シブヤ大学

授業レポート

2014/2/28 UP

みんなの手芸室12  今日中に欲しい!~春色のゆび編みワークショップ

記録的な大雪から明けて日曜日。
交通機関も足もとも、まだまだ降雪の名残が消えない状況で迎えた「みんなの手芸室」。
西武渋谷店をのぼっていくこと7階「サンイデー渋谷」に向かいます。
エレベーターを降りて広がるその空間は、創作意欲を大いに刺激します。
カラフルな毛糸がグラデーションをなし、物語を紡ぐように描かれた生地や、質感もかたちも大きさもそれぞれに個性を持ったボタンが並ぶフロアは、外の厳しい寒さを忘れさせてくれるほど、温もりに満ちています。

さて、生徒さんたちが集まったところで、いよいよ授業スタートです。
この日の先生はPOGさん。飲食店でのお勤めの傍ら、ニットプレーヤーとして活躍されています。
先生の装いは、“ぽんぽん”が愛らしいニット帽に、難易度が高いことが素人目にもわかるほど、きれいな模様が編まれたセーター。
このセーター、後に聞いたところ、お母様が編まれたものを首もとだけ直したとのこと。
そう、編まれた衣類って大切に扱えば、一部をほどいてリメイクすることはもちろん、まっさらな毛糸から生まれ変わらせることもできるのです。

ところで、「編み物」と聞いただけで尻込みしてしまう方いませんか?
編み棒を使って、黙々と編み目を少しずつ…という印象が少なからずあって、「器用でないとできない」「根気が要る趣味だ」と思っていませんか?
大丈夫です。
今回POG先生に教えていただいたのは自分の指だけで編めてしまう「ゆび編み」。
左手(右利きの場合)の人差し指から小指までの、4本の指でいくらでも編めてしまうのです。

まずは先生、スタッフを交え、参加者同士でちょっと変わった自己紹介から。
今日初めて会ったばかりの隣の方を勝手に紹介していきます。出身地も職業も、好きな食べ物も当てずっぽうです。
当然大はずれかと思えば、鋭い推理力で?見事に正解も出て、思わず「すごーい」なんて声も。
さぁ、和やかな雰囲気となったところで、そろそろ編んでいきましょう。

今回、生徒さんたちに用意してもらったのは、着なくなったTシャツやブラウス、使わなくなったハンカチなど。一度役目を終えたこれらの衣類を、ゆび編みによって生まれ変わらせようと言うのです。
それぞれが持ってきたTシャツやハンカチなどをざくざく切り、結んで紐状に長くします。
ある程度の長さになったら、指と指の間を繰り返し交互に通していきます。
人差し指から小指を行ったり来たり。そう、指と指の間を繰り返し通していくだけ。
コツさえつかんでしまえば、あとはおしゃべりを楽しみながら編んでいくことができます。
途中でイマジネーションが膨らんだら、フロア内で好みの布を買い足したり、先生が用意してくれたレトロな柄と鮮やかな色あいが可愛らしいTシャツを組み合わせてみたり。マフラーはもちろん、シュシュやストラップなど、アイデアは広がります。途中で編み目が粗くなっちゃっても、幅が一定でなくても大丈夫。結び目が出ていたって、それがかえってカワイイ。
そんなゆるさも魅力のひとつです。

あっという間に3時間の授業は終了。
同じ方法で編んでいるのに、同じものなどひとつもない、手づくりならではの魅力が詰まった作品が完成しました。
「使わなくなった布がこんなに簡単に、こんなに可愛らしく生まれ変わってうれしい」、そんな声がたくさんあがりました。

気に入っていたけれど、もう着られなくなってしまったものがあるなら、タンスの肥やしにしていてはもったいないかもしれません。
そして、「ついついハマっちゃう!」という編み物の醍醐味が、ゆび編みで簡単に、存分に堪能できてしまいます!

厳しい冬もあと少し。春の足音を聞きながら、お気に入りだった一着にあたらしい命を吹き込んでみませんか?