シブヤ大学

授業レポート

2014/6/30 UP

土地の魅力を可視化(菓子化)する!
ジオガシ旅行団のお菓子教室

「え?今日ってお菓子作りの授業じゃないの??」


「ジオガシ旅行団のお菓子教室」はお菓子の作り方の説明ではなく、
地学の講義からスタートするという、なんともオモシロオカシイ、珍しいお菓子教室でした。


 


ジオガシ旅行団は、自然環境を保全し、持続させながらも経済発展を目指す「ジオパーク」に
認定された伊豆半島で、お菓子で地層や地形を再現した「ジオガシ」を生み出しています。
「ジオガシ」は、美味しさはもちろん、見た目も土地の特徴そっくりに仕上げることに
何よりこだわった、ユニークなお菓子です。


 


授業はまず、スクリーンに資料を映しながら、伊豆半島の成り立ちを解説。


伊豆半島は4つの大陸プレートが干渉する地点に位置しており、
そのプレートの動きに伴って孤島が日本大陸にぶつかって生まれた土地だそう。
今でも年に4cmずつ日本大陸にめりこんでいる、という言葉には教室中から驚きの声が上がりました。


 


地殻変動の活発さから、伊豆半島は様々な地層や地形が見つかる日本でも特別なスポット。


「ジオガシ」で再現された9種類の土地について、
実物の写真と見比べながら、その土地の成り立ちや特徴、歴史的背景まで丁寧な解説が続きました。


中でも「伊豆石」は、加工のしやすさと耐火性から江戸時代に多く用いられ、
現在東京の台場公園に残る砲台にはこの伊豆石が使われているのだそうです。
石の性質をきちんと調べ、適した場所に用いてきた当時の人々の知恵に
教室全体が想いを馳せます。


 


そして授業は、実際にジオガシ版・伊豆石を作る時間に。


砂や火山灰に喩えた小麦粉と砂糖に、
火山岩を表す砕いたアーモンドを加え、バターと合わせてこねていきます。
それを四角い型に収め、手で圧力をかけて長い時間堆積し圧縮された様子を再現します。


それらをオーブンで焼き、4等分すると… 
なんと江戸へ運ばれていく、切り出された伊豆石を模した「ジオガシ」が完成!
見た目はもちろん、手でかけた圧力によって歯ごたえが変化するというのもまた、
石の成立そのままが表現されており、とても驚きました。


 


そして授業後半には、ジオガシ旅行団さんの伊豆半島に対する特別な想いも語られました。


「地層から年代や歴史を読み取るおもしろさを感じてほしい」、
そして「興味を持ったら実際にその場を訪れ、本物を見て楽しんでほしい」。


このふたつの想いを実現するために、土地の魅力を可視化(菓子化)した「ジオガシ」。


解説から始まった授業へ驚きを隠せなかった人も多かったですが、
最後には「地学の話がここまでおもしろいものだなんて!」という言葉が飛び交う教室は、
間違いなくジオガシ旅行団のオモシロオカシイ、そのスタンスが引き出したものだと感じました。


(レポート:ボランティアスタッフ 横溝遥)
(写真:ボランティアスタッフ 山口由季子)