シブヤ大学

授業レポート

2012/11/9 UP

ついに金継ぎ最終回!

 いよいよの最終回、「粉蒔き」をして仕上げます。

まずは乾燥させた「錆付け」部分を整える作業からスタート。
今回もカッターで、器と漆部分が滑らかに、平になるように削って行きます。縁の欠損については、破損前のシルエット(=復元後)をイメージしながら、器と漆が滑らかに繋がるように細心の注意を払いつつ。

ほぼ表面が整ったら、320番のサンドペーパーに水をつけて研ぎ込みます。このとき、研ぐのは漆部分のみ。
器部分はサンドペーパーで傷つけてしまうゆえ要注意です。
次に使う800番でも同様の注意を払って表面を整えます。


 そして、大詰め。蒔絵の手法で仕上げていきます。
金で継ぐか、銀で継ぐかは、予め決めておきました。
器の色調や風合い、また好みによって迷うのも楽しい作業で。


 金で継ぐ場合は赤漆、銀で継ぐ場合は白漆を下地にします。
それぞれ少量のテレピン油で伸ばし、錆漆の部分に細い筆で丁寧に塗る。
ポイントはふたつ、
錆が完全に隠れるように塗ること。それでいて、絶対に厚塗りをしないこと。
厚塗りしてしまうと、乾燥の際に大きな縮みが出てしまうのだそうです。
また、多すぎる漆は金(あるいは銀)の粉を限りなく吸い込んでしまうとのこと。
銀はともかく金は高価ゆえ、無限に吸い込まれても困るわけで。


 地塗りした部分が落ち着いたら、そこに金粉(あるいは銀粉)を平筆に含ませてそっと撫でつけて行きます。
クライマックスの「粉蒔き」は「え、もう終わり?」と少し心配になるくらいアッという間……ではあるのですが、
ついさっきまで今ひとつ地味な面持ちだった器たちが、
このひと掃けで一気に凛とした表情を備えるというミラクル!
粉蒔きを済ませると、生徒さんたちの表情も俄然明るくなっていました(笑)。


 完成した金継ぎの器。2〜3日でほぼ乾燥しますが、硬化はさらに続きます。
実際に使うのは、念のために1ヶ月ほど置いてからが理想的だそう。
そのときにはどんな風に使おうか……ワクワクしながら終了となった最終回の授業です。


(恵比寿キャンパス 松本典子)