シブヤ大学

授業レポート

2013/10/24 UP

まちづくりってなんだろう。

まちづくりってなんだろう。
議員がやっていること?
建築や都市計画とかの専門家がやっていること?
町内会の人たち行っているお祭りのこと?
上に書いてあることは全て正解。
だけど広すぎてなかなか身近なものとして感じにくいことも事実。
そんな一見捉えどころのないまちづくりに対して
専門家ではない人に何が出来るか、どんな想いでやっているのかを
ITの視点から住吉さんが話してくれた。

住吉さんが携わっているカマコンバレーは、ITを通じて鎌倉のまちを盛り上げていくというコンセプトのもと、
民間企業40社程で月1回勉強会を開催したり、様々なイベントを実施している。
明確なコンセプトがあると、はっきりとしたまちのビジョンを持って活動していると思われるかもしれない。
しかし実際はそうではなかったと、設立の経緯を住吉さんは振り返っていた。

発端は、元々鎌倉で働いているIT企業の人たちが集まって情報交換をするなかで、
「同じ鎌倉で働いているIT企業で、ITを通してまちを盛り上げたい」という考えに共感してくれる人がいたこと。
ただ、その時は具体的な活動が始まることはなく、日々が過ぎて行った。
しかし東日本大震災後、鎌倉で開かれた合同復興祭で
宗派を超えての人のつながりが出来ていたことを目の当たりにし、活動を始めることを決意したのだった。

カマコンバレーは、個人の幸せを尊重した新しい働き方と、
色々な価値観を持った人との共生をテーマにしている。
メインの活動は、月に1回のアイデアブレスト定例会。
地元住民も含めた「鎌倉でこれをやりたい!」と意見を持っている人たちが
アイデアをプレゼンテーションして、それをブラッシュアップしている。
実際の事例としてあるものは、若者の投票率向上を目的として、
スマホアプリで立候補者の人柄が分かる比較サイトを作って、選挙を盛り上げたり、
鎌倉限定のクラウドファンディングサービス「iikuni」を立ち上げて、
公募アイデアに対して募金を募るサイトを運営している。
このような取り組みをしている住吉さんは、
「まちづくりをやろう!」という想いから活動を始めたわけではなく
「自分のやりたいことをまちでやろう!」というシンプルな想いしかないという。
それを長くやっていることで、いつしか使命感を持つように変化していき、活動の幅も
大きくなっていった、と話してくれた。

後半のセッションでは、鎌倉で働くことについて、自身の考えを話してくれた。
鎌倉の特徴は、自然があること、コワーキングスペースがあること、
古民家をオフィスにしていることの3つがあると話をしてくれた。
その中でも自然と仕事場が近いことが何よりも良いと話をしてくれた。
また、そこで働いている人たちは独自の価値観を持って生きている人たちが多いという。
夏はサラリーマンでも短パンポロシャツで過ごすことが多かったりするそうだ。
鎌倉は都心からの距離が離れていることから情報をキャッチアップするスピードが、
都心と比べると劣るという、マイナス部分をプラスに捉え直して、様々な価値観を持つことを
良しとしたまちだと話をしてくれた。

最後に、参加者の人たちで「まちについて自分がしたいこと」についてディスカッションをした。
「河川敷で青空上映会をしたい」
「地元の人が選ぶまちの情報誌をつくりたい」
「地元の人が気づいていない地元の良さを見つけるツアーをしたい」など、
様々な意見が出てきて盛り上がった。

最後に住吉さんは、
まちづくりでやりたいことは、個人個人で異なっている。それはそれで良いと思っている。
自分らしく働いたり、暮らすことができる場所をつくることがまちづくりであると伝えてくれた。
自分にとってのまちづくりとはなんなのだろうか。まずはそこから考え始めてみることが始まりなのだろう。


(ボランティアスタッフ:浅川 達也)