シブヤ大学

授業レポート

2013/10/25 UP

和える(aeru)から考える子どものモノ、日本の伝統産業

授業当日、この日は出勤時間に台風が直撃するという大変な一日でした。


しかし、授業前には台風一過の良い天気、
多くの生徒さん達に集まっていただき、会場は満員。

そんな中、授業はスタートしました。

「子どもたちに日本の伝統をつなぐ」。
aeruのこのコンセプトは、
代表 矢島さんの仮説から始まったそうです。

矢島さんは大学時代、日本全国を周り
伝統技術の職人さん達にインタビューしていました。

そんな中、自身のリアルな感覚として
「日本の伝統文化はもっと活性化する」と感じ、
「では、なぜ現在活性化しないのだろう?」という疑問をいだくことになります。

そこで、
「今の大人たちは小さい頃、日本の伝統技術に触れてこなかったから
 伝統文化は活性化していないのではないか」という仮説をたて、
優れた感覚を持つ赤ちゃんや子供達が
「日本のホンモノ」に触れることの出来る
「aeru」というブランドを立ち上げることにしたそうです。


ブランドのデザインディレクションとプロダクトデザインを担当する、
NOSIGNER代表・太刀川さんは、
その仮説が「問題の核を捉えている」と共感し、
チームというより家族のようにaeruに関わり始め…


伝統技術を用いた普遍的なデザインを作り出すデザイナーと、
商品の魅力的なストーリーを語る、語り手。
なくてはならない両輪が合わさることで、
aeruの素晴らしい商品たちが、この世に生まれきたということでした。


矢島さんと太刀川さんのお話を聞いていると、
お互い・周りの方たち・職人さんたち、お客様、
全てをリスペクトしており、
芯がまっすぐ通っていて、非常に誠実で、
ブランドの世界観そのものの印象を受けました。

心に刺さった言葉をあげるとキリがありません。

「人間には、良いものか仕方なくそうなったものか分かるセンサーがついている」

「子供こそ、大人以上に本質的なデザインが必要」

「生まれてくる子供達を、『日本に生まれてきてくれてありがとう』と日本の愛でくるみたい」

いずれも、日本と日本の子供達への愛が感じられました。

またこの日は、生徒さんの質問をベースに授業が進められました。
通常はあまり語られることのない、矢島さんの苦労話や失敗話なども披露され、
「失敗は成功のプロセスなので、とりあえずやってみることが重要」であると仰っていました。

生徒のみなさんは、ブランドのことから会社のこと、大きくは日本の伝統技術のことまでを
知り、考える授業になったのではないでしょうか。


日本のホンモノを繋いでいきたいと思える授業でした。

(ボランティアスタッフ  渡邉祥子)