな避難経路なのかは事前に確認しておく必要がある。逆に、地震が起きるとすぐに外に出るのが当たり前になっているが、設備の整ったビルであれば中に残る方が安全なこともある。状況を、しっかり分析することが大切です。
災害時に、ノーリスクということはありません。どの場所を選んでも一定のリスクがある。少しでもリスクが低い方を選んで行くことが大切なのです。
■交代で寝る
そんな授業を受けながら夜は暮れていき就寝へ。
被災を想定して全員一斉の就寝ではなく、グループ事に見張りをたて、交代で就寝。
被災時は、余震や二次災害、新情報に備え、起きている人をつくることが必要なのです。
■野営の寒さ
ちなみに11月の代々木公園は寒かった。家にある最大限の防寒対策をしてきたにもかかわらず、テントと寝袋だけでは寒さはしのげませんでした。
これが真冬だったり、東北だったりすれば、寒さはさらに強まり、精神的にも体力的にも消耗が激しいだろうと想像できました。
■朝の街の危険
朝を迎え、次のワークへ。
夜行った道をもう一度探索します。人がいない時間の街は、夜よりは歩きやすく避難しやすい一方、ケガをしてしまった時に助けてもらえる可能性も低くなります。
朝には朝の怖さがあることを実感しました。
■暖かい食べ物のありがたさ
訓練の全行程を終えた僕らに待っていたのは、暖かいスープでした。訓練開始から暖かい食べ物を食していなかったので、全身に染み渡るおいしさでした。
これは災害時も同様で、行政の備蓄には暖かい食べ物はありません。普段は当たり前に食べている、みそ汁やスープやカレーも、被災生活では味わえないのです。
■「助かる人になろう。助ける人になろう。」
最後にレポーターの感想です。
今回の被災訓練で学んだいちばん大きなこと。それは、想定することの大切さでした。
平時から、何かあった時にどうするかを備えておくことが、平静を保ち、危険を避け、命が助かる可能性を高めるために不可欠なのだと思いました。
一度でも、野営や被災訓練を経験していれば、想定力は格段に高まります。
PROJECT72の活動に参加した人が増えれば増えるほど、被災時の被害者は減らせる。だからみなさんも、一度参加してみてください。シブヤ以外でも各所で開催予定だそうです。
project72のfacebookもチェックしてみてください。
https://www.facebook.com/prj72?fref=ts
(ボランティアスタッフ:竹田 芳幸)