シブヤ大学

授業レポート

2014/12/2 UP

世界に一つしかない森から新たな森をつくろう
~明治神宮の森とどんぐり拾い~

シブヤ大学開校以来、毎年11月に開催されている恒例授業となっているどんぐり拾い。
9回目の今年はまぶしいくらいの快晴の中はじまりました!

オリエンテーションは、目を閉じて太陽の方角を指差してみるというものでした。
早速、普段あまり意識しない五感を使う練習です。
(やってみるとなんとなくみんな同じ方向を指しているような…微妙に少しずつずれているような…!)

■明治神宮の歴史
さて、まずはじめに明治神宮の森を散歩しながら各所の歴史を聞きました。
童謡「春の小川」のモデルになった川の源流のこと、代々木の地名の由来になった木のこと。
参加者のみなさんも知らなかったことだらけで耳から鱗です。
落ち葉を拾って匂ってみたり、第二の鳥居を匂って何の匂いかの当てるクイズで五感以外に頭もつかいます。
第二の鳥居は世界一大きい木造鳥居で、台湾から樹齢1500年の檜を運んだそうです。
顔を近づけてみると檜のいい匂いがします。

ところで、明治神宮って、どのような場所なのでしょうか?
明治45年7月30日に明治天皇、大正3年4月11日には昭憲皇太后が崩御になりましたが、国民から御神霊をお祀りして、御聖徳を永遠に敬い、慕いたいとの熱い願いが沸き上がり、大正9年11月1日(1920年)に両御祭神と特にゆかりの深い、昭憲皇太后のお休み処であった御苑があった代々木の地に御鎮座となったとのこと。
神社を囲う森は、全国から選ばれた青年たちが入れ替わり立ち替わり手作業で植えられました。
その時の宿場となったのが原宿の名前の由来だそうです。

御苑には入りませんでしたが、御苑は原生林なので外と中の植生の違いが楽しめます。
「永遠の森」を目指し、100年、150年先を見据えて当時(94年前)の学者たちが考えて作りました。
椎、樫、楢といったどんぐりの照葉樹も多く植えられています。
100年後、そのずっと先も森が森自身で循環、自生できるようにと考えられた森で、
そのお話を伺って、当時の人々にどれほど慕われていたのかが伺えます。

そのほかにも、建築や空間作りにも最先端の技法や粋なはからいがあり、
曲がり角が直角でなく末広がりの88度であったり、側溝の水をそのまま森に流したりと、
各所にこだわりがあります。


■参拝と、神宮のハートマーク
そんな歴史を知ってから参拝。皆さん何を願ったのでしょうか。
私はもちろん、「どんぐりが沢山拾えますよーに」です。
扉など所々にハートマークがありますが、これは猪目(いのめ)という文様で魔除けの意味があるそうです。


■いよいよどんぐり拾い
参拝をし、いよいよどんぐりを拾います。
どんぐりにも様々な種類があるようで、まずはスダジイとカシという種類を拾いました。
皆さん夢中になってどんぐり拾い。
狸が出てくるハプニングもありましたが、拾ったどんぐりを抱えて昼食。


■9年前から毎年参加している、小学校6年生の大先輩
天気もいいのでお昼寝した後で、
現在小学校6年生だけれども第1回(9年前)から毎回参加している大先輩、杉山子竜くんが、
持ち帰ったどんぐりの苗の成長の記録と、
どんぐりを通して学んだこと、「ナマケモノのいる森で」という絵本を皆さんの前で読み聞かせてくれました。
皆さん真剣に聞き入り、どんぐりへの思いにも少し変化があったかもしれません。
そしてまた終わりまでどんぐりを拾い続けました。

子竜先輩にとってはこの授業が生活の一部となっているんだと思うと、
とても素晴らしい授業に参加できたと思いました。
オリンピックの2020年は明治神宮100周年です。これからはどんな森になっていくのでしょうか。


■来年は10周年!!
来年はいよいよ記念すべき10回目になる、この明治神宮の森でのどんぐり拾いの授業。
先生の井梅さんからは「10周年の来年は特別な回にしたい」とのお言葉がありました。

10回目はいったいどんな授業になるのでしょうか…!
いまからとても楽しみです。


(ボランティアスタッフ:杉浦俊介)