シブヤ大学

授業レポート

2012/5/25 UP

「関わり方はいろいろ、そして、区切りがなくなり、広がっていく」

2011年の1月。まだ、2011年3月11日の少し前のこと。1年少し前のことなのですが、すごく前のことのような気がします。
「プロボノという働き方」の授業をシブヤ大学で開催しました。
そのときは、プロボノという言葉がメディアなどを通じて広まる中で、実際にどのような人がどのような働き方をしているのか、どんな気持ちで実践しているのか、実際に聞く機会をつくってみたいと思い、授業を開催しました。

そして、授業の後、何人かの参加者に会う機会が偶然あり、授業の感想について話を聞くことができました。
今回の「プロボノという働き方vol.2」はそんな前回の参加者の声を聞いて、開催へと至りました。

今回の授業の先生は、プロボノ実践している堀田顕人さんと日高香織さん。
そして、プロボノを受け入れる側としてNPOを運営されている荒昌史さんの3名にお越しいただきました。


【自己紹介】
先生3名の簡単な自己紹介の後に、参加者のみなさまも3名人組になって、
名前、そして、今日この授業に参加した想いを分かち合いました。
そして、各組での分かち合いのあとに、参加者のみなさまにいくつか挙手で答えていただきました。
一番の興味のポイントは、プロボノについて。あとは、自分の働き方など。


【堀田さんのプロボノの話】
本業はWEBや映像の制作会社で働き、プロボノとしてシブヤ大学や東北復興支援の一般社団法人に関わっている。
自分がプロボノと言われることにちょっとした違和感を持っていたのは、本業で得たスキルやノウハウを必ずしも、プロボノの活動に活かしているわけではないから。
関わる先によって、本業のスキルを活かす割合も違うが、100%活かしているわけではない。
むしろ、本業ではできないことにも、プロボノとして挑戦させてもらっている。それが自分自身の成長につながっている。
また、最近は本業とプロボノがボーダレスになってきている。
それは時間の使い方もそうですが、人との関わりがぐちゃぐちゃになってきている。
その人は仕事の関わり、この人は仕事以外ではなく、プロボノとして知り合った人とも一緒に仕事したいと思って、仕事ができるようになったり、ますます境界線がなくなってきている。
だから、すごく説明が難しく、話す相手をもやもやさせてしまう。


【荒昌史さんのプロボノの話】
GOODDAYというNPOを会社員時代に立ち上げ、現在は独立して自分の会社とNPOを両立している荒さん。
プロボノを受け入れる側の意見として、今までに受け入れてきた人たちの話を事例として紹介していただきながら、お話いただきました。
たとえば、PR会社を経営している女性。自分の本業でのスキルを活かして、関わっている。
また、建築デザイン会社で働く男性は、建築のデザインだけではなくWEBサイトやロゴのデザインにも挑戦したいということでGOODDAYのWEBサイトやロゴも制作。
現在はフリーランスのデザイナーとして活躍中。
また、IT関連の営業を行う男性は将来のために財務も挑戦したいということで本業ではないスキルを勉強し、
NPOの財務という分野に挑戦しています。
もちろん、誰にでも好きなことをしていい、というわけではありませんが、専門性だけではなく、
本人の意向も尊重し、チームとして活動している。
できる限りメンバーとの対話の時間をとり、信頼関係を築くことで、このようなNPOとプロボノとの関係をつくっている。


【日高香織さんのプロボノの話】
日高さんは前回の授業でも先生としてお話いただきました。
本業はコピーライターで、サービスグラントを通じてプロボノをしていた。現在は、プロボノお休み中。
日高さんは、プロボノを「わき道」と表現していました。
本業が大きな通りだとしたら、プロボノはわき道。わき道は楽しく歩こう。気になるわき道はよいわき道に違いない。
自身が現在お休み中ということもあるが、がんばらなくても、自分が楽しいと思える範囲での関わり方もある。


【質問】
先生の話が一通り終わったあと、参加者同士で聞いた話を分かち合う時間をつくり、その後に質問や感想を話していただく時間をとりました。
以下は質問でいただいた内容の一部です。


◎プロボノを続けていく中で、会社にはどのように伝えているのか?
◎本業とプロボノをして、プライベートな時間はあるのか?どんな時間の使い方をしているのか?
◎プロボノを続けていくなかで、このあと、何がやりたいか?

など、たくさんの質問をいただきました。
先生3名もできる限り、質問に答えていましたが、もっと時間がとれれば、とも反省しています。


【アンケートを経て】
授業の最後に、参加者のみなさまにアンケートにお答えいただきました。

プロボノという関わり方はさまざままで、人それぞれなので答えがでるような授業ではありませんでしたが、
参加者のみなさまもそれぞれに何ができるだろうか?と考える機会にはなったようです。

そして、いくつかいただいた声として、もっと具体的にプロボノの活動を知りたかった、聞きたかった。日々どんな想いで働いているか?など、もっと聞きたいことがあった、
という声をいただきましたので、授業の場では話しきれなかったこと、授業の時間を経て、もっと参加者が聞きたかったことについて、ゆっくりと話ができる場を、またあらたに開催したいと思います。


(授業コーディネーター シブヤ大学しごと課)