シブヤ大学

授業レポート

2014/5/26 UP

五月病に負けるな!
~心理学&仏教からみる、健やかに毎日を過ごすヒント~

つい最近まで「今年の桜の見頃は〜」とTVで言っていたのに気づけばGWも終わり、あっという間に毎日が過ぎて去ってしまいます。
きっと皆さんも学校や会社など、新しい環境の中で頑張っている人にとって
気づかないうちにストレスや憂鬱な気持ちがたまっていくこの季節。世間はそれを5月病といいます。 

今回は心理カウンセラー、僧侶の山口 依乗さんに来ていただき、
そんなストレスとの向き合い方を”仏教”と”心理学”の両面から教えてもらいました。
静かな語り方で、後ろの席までとスッと声が通るのが印象的でした。


開始当初は何からするんだろう。(座禅でもするのかな・・)と考えていると…
始めに、一般的に五月病の症状といわれる6つを先生が読み上げました。
・好きだった趣味に取り組めない。
・後ろ向きにモノゴトを考えてしまう。
・体がだるくて重い。
・会社へ行くと腹痛が出る。
・考えがまとまらない。
・食欲がない。
(自分も含め参加者の皆さんはそれぞれ思い当たる項目に手を上げていきます。)
質問後、山口さんは笑顔で「これに全て当てはまらないならまだまだみんな鬱ではないですよ!大丈夫!」と山口先生が過去に体験した鬱の症状を話してくれました。
“鬱は自分でケアすることはできない”
先生が鬱を克服した時にたどり着いた1つの答えだそうです。鬱は自分の力で立ち直るものだと考えていたのでちょっと驚きました。

以前、山口さんは、カウンセラーとして働いていたので、ストレスとの向き合い方を知っていたにもかかわらず鬱病になってしまったと話してくれました。
ちょっとした気持ちの向き合い方、出来事1つで誰にでも起こりうるものだそうです。
誰かに自分の話を聞いてもらうことや無条件に自分の事を肯定してもらう事が、鬱やネガティブな気持ちを乗り越える方法だそうです。


「それを踏まえた上でみなさん。」と山口さんは参加者にこんな問いを投げかけました。
「人の心ってどこにあると思いますか?」
 (えー頭かな…心臓?とあちこち体を触っていると)
“人の心は人と人との間に存在します。” ”人間は関係性で出来ている生き物です。
なので、人の心は「人と人との真ん中」に出来ているものなんです。
ネガティブな気持ちの向き合い方として、受け取った情報や言葉は自分ごとと背負わずに、まずはその受け取った言葉は一度人と人との真ん中におろしてみること、
そしてこれはどういう意味なのかな、どうすればいいかな?と点検して一度考える。
そうすることで、ネガティブな情報は、自分と人との間で起きている事と考え、客観的にとらえる事ができます。
それがすごく大切なことなんです。”


確かに自分ごととして受け止めると「なんで自分だけがー、なんでこんなことに!」
と内向きに考えてしまいますが、”人と人との間の出来事だ!”と
割り切って自分ごととして”背負いすぎない”ことは上手にネガティブな気持ちと向き合うコツかもしれません。
人の言う事の半分は聞き流せ!そんな意味合いに近いのかなと個人的に解釈しました。
”全ては自分が自分がと考えてしまうから、苦しくなる。まずはそんな気持ちは手放しましょう。”
誰かに話す事もネガティブな気持ちを手放すきっかけになります。
「言える人がいない人、それが難しい人はどうすればいいんですか?」
という会場からの質問に言えない状況の人はまずは心理カウンセラーをお勧めします、と話してくれました。 


他にも、自分の体を普段からケアすることも大切です。ストレスは食生活から影響してくる場合が多いそうです。
効果的なのは
・胃腸をケアしてあげる事。
・しっかり食物繊維をとって乳酸菌を活性化させる事。
・朝にしっかりお日様の光を浴びる事。
 憂鬱な気持ち、疲れがたまってきたら、”自分の食生活を振り返る時間”と解釈して一度食生活を振り返ってみるのもいいかもしれませんね。


先生のお話の後はグループに分かれて感じた事、先生に聞いてみたい事をシェアしました。


「具体的な実践の仕方はどうすればいいですか?」という会場の質問に
“仏教的に縁起の法という考え方があって、いい事も悪い事も”ご縁”として受け止めます。
例えば、私は鬱になったから今こうやって皆さんの話を聞く仕事に繋がっています。そんな風に、全部これは意味があると捉える事です。”
受け手の捉え方次第で
ある人は、「ついてない」
ある人は、「これはどういう意味があるんだろう」
と全く違った受け取り方になります。


「全部これは意味がある、御縁なんだ。」と捉える事が大切なんだなーと感じました。


結局、人は人に悩まされいる。


“仏教的に
・なぜ自分が人間なのか知っている。
・自分がどこへ向かおうとしているか知っている。
・自分はどこから来たのか知っている。
この3つ以外は自分の悩みじゃなくて、他人のアクションで動かされていることなんです。”


なので、今抱えている悩みは”本当に自分の悩み”なのか、悩みの境界線をチェックしてみてくださいと話してくれました。 


最後に先生はブッダの教えの”5つの壁”の言葉を朗読し、講義が終了。
講義の終了後は「これも御縁なんですねー」と参加者同士語り合う和やかな空気で講義は終わりました。


参加者からは、
「今まで人からの悩み相談やネガティブな気持ちって”しっかり受け止めなくちゃっ”ていう想いが強すぎたから苦しかったんだなーって思いました。」
「受け取った言葉は自分と人との真ん中に置いて客観的に捉えてみたいと思います。仕事でこの捉え方を実践してみたいと思います。」と声がありました。
・今起きていることも絶対何かにつながると捉えること。
・ネガティブな気持ちは受け止めすぎず真ん中に置く。そしてそれを客観視すること。
・抱えきれないものは抱える必要はない!誰かに頼る、聞いてもらう事も大切ということ。
仏教的な観点と心理学の観点でモノゴトの受け取り方の幅が広がった講義でした。
皆さんもまずはネガティブな気持ちを一度疑ってみませんか?
5月病=一度自分をメンテナンスする時間と捉えてみると今の見方が変わるかもしれませんよ。


 


(ボランティアスタッフ:伊集院一徹)